道路で“異変”…左目を閉じ一晩すぎても動かない鳥 高校生が出会った準絶滅危惧種
2022/12/06 13:37
(沖縄タイムス)
けがをして保護されたリュウキュウコノハズクがこのほど、治療を受けて回復し、1日に沖縄県大宜味村押川の林で放鳥された。治療した恵動物病院=名護市大南=の長山希世香院長によると、飛んでいるところを車に衝突したとみられ、翼の骨が2本折れていた。事故後、野生に復帰できるのはまれで、治療を橋渡しした辺土名高校環境科2年の野崎楓夏(ふうか)さん(17)は「野生に返すまでに関われて良かった。元気に巣立ってほしい」と願いを込めた。
(北部報道部・粟国雄一郎)
リュウキュウコノハズクは沖縄や奄美などに生息する小型のフクロウで、黄色い目が特徴の準絶滅危惧種。昼間は林の中で過ごし、主に夜間に活動する。「コホッ、コホッ」と繰り返し鳴く。
保護された個体は体長約21センチで118グラム。幼鳥とみられ、8月12日に大宜味村押川の道路沿いで救護された。事故の際にぶつけたとみられる左目を閉じたまま、人が近づいても動かず、一晩を過ぎても同じ状態だったため、野崎さんの家族が自宅に連れ返った。
野崎さんが辺土名高校サイエンス部顧問の東竜一郎教諭(48)を通じて、恵動物病院に治療を依頼した。幸い手術を必要とするほどの骨折ではなく、包帯で固定し約1カ月で回復。広いケージでリハビリを終えた。
けがの治療後も回復がままならず、野生に返すことができなかったり、死んでしまったりする事例が多いといい、長山院長は「動物のためにも人のためにも安全運転をお願いしたい」と呼びかけた。
1日、野崎さんらサイエンス部の部員らが大宜味村押川を訪れ、保護された場所に近い林の中で放鳥した。段ボールを開けると、元気よく飛び立ち、空へと羽ばたいていった。
県内には、有志の野生動物救護獣医師(野生動物ドクター)が、交通事故や窓ガラスへの衝突などでけがをした野生鳥獣を無料で治療している。県と獣医師会が協力していて、約20の受け入れ先がある。