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知床で行方不明者捜索を阻んだある存在人を恐れぬ特性も

2022-06-12 13:05:30 | ニュース
知床で行方不明者捜索を阻んだある存在 人を恐れぬ特性も
2022/06/12 10:00

(毎日新聞)
 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故を巡り、事故現場周辺の沿岸での行方不明者捜索を阻む生物がいる。ヒグマだ。荒れやすい海上の捜索は難航したが、陸上での捜索では人を恐れない特性を持つヒグマの存在が一つの妨げとなった。知床半島では「人なれ」が問題になっているという。

 「沿岸の浅瀬で潜水捜索もしたいが、ヒグマに襲われる危険を否定できない。慎重を期す必要がある」。ある海上保安庁の関係者は、そう話す。ボランティアで捜索に参加した60代の男性漁師は毎日のようにヒグマを見たといい、万が一に備えて撃退スプレーを携帯しながら活動を続けたとする。
 事故後、第1管区海上保安本部や北海道警、自衛隊などは、行方不明者などの捜索活動を実施。海上だけでなく、知床半島の沿岸部での捜索も行われたが、ヒグマの目撃情報が相次いだという。

 成獣の雄は体長が2メートル以上、体重が200キロを超えるというヒグマ。野生動物の保護管理に取り組む「知床財団」(北海道斜里町)によると、知床半島には現在、400〜500頭が生息する。国立公園にも指定されている知床半島は世界有数の生息地で、雄大な景観も楽しめるとあって年間約170万人の観光客が訪れる。2005年には世界自然遺産に登録された。
 カズワンが出港したウトロ漁港(斜里町)を拠点とする小型観光船も5年ほど前から、ヒグマの観察を「目玉」として扱っている。

 ただ、ヒグマの生態に変化も生まれつつあるという。一部の観光客がヒグマに接近して撮影したり、餌やりをしたりする行為が増加。知床財団によると、野生のヒグマは本来であれば警戒して人に近づこうとしないが、ここ数年で人なれし、人や車両に近づくケースが目立つようになった。

 知床半島では22年、6日までに414件のヒグマの目撃情報がある。カズワンの事故があった後の5月16日には、道路上で停車中の車両のドアミラーやタイヤがかじられる騒ぎがあった。近年、知床半島でヒグマに襲われたことによる死傷者は確認されていないが、道内全域での21年の死傷者は12人(前年比9人増)に上り、過去最多だった。
 人なれしたヒグマが増加した現状を受け、改正自然公園法が4月に施行された。国立公園内で野生動物へのつきまといや餌やりなどが規制された。環境省職員の中止指示に従わなければ、30万円以下の罰金が科される。

 知床半島では現在も海保による捜索活動が続く。知床財団の石名坂豪・保護管理部長(48)は「知床半島は最もヒグマが人なれした地域と言ってもいい。捜索の際はその特性に十分に注意する必要がある」と指摘。「沿岸部や浅瀬などのヒグマがいる可能性がある場所では、必ず周囲を確認する監視役を配置すること。また、常に音や声を出して人間の存在を遠くから知らせ、危険を回避してほしい」と話した。【加藤佑輔】



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