図書館本。
日経文庫。
株式投資に関連する基礎的な内容を中心とした入門書といった中味で、それはまあいいのだけれど、この書名はどうですか?。
細かいところにツッコムということでもないのだけれど、これ、文章、言葉にうるさいはずの新聞社の文庫としては、ちょっとどうかと思います。
というのは、意味がわからんのよね。
株式投資をすることがやさしいのですか。株式投資についてやさしく解説しているのですか。株式投資で儲けることはやさしいことなのですか。
まあ、中味からすれば二番目ですわ。だったら、「これでOK 株式投資の基礎知識」「すっきりわかる 株式投資」「やさしく解説 株式投資 基礎の基礎」とかね。
なお、株式投資をすること自体は、証券会社に口座を開設して、資金を入れて売るなり、買うなりすればできますから、これはそんなに難しくはない。そういう意味では「やさしい」です。
儲けることはタイミングによっては「やさしい」です。ただ、ベストのタイミングでの売買の継続などできるはずがありませんから、ほぼ必ず「タラ」「れば」にはなります。
それから、本書の冒頭の方で「身近に投資のヒント」という項目があり、ピーター・リンチの事例、著作などが紹介され、日常生活に身近なところに売買、主に買うためのヒントになることが多くあり、それが成功につながることがあるというようなことが書かれてます。
ピーター・リンチの著作は、個人でも視点のもちどころによってはプロの投資家に打ち勝てるといった内容で、株式投資を始めた頃に大変面白く読ましてもらい、また、励まされたものです。
しかし、この発想というのは、本当にうまくいくのでしょうか?。
私は、今ならば、「相当に難しい」と答えます。
リアルタイムに進行している目の前の状況というのは、必ずしも決算の数字や予想の数字にダイレクトに反映されてはおらず、それらが反映されるのにはタイムラグがあります。だから、そのあたりをうまく見つけられて、株価にまだ材料が織り込まれる前に買うことができれば、のちにそれらが株価に反映された時点では株価の値上がり益を得られるかもしれません。
しかし、それにはやはり、そうしたものを見抜く目がいりますし、「たまたま」の要素も必要になってきます。
素人は業績にさして影響がないような事態を過大に評価したりすることがありますし、企業規模からして大したことがないようなことを適正に評価することができにくいです。
そして、それが株価に織り込まれているかどうかの判断も難しい。その企業に関連する経済情勢がどのようななっていくかを見通すことはできません。
だから、素人判断で「身近」なことをヒントとして投資の判断材料とすることは、うまくいくこともあるし、そうでないこともある、そういう意味では「当たるも八卦」のテクニカル分析と大差ないのでせはないかと思います。
でも、テクニカル分析よりはましかなとも思いますけど。