千と千尋と北斎と(4) 渋温泉・小布施・大町の旅
紹介したような「迷宮のラビリンス」状態の館内は、面白いといえば非常に面白いし、
こういう「ごった煮」のような雰囲気が好きではない人には合わないかもしれません。
お風呂はすべて源泉掛け流しで、旅館自体が源泉をいくつも持っています。
で、そのお風呂がまた統一性のある感じではなく、頼朝の伝説をもとにした「鎌倉風呂」
があるかと思えば、ステンドグラスがめぐらされた「浪漫風呂」があったりします。
露天風呂は浅間山の溶岩石で囲われていたりします。
古い建物の部屋は薄いガラス一つで廊下であり、上下の音もよく響きます。
防音性はさっぱりです。
まあ、それやこれやも含めて、建物や部屋、温泉は面白く、楽しいものでした。
で、食事です。部屋ではなく、一番上の芝居小屋のような大広間が区切られていて、ここが食事の場所になります。
しゃぶしゃぶです。「りんごで育った信州牛」だそうで。
最高級のとけるような肉ではないですが、やわらかくて十分においしいです。
それはいいのですが、とにかく品数が多すぎ、量が多すぎます。
写真は最初に並んでいたものですが、ここから次々に料理が運ばれてきます。
地元の食材を活用したような料理が多く、どれもおいしいのですが、
食材的にかぶっているところがあったり、似ている料理があつたりし、すべて食べると、もう苦しいほどに満腹。
50代なかばでこれですから、さらに上の年齢層の人はもつと厳しいのではないかと思います。
これ、「いろんなものを、とにかくいっぱい並べて、おもてなししよう、それがいいこと」みたいな価値観が見てとれます。
間違いとは言えません。これをすごく喜ぶ方もあるでしょう。
ですが、この料理には、お肉は別にして「目玉」のようなものがありません。ハッとさせるような工夫もない。
まずまずではなく、すごくおいしいと思えるもの、明らかに他にない独自性を感じさせるものもない。
星野リゾートの旅館などにいくつか行っていることもあってか、私自身はこうした「豪華おもてなし」はあまり嬉しいとは思わなくなりました。
食事については、この金具屋の「価値観」は合いません。それはもういいのではないかと思います。
さて、食後しばらくはお腹が苦しい状態でしたが、しばらくするとちょっと落ち着いてきました。
外は雪ではなく雨です。ちょっと出てみました。雨の温泉街もなかなかいいです。
道が細くて、車で走る時は注意しないといけないです。
外湯がいくつもありますが、これまでは行ったことがありませんでした。
旅館のすぐ前が大湯。確かに大きいお風呂で、蒸し風呂もあつてなかなかよいです。
温度はやや熱め、誰もいなかったので、すこしうめさせていただきました。地元の人がいたら怒られたかも。
でも、この大湯はおすすめです。
つづく。