池波正太郎の鬼平もほとんど読んでしまった。
まもなくシリーズ全24巻を読み終える。人心の機微を平易にとらえ、剣の達人
の長谷川平蔵が縦横に活躍する。
シリーズを通してなにか安心感がある。同じような設定で、ストーリーが少し違
うだけだ。水戸黄門と同じだとは言わぬが、パターンは似ている。
さすがに、少しマンネリ感を覚えてきた。
そこで同じような時代物で藤沢周平の「用心棒日月抄」(藤沢周平全集第10巻)を
読む。立会(斬り合い)の場面がこちらのほうが詳しい。僅かにこちらのほうが
深いような気がする。
こちらは藩お家騒動に巻き込まれた侍が主人公で、剣の達人である。彼は江戸屋敷に脱藩という形で国元から送り込まれ、藩命遂行の傍ら、身過ぎの為に用心棒を引き受けるという展開だ。
相手は様々だ。強いのも入れば大したことのないのもいる。対峙する時の状況が、少しだけ鬼平に比べ緊迫感がある。安易に男女の仲に踏み込まないのも好感が持てる。
勿論、鬼平がダメと言っているわけではない。
他に相棒の大酒飲みや、女忍び組頭、用心棒口入れ屋などがこれに絡む。
眠る前の一時、暫し時代劇の世界に遊んでから眠るのが日課になりつつある。