連休の昼間,小さな音楽堂で行われチェロとピアノのコンサートを見つけて聴
きに行ってきた。
その音楽堂は森の中にあり、入り口に「渡邊暁雄メモリアルホール」と木の板に
書いてあった。
フィンランド人の声楽家を母とした、日本フィルの指揮者と縁があるのだろう。
小さなホールは全面板張りで、祭壇があれば教会になりそうな雰囲気。
時間ぎりぎりに駆けつけたら、60席ほどの椅子はほぼ満席であった。
奏者はチェコのヴラダン・コチ氏(プラハ音楽院教授)と有吉英奈(昭和音大の
先生)のデュオ。会場の大きさ、聴衆の数がぴったりと合って、とても聴きやす
いコンサートでした。
チェコの人は音楽的才能に恵まれているのでしょうか。4年前プラハ・スメタナ
ホールで聴いた、魂の震えるような緊張感のあった、八人の弦楽奏を思い出しま
した。
また弦楽器は人間の感情に訴える音なのでしょうか。素直に音楽が楽しめました。
そういえば「おくりびと」の主人公もチェリストで、一人演奏するシーンが印象
的に挿入されていました。
プログラムはシューベルト、モンティ、ドヴォルザーク(森の静けさ)、ピアソ
ラ(リベルタンゴ)、日本の歌(赤とんぼ、さくら、浜辺の歌)など、クラシッ
クからポピュラー、タンゴまで、ふくらみのある音色で楽しませてくれました。
音楽と言うのは、作曲家と演奏者の相克、デュオと言うのは協力もあるが、お互
いのパートの自己主張・緊張感があっても良いような気がするのですが、違いま
すかねえ。とても楽しい演奏でしたが、ある種の緊張感があればもっと良かった
というのは欲張りすぎでしょうか。