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リニア中央新幹線

2011-09-20 00:20:21 | 雑感


何ヶ月かに一回催されるOB会の、セミナーの部でリニア中央新幹線について、
勉強する機会があった。

今回は県の地域振興部交通対策課の役人が講師を努めてくれた。出張市民講座みたいな
形だ。さすがに5時15分前には終わりたいという、公務員然とした勤務態度だ。

それによると2027年(16年後)東京ー名古屋を40分で結び、2045年(34年後)
には東京ー大阪を67分で走る予定だそうだ。現在の新幹線のぞみの半分弱で走
る。我々は経験できるだろうか。タイムリミットギリギリだ。

リニアモーターカーは超伝導電磁石で車体を浮かせ非接触で車体を走らせるシス
テムで、実験では人を載せて552km/時を既に達成しており、技術的な問題は
クリアーしている。

このリニア中央新幹線はJR東海が採算リスクを自主的に負って、開発・運行す
るということで、国はその計画の評価をし、許可権限を持つという、いかにも役
人的な仕組みになり計画は進んだ。

総工費9兆円、神奈川、山梨、長野、岐阜、愛知、三重、奈良、大阪に各県一駅
を設置。70%は地下を走る。40m以上の大深度地下を利用。

リニアの方が、飛行機に比べ約20万トンCO2排出量が低い。また震災、災害
時、在来新幹線を補完する交通手段としての位置づけもある。

ひと通りの説明の後、質疑応答が行われ、活発なやり取りがああった。
質問 料金は? 大坂まで+1000円、名古屋まで700円
   なぜドイツはリニア方式を断念したのか? 浮上距離が1cm.日本は10c
   mで実用化・実際の運行で日本に軍配
   電力需要は大丈夫か? 中部電力総発電量の約1%の使用量(震災以前)
   で全体的にそれほどの負担ではない。
   磁力障害などは? 概ね実験ではクリアーしているがまだ確定ではない。
   40年後の社会がどうなっているか、本当にこの鉄道を必要としているか推
   定しているのか? そこは確定はしていないが、需要予測は役所ではなく、
   JR東海が行っているので、道路、空港利用者予測よりはシビアーだと思
   われる。また外国(中国、アメリカ等)への輸出、ニーズは想定している
   だろう。
   本当に地域振興になるのか? ストロー効果(一極集中)などは計算して
   いる。

リスクはJRが取るということでこの計画は一気に進んだらしい。需要予測、採
算性についてはJRにお任せ、という気楽さもあり、役人は安心してお先棒を担
いでいる。技術的にはフランス、ドイツ、中国の新幹線に比べて日本のリニアー
は加速性能、減速性能ともダントツだし、安全性は新幹線で既に実証されている。

問題はただでさえ、右肩上がりの時代とは変わってきた経済状況で、このインフ
ラ整備で地方経済はどう変わってゆくのか、官民一体で、或いは官・政が必死で
考え、地方の活性化に向けて指導してゆくべきだろう。本四架橋或いはアクアラ
イン、九州新幹線などでは必ずしも地方経済の活性化は、予測されたようには実
現していない。
世界的に見れば、技術的進歩はかならず進み、受け容れられてゆくと思われる。
ただその進化した道具をどう使ってゆくのか、それがはっきりしていないような
気がする。
国づくりの具体策としての新幹線の位置づけを明確にすべきだろう。首都機能の
分散化なども実現可能ではないか。

興味深いセミナーであった。