勝手にカウンターステア

 昔は「逆ハン」などと言ったものだけれど、正しくはカウンターステア。一般道路を常識的に運転をしている場合にはおおよそ必要のないことだけれど、時として必要になることもある。

 例えばだ、いつも通っているちょっときつめのコーナーにいつもよりほんの少し速い速度で進入した。速いと言っても勿論いつも通り安全に通過できるスピードのはずだった。ところがだ、その日に限って直前に通ったダンプカーが積荷の砂をコーナーの途中の撒いていったとする。

 いつもなら当たりまえに通過できるコーナーの途中で、砂の上に乗ったリアタイヤがズルリとアウト側に流れ出す。当然ノーズはステアリングを切った以上にコーナーのイン側に向かうことになる。つまりオーバーステア状態だ。ステアリングの修正をしないでいるとテールはどんどんアウト側に流れてついにクルマはその場でクルリとひと回り。スピンだ。

 これを避けるテクニックがカウンターステア。ノーズがコーナーのイン側に巻き込むのだから、ステアリングはコーナー外側に向けて切ってやればいい。そうすればアウトに流れ出したテールのスライドが止まり無事にコーナーを抜けることができるというわけだ。

 問題はドライバーがテールが滑り出したことを感じ取ることができるか、出来たとしても、とっさにカウンターステアを必要な量だけあてることができるかである。これをクルマが勝手にやってくれるシステムがあるというのだ。構想や試作段階などではなく、このシステムが既に市販車に搭載されているのだと言うからビックリ驚いた。

 BMWの3/5/6シリーズに設定されている「アクティブステアリング」(可変ギア比を備えた電子制御式ステアリングシステムのこと。我らがHONDAのS2000 Type VのVGS(バリアブル・ギアレシオ・ステアリング)も同類だ)の「自動カウンターステア機能」がそれだ。

 一般公道でカウンターステアを必要とするような運転をしないことが何よも大切ではあるけれど、これからの季節、コーナーの日陰の部分が凍っていたとか、先の例に書いたように路面に砂が出ていたような場合には、時としてカウンターステアが必要になることもある。かつては「逆ハン」を切れることが運転上手の証みたいなところもあったけれど、そんなものはもう必要の無い時代になりつつあるということなんだろうな。

 コーナーでテールが流れ出したらクルマが勝手にカウンターをあててくれる。便利なようだけれど、なんだかちょっと寂しいぞ。


 4本のキャンドルのうち既に3本には火が灯されました(4本のキャンドルについてご存知ない方はこちらをご覧ください)。あと10日でクリスマスです。
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