増ページ大特集

 度々書いている講談社のPR雑誌「本」(サブタイトルには「読書人の雑誌」とある)の2006年1月号が届いた。開いてみてビックリ驚いた。原武史氏(明治学院大学教授)の「鉄道ひとつばなし」が連載10周年記念との事で例月は4ページなのに今月はなんとほぼ倍増の7ページ立てとなっているではないか!

 「日本の鉄道全線シンポジウム(上)」と銘打った特別版だが、果たして「上・下」なのか「上・中・下」なのかはわからない。いずれにしても例月の4ページ立てではちょっと物足りなかった郷秋<Gauche>には嬉しい特別版である。中身は読んでのお楽しみ、とするが、ちょっとだけ「サワリ」を。

 鉄道の話題としては、記憶も生々しいJR福知山線については他の路線よりも多くのスペースが割かれているのは当然だが、50程登場する路線で次に多くのスペースを割いているのがなんと、我が東急田園都市線なのである。複数回登場する路線もあるが、一回で9行を割いた東急田園都市線がその分量としては単独トップの座を獲得している。

 何故か。答えは簡単、原武史氏の最寄り駅が東急田園都市線青葉台駅だからである(個人情報の暴露ではない。過去に氏自らそのことを本連載で記している)。そんな自らの最寄線について氏は「私の沿線は、多摩田園都市と呼ばれる首都圏でも指折りの高級住宅地です。「上質な暮らし」が根付いています。これを文化と呼ばずして、何と呼ぶのでしょうか」と田園都市線に「言わせる」のだが、すかさず阪急神戸線にこう言い返される。

 「ふん、何が「上質な暮らし」だ。芦屋川のお嬢様が聞いて呆れてしまうわ。(中略)「たまプラーザ」だの「あざみ野」だの、「~が丘」だの「~台」だのちゅう駅名が文化的なのかいな」。原武史氏は自虐的でもあるのだ。


 人がそうであるように、樹木にも勿論個性がある。その個性の本質は葉や花ではなくその幹・枝で知ることができると、私は思う。これは柿の木。どう見ても個性的な枝ぶりである。その奔放かつ緻密な枝ぶりが増幅する、凛とした空気感をお伝えできるだろうか。
[ 撮影 : すみよしの森 ]
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