帰化植物

 私が毎週末に歩いている恩田の森では世界中の植物を見ることができます。ヒマラヤ、中東、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ原産の植物が、庭でではなく、道端や田んぼの畦で見ることができるのです。その多くは江戸時代末期の開国以来、諸外国からもたらされたものです。最初は観賞用として大切に育てられたのでしょうが、日本の気候に適合できたものは庭から逃げ出し、そこここで仲間を増やしてきたのです。

 鑑賞用ではなく、輸入する物品が壊れないように、箱の隙間に詰められて日本にやってきたものが今は日本全国に広まっているということもあります。発泡スチロールなどがなかった時代に、荷物の詰め物として使われたのが干草。牧草が主なものですが、その代表が「白い花の咲く詰め草」、つまり「白詰草」、クローバーです。知らぬ人のいない、誰でもご存知のこの花は江戸時代にヨーロッパからもたらされたものです。

 江戸時代ということは、オランダ船によってもたらされたということなのでしょう。ガラスの食器の箱に緩衝材として詰められていたのでしょうか。乾燥したクローバーの種がこぼれて、芽を出し、その種がこぼれて・・・。今では日本全国どこででも見ることのできるクローバー(白詰草)はこんな風にして広がっていったのです。
 

 今日の1枚は、白詰草と同様、ヨーロッパ原産の箆大葉子(へらおおばこ)。在来種の大葉子(おおばこ)に似ていますが、葉が細長く箆(へら)のようだから箆大葉子。
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