FLYING HONDA

 2003年12月、ホンダは機体、エンジン共に自社開発のビジネスジェット、HONDA Jetのフライト試験を開始したことを発表した

 HONDA Jetは6座の小型ビジネスジェットだが、外見上の特徴は、通常このクラスのビジネスジェットが胴体後部左右に装備しているターボファンエンジンを、主翼の上にパイロンを介して配置していることである。これにより、通常は胴体後部を貫くエンジン支持構造が不要となり、胴体後端のスペースを客室や荷物室として有効活用することを可能にしている。

 胴体前部に位置するコックピット部分の造詣が、あたかもイルカの頭部を思わせる複雑かつ柔らかな曲線で形作られているのも印象的である。クルマの風洞実験で蓄積したノウハウを駆使した結果得られた独自の形状で、これにより胴体の空気抵抗低減を図り、大幅な燃費向上に貢献している。

 HONDAにとって空を飛ぶことは、創始者、本田宗一郎以来の大きな夢であるが、これを実現し、あまつさえそれをビジネスとして事業化しようとするホンダの企業姿勢には驚かざるを得ない。第一次世界大戦以降、ヒコーキ屋がクルマをつくったことはあっても、クルマ屋がヒコーキを作った例はないのだから(厳密に言えばまったくないわけではないが、事業として成功した例はない)。

 さしものホンダも全米での販売網とサービス網を構築のためにはパイパー・エアクラフト社と業務提携を結ぶ道を選んでいる。ヒコーキにクルマ以上の完璧な整備と修理体制が求められることは言うまでもないだろう。機体・エンジンは100%自社開発でも、販売・整備においては経験豊富な既存のネットワークを利用する辺りにもホンダの「本気」を感じとることが出来る。

 ホンダはHONDA Jet用の小型ターボファンエンジンだけではなく、小型航空機用のピストンエンジンの開発も進めているようだ。ホンダの「飛びたい症候群」は、どうやら本気のようである。飛ぶことに夢中になってしまったホンダ、それが原因でF1が低迷しているのか?それは、まずいぞ。

注:HONDA Jetは本年秋から受注開始、2010年に初号機の引渡しが予定されている。

 HONDA Jetの写真はWebCGがたっぷりと用意してくれていますので、どうぞお楽しみください
 昨年5月に郷秋<Gauche>がHONDA Jetについて書いた記事もどうぞ


 今日の1枚は、すみよしの森の猫。私が通りかかると足元に擦り寄って来る変な猫です。まるで犬みたい。でも、なんだか血筋は良さそうな感じです。
コメント ( 2 ) | Trackback (  )