クラシカルに聴く、ザ・ビートルズ(その3、最終回)

 最終回となる今日ご紹介するのは”Memories”。なぜか邦題は「悲しみのビートルズ」。日本を代表する作曲家、三枝成彰氏がお馴染みのビートルズ・ナンバー10曲を12本のチェロ用(何声部なのかは不明)に編曲したものを、ベルリンフィルの12人のチェリストが演奏している。

 弦楽器愛好家ならば、すぐにチェロアンサンブルによる演奏であることがわかるが、弦楽器に馴染のない方には、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスによる弦楽合奏だと思われるかも知れない。音域の広いチェロならではのアンサンブルである。

 昨日、すぎやまこういち氏の編曲が素晴らしいことを書いたが、この三枝成彰氏編曲のビートルズも負けず劣らず素晴らしい。それをベルリンフィルの達人たちが弾くのだから美しい事この上ない。弦楽四重奏の、ヴァイオリンの時に鋭い高音ではなく、同じ高音でもチェロの優しい音色によるアンサンブルだからBGMとしても最高。いや、BGMとして聞き流すのは惜しい程上出来なアルバムである。

「哀しみのビートルズ」(三枝成彰編曲) / ベルリン・フィル12人のチェリスト達
FunHouse FHCE-2002  / June. 1992

 こちらも現在は廃盤となっているようだが、幸い少なくない数が中古市場に出回っており、良品でも1000~1500円程度で入手可能なようなので是非お聴き頂きたいものである。

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