3月から日本映画専門チャンネルで、北野武映画特集が始まったので、
北野映画ファンの私としては、これを見逃すわけにはいかない。
特に5月を、<春の映画鑑賞強化月間>と定め実施。
金曜、土曜深夜のお楽しみは、今なお継続中である。
「春の~」とタイトルをつけるくらいなら、映画を見た日をメモしておけばよかったのだか、
そこまで徹底していなかった。とりあえず見た順に記述する。
以下は、詳細なレビューでもなんでもない、完全なる主観&偏見にもとづく、
中年のつぶやきであることをお断りいたします。
「その男、凶暴につき」(1989)
記念すべき北野映画第一作目。
当初は別の監督がメガホンを取る予定だったことは、ファンなら常識。
予定通りその監督が撮っていたら、主人公・東の妹の病名とか、
同僚がなぜヤクザとくっついたか、全部説明してくれただろう。
「お早よう」(1959)
小津安二郎監督作品。なんの盛り上がりもない映画。
でも、笑ってしまう。一度見ているにもかかわらず、ゲラゲラ笑ってしまった。
50年以上も前の日本の風景、服装、言葉遣いは、まるで異国のようである。
しかし、これも間違いなく現在に通じる日本の姿なのだ。
「3-4x 10月」(1990)
北野映画第2作目。
よくわからない映画なのだが、わけのわからなさに惹かれ、数あるキタノ映画の中でも
最も好きな作品であった。
映画のあとに、作品ゆかりの俳優をゲストに招くという番組構成になっており、
この回のゲストは柳憂怜。ゲストの証言により、20年以上も私の中で謎だった事が、ようやく解決。
めでたしめでたし。ますますこの映画が好きになった。
劇場版「伝説巨神イデオン~接触編/ 発動編」 (1982)
イデオンで思いつくことといったら、たいらいさおによる軽快なOPと、
戸田恵子がしっとりと歌い上げるED、さらにはイデオンが合体ロボットであること、
「発動篇」のラストで、全員死亡した登場人物が、魂となって宇宙空間を飛び回ることくらい・・・。
というわけで、数十年ぶりに見直してみた。あー、そうか、こういう話だったのね。
テーマが重い、重すぎる。 難しくてよくわからない。
最後は、<そして、新しい星に生命が宿るのであった…>といったカンジで終わるのだが、
この映画の中で繰り広げられた大殺戮の直後だったので、どうせまた新しい星が生まれたって、
また同じこと(戦争)が繰り返されるんだろうなー、と冷めた見方をしてしまった。
私にとっては、まともすぎる普通の戦争アニメであった。
「テルマエ・ロマエ」(2012)
古代ローマ人の建築技師が現代の日本にタイムスリップする話。アニメ化もされている。
原作でも日本人が古代に時空間移動するのだろうか。ちょっと無理やりな展開に思えた。
でもまぁ単純に楽しめたから、良しとしよう。
「犬神家の一族」 (1976)
市川崑監督作品。約二時間半だったがあっという間に感じられた。
我が家のテレビが原因なのか、それとも古い映画だからなのか、ジトーっとした湿り気のある
映像がたまらなかった。音楽が、「ルパン三世」の大野雄二というのも、これまたいい。
それにしても母親の愛情って怖い。
「あの夏、いちばん静かな海」 (1991)
ここまで来ると体がさすがに疲れてきたのか、この映画ではちょっとウトウト・・・。
若い男女の感情がぶつかりあうわけでもなく、恋人の不慮の事故死に慟哭するわけでもない。
それでいて、見ている側を充分に切なくさせるのだから、極上の恋愛映画と言える。
故・淀川長治氏は、「これこそ映画である」と評したそうだ。
私は、その映画で居眠りしていた。
「ソナチネ」(1993)
この映画よりも、「3-4x 10月」の方がいいと思っていたが、やっぱりこれもいい。
ヤクザが出てきて、ドンパチやって、血が吹き出て、いっぱい人が死ぬのんでいくのだが、
どういうわけか、暴力シーンのあとは不思議と心が落ち着くことに気づいた。
戦争アニメを見たときのようなウンザリ感が、北野映画にはない。 なぜだ?
「カラフル」 (2010)
春の映画鑑賞会の最終回を飾るのは、原恵一監督のこの作品。
アニメを見て涙を流したのは、「トイストーリー3」以来、2本目である。
登場する家族構成は、我が家と同じである。10年後の我が家族の姿か?
2人の子供たちが思春期を迎えるなんて、想像できないな。
映画に出てくる母親とは全く違う境遇・生い立ちとはいえ、
実家の母親のこと、妻のことが頭を何度もよぎった。
あのお父さんの振る舞いも、切なかった。
父親が子供にしてあげられることって、どこか連れて行ったり、
自分の分のラーメンの具をあげることくらいだもんなぁ。
「オレは家族の生活を支えているんだ!」なんて虚勢を張ったところで、
<母性>の前にはやっぱり無力なんだろうな、きっと。
あのお父さんも、きっとそのことを百も承知しているに違いない。
「犬神家の一族」を見たあとだったせいか、この映画からも
凄まじいまでの<母性>を感じざるを得なかった。
以上、春の映画鑑賞会結果報告でした。
では、いずれまた夏の映画鑑賞会結果報告でお会いしましょう。
「さよならっ、さよならっ、さよならっ」
北野映画ファンの私としては、これを見逃すわけにはいかない。
特に5月を、<春の映画鑑賞強化月間>と定め実施。
金曜、土曜深夜のお楽しみは、今なお継続中である。
「春の~」とタイトルをつけるくらいなら、映画を見た日をメモしておけばよかったのだか、
そこまで徹底していなかった。とりあえず見た順に記述する。
以下は、詳細なレビューでもなんでもない、完全なる主観&偏見にもとづく、
中年のつぶやきであることをお断りいたします。
「その男、凶暴につき」(1989)
記念すべき北野映画第一作目。
当初は別の監督がメガホンを取る予定だったことは、ファンなら常識。
予定通りその監督が撮っていたら、主人公・東の妹の病名とか、
同僚がなぜヤクザとくっついたか、全部説明してくれただろう。
「お早よう」(1959)
小津安二郎監督作品。なんの盛り上がりもない映画。
でも、笑ってしまう。一度見ているにもかかわらず、ゲラゲラ笑ってしまった。
50年以上も前の日本の風景、服装、言葉遣いは、まるで異国のようである。
しかし、これも間違いなく現在に通じる日本の姿なのだ。
「3-4x 10月」(1990)
北野映画第2作目。
よくわからない映画なのだが、わけのわからなさに惹かれ、数あるキタノ映画の中でも
最も好きな作品であった。
映画のあとに、作品ゆかりの俳優をゲストに招くという番組構成になっており、
この回のゲストは柳憂怜。ゲストの証言により、20年以上も私の中で謎だった事が、ようやく解決。
めでたしめでたし。ますますこの映画が好きになった。
劇場版「伝説巨神イデオン~接触編/ 発動編」 (1982)
イデオンで思いつくことといったら、たいらいさおによる軽快なOPと、
戸田恵子がしっとりと歌い上げるED、さらにはイデオンが合体ロボットであること、
「発動篇」のラストで、全員死亡した登場人物が、魂となって宇宙空間を飛び回ることくらい・・・。
というわけで、数十年ぶりに見直してみた。あー、そうか、こういう話だったのね。
テーマが重い、重すぎる。 難しくてよくわからない。
最後は、<そして、新しい星に生命が宿るのであった…>といったカンジで終わるのだが、
この映画の中で繰り広げられた大殺戮の直後だったので、どうせまた新しい星が生まれたって、
また同じこと(戦争)が繰り返されるんだろうなー、と冷めた見方をしてしまった。
私にとっては、まともすぎる普通の戦争アニメであった。
「テルマエ・ロマエ」(2012)
古代ローマ人の建築技師が現代の日本にタイムスリップする話。アニメ化もされている。
原作でも日本人が古代に時空間移動するのだろうか。ちょっと無理やりな展開に思えた。
でもまぁ単純に楽しめたから、良しとしよう。
「犬神家の一族」 (1976)
市川崑監督作品。約二時間半だったがあっという間に感じられた。
我が家のテレビが原因なのか、それとも古い映画だからなのか、ジトーっとした湿り気のある
映像がたまらなかった。音楽が、「ルパン三世」の大野雄二というのも、これまたいい。
それにしても母親の愛情って怖い。
「あの夏、いちばん静かな海」 (1991)
ここまで来ると体がさすがに疲れてきたのか、この映画ではちょっとウトウト・・・。
若い男女の感情がぶつかりあうわけでもなく、恋人の不慮の事故死に慟哭するわけでもない。
それでいて、見ている側を充分に切なくさせるのだから、極上の恋愛映画と言える。
故・淀川長治氏は、「これこそ映画である」と評したそうだ。
私は、その映画で居眠りしていた。
「ソナチネ」(1993)
この映画よりも、「3-4x 10月」の方がいいと思っていたが、やっぱりこれもいい。
ヤクザが出てきて、ドンパチやって、血が吹き出て、いっぱい人が死ぬのんでいくのだが、
どういうわけか、暴力シーンのあとは不思議と心が落ち着くことに気づいた。
戦争アニメを見たときのようなウンザリ感が、北野映画にはない。 なぜだ?
「カラフル」 (2010)
春の映画鑑賞会の最終回を飾るのは、原恵一監督のこの作品。
アニメを見て涙を流したのは、「トイストーリー3」以来、2本目である。
登場する家族構成は、我が家と同じである。10年後の我が家族の姿か?
2人の子供たちが思春期を迎えるなんて、想像できないな。
映画に出てくる母親とは全く違う境遇・生い立ちとはいえ、
実家の母親のこと、妻のことが頭を何度もよぎった。
あのお父さんの振る舞いも、切なかった。
父親が子供にしてあげられることって、どこか連れて行ったり、
自分の分のラーメンの具をあげることくらいだもんなぁ。
「オレは家族の生活を支えているんだ!」なんて虚勢を張ったところで、
<母性>の前にはやっぱり無力なんだろうな、きっと。
あのお父さんも、きっとそのことを百も承知しているに違いない。
「犬神家の一族」を見たあとだったせいか、この映画からも
凄まじいまでの<母性>を感じざるを得なかった。
以上、春の映画鑑賞会結果報告でした。
では、いずれまた夏の映画鑑賞会結果報告でお会いしましょう。
「さよならっ、さよならっ、さよならっ」