悠山人の新古今

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072 彼の女の手紙に

2005-10-03 04:00:00 | 新古今集

 詞書に、愛していた女の死後、その手紙を写経用紙に流用するつもりで、とある。貴族にとっても、紙は貴重品だったから、流用は珍しくはなかった。
 読み:彼の女=かのひと。
【略注】○書きとむる=「(筆で)書き留むる」「(葉の流れを)掻き止むる」の巧みな掛詞。
    ○水茎の流れて=「水茎」は「(字を書く)筆」と「(川の)水草」。「流れ」は「水の流
    れ」「筆先の流れるような滑らかさ」「時の流れ(生死流転。行く川の流れは・・・の
    無常観)」に掛ける。この作品は掛詞・縁語・暗喩に満ちている感じ。
    ○藤原公通(きんみち)=通季(みちすえ)の子。按察使(あぜち。本来は地方行政
    監察官)。

短歌写真2005-1003 数多ある

2005-10-03 03:50:00 | 短歌写真

 尾瀬原生林の朝七時。保護林で何よりいいのは、人工の気配がほとんどないことである。雨上がりということもあって、フィトンチッド(*)の横溢を体験する。樹種も実に多様で、無知がもどかしい。写真のように、色もグラデイションに満ちている。都会生活者には秋の森林浴も、心理的・生理的に有効だ。
 読み:樹木=きぎ。
フィトンチッド 「植物から発散される殺菌力のある芳香性物質の総称。森林浴が健康
 によいのはこれを浴びるためとされる。」(広辞苑)
  ここでちょっぴり、私のロシア語講座の仲間に入ってもらうとしよう。この物質は、旧ソ
 連で1930年ごろ、ベ・ペ・トーキン(B. P. Tokin)が発見し命名した。だからФИТОНЦИД
 Ы(フィトンツィードゥィ。男性名詞・複数形)という。ところが日本で紹介されたときに、ФИ
 ТОНЦИД(フィトンツィートゥ、同・単数形。濁音は語尾で対応清音に発音)、fitontsid、日
 本語ふうに訛ってフィトンチッド、となったらしい。
  関連の話は、次のサイトにも詳しい。
    http://www.phyton-cide.org/library.etymology.html