作者と親友とが、別れ別れになることへの寂しさを詠う。
巻九離別歌(りべつのうた)は、0857~0895。
【略注】○雁のつばさにことづてよ=悠 0000(00月00日条) 既出。
○雲のうはがき=「(雁が)雲の上を掻く(掻いて飛ぶ)こと。」「(手紙を)書くこ
と。」を掛ける。
○紫式部=悠024(07月26日条)既出。
【補説】契り。詞書と『紫式部集』との間に、見過ごせない差異がある。「作者以外のふた
りの女性の間のこと」だが、「この詞書では、作者と深い契りを結んでいたことに
なる。」(小学版) 義兄弟ならぬ義姉妹の関係は、法的な権利・義務を伴わない、
いわば当人同士の仲良し関係であって、歌に残るのは珍しい。紫式部のことも、
調べれば調べるほど謎に包まれた部分が出てきて、この霧の中の道案内は、研
究者に任せよう。
ついでながら、作者の娘(大弐三位)の名「藤原賢子」の読みは、『日本女性人
名辞典』では、「かたいこ」だけである。