2006-0503-yms030
あちこちで藻塩焼くのは嘆きの木?
女とみれば口説いてばかり? 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=「歌絵に、海人の塩焼くかたをかきて、樵り積みたる投木のもとに書きて、返しやる」、と詞書。山から採って来た木で、藻塩を焼くのは漁師の役目でしょ? あちらこちらで女性を止めては、焦がれる心をどうして分かってくれないのか、などと、あなたは口説いているそうではありませんか。歌絵の作者も、男(宣孝)か女(紫)か、両説あって、鑑賞にも影響する。「平安貴族は文字を認めるように、ごく気軽に絵を描いていたらしい。」(平王ク) 『源氏物語』にもときどき歌絵が登場するので、ここで彼女が絵に添えてとも、素直に考えられる。掛詞の指摘は新潮版にはなく、下記は平王クを参照した。ただ両者とも、男を「ドン・フアン」と読み下しているが(だからそう現代詠にしているが)、疑問が残る。作者は、焦らしているのか、遊んでいるのか、それとも一般的なのか。
¶かた=「【形・象】 絵。模様。図。」 枕草子23に、清涼殿の北の仕切
りは、「荒海のかた」。(旺文版古語辞典)
¶樵(こ)り積みたる投木(なげき)=藻塩を焼くために積み上げた薪。
¶塩焼く海人=「焼く」に「役」(仕事)を掛ける。以下の「やく」、「なげきを
やつむ」も同工異曲。
□紫030:よものうみに しほやくあまの こころから
やくとはかかる なげきをやつむ
□悠030:あちこちで もしおやくのは なげきのき?
おんなとみれば くどいてばかり?
あちこちで藻塩焼くのは嘆きの木?
女とみれば口説いてばかり? 悠山人
○紫式部集、詠む。
○略注=「歌絵に、海人の塩焼くかたをかきて、樵り積みたる投木のもとに書きて、返しやる」、と詞書。山から採って来た木で、藻塩を焼くのは漁師の役目でしょ? あちらこちらで女性を止めては、焦がれる心をどうして分かってくれないのか、などと、あなたは口説いているそうではありませんか。歌絵の作者も、男(宣孝)か女(紫)か、両説あって、鑑賞にも影響する。「平安貴族は文字を認めるように、ごく気軽に絵を描いていたらしい。」(平王ク) 『源氏物語』にもときどき歌絵が登場するので、ここで彼女が絵に添えてとも、素直に考えられる。掛詞の指摘は新潮版にはなく、下記は平王クを参照した。ただ両者とも、男を「ドン・フアン」と読み下しているが(だからそう現代詠にしているが)、疑問が残る。作者は、焦らしているのか、遊んでいるのか、それとも一般的なのか。
¶かた=「【形・象】 絵。模様。図。」 枕草子23に、清涼殿の北の仕切
りは、「荒海のかた」。(旺文版古語辞典)
¶樵(こ)り積みたる投木(なげき)=藻塩を焼くために積み上げた薪。
¶塩焼く海人=「焼く」に「役」(仕事)を掛ける。以下の「やく」、「なげきを
やつむ」も同工異曲。
□紫030:よものうみに しほやくあまの こころから
やくとはかかる なげきをやつむ
□悠030:あちこちで もしおやくのは なげきのき?
おんなとみれば くどいてばかり?