悠山人の新古今

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紫式部集033 立春に

2006-05-08 04:05:00 | 紫式部集
2006-0508-yms033
立春に氷が溶けて浅川の
底も見えみえ二人の仲も   悠山人

○紫式部集、詠む。
○略注=それほど言うのならと、辺りが暗くなったのに、男は手紙を寄越した、と詞書。立春の風が氷を溶かして、水もよく流れたから、底も干上がりそうだ。きみとの関係も、こんなものかな。こんどは男が余裕を見せる、という筋書き。さて、女はどう出るか、楽しみ、と半ば男が遊んでいる。このあたりの二人の関係についても、論争が絶えない。平王クの検証はかなり詳しいので、一読をすすめる。東風云云は、『礼記(らいき)』由来。
 ¶東風=「こち」ではなく、「こちかぜ」。
 ¶石間=「いはま」ではなく、「いしま」。
 ¶解く=古語辞典の見出し語には、「溶く」がない。現代語では to solve に「解
 く」、to melt に「溶ける」を当てるのがふつう。

紫033:こちかぜに とくるばかりを そこみゆる
      いしまのみずは たえばたえなむ
□悠033:りっしゅんに こおりがとけて あさかわの

      そこもみえみえ ふたりのなかも
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