北朝鮮デノミ:後遺症深刻、物価が10倍以上急騰(上)
北朝鮮が2日午前から一人当たり最大10-15万ウォンの旧貨幣を1000-1500ウォンの新貨幣に交換する作業を開始した、と北朝鮮内部の消息筋が伝えた。貨幣交換は6日まで朝鮮中央銀行の各支店で行われ、7日から新券が流通するという。今回のデノミネーション(デノミ、通貨呼称単位の変更)が完了すれば、北朝鮮の「市場勢力(市場商取引で富を蓄積した人々)」は、自分が保有する現金のうち10万-15万ウォンを除いた残り全部を、事実上、奪われることになる。
脱北者団体の北韓民主化ネットワークなどによると、北朝鮮の中間層は通常、1世帯で100万ウォンほど保有しているという。商売で金を稼ぐ人の中には数百万-数千万ウォンを家で保管する場合も多いという。北朝鮮で10万ウォンは4人家族が2カ月ほど生活できる金額だ。10万ウォンを市場の闇ドル商で交換すると、35-40ドル(約3000-3500円)ほどになる。北朝鮮の住民は4000ウォン-1万ウォン水準の月給のほか、商売などを通じて足りない生活費を補てんする。
北朝鮮内部の消息筋などによると、北朝鮮当局は一人当たりの交換限度額を超える金は銀行に貯蓄するよう指示している。しかし、貯蓄額も30万-300万ウォンまでに制限されている上に、北朝鮮の銀行は預金者が自由に金を下ろせない「強制貯金所」のため、住民の不満が急激に高まっているという。1992年の貨幣改革時は、一人当たり2万ウォンまで貯蓄できたが、後で手にすることができたのは数千ウォンにすぎなかったとのことだ。1ウォンも帰ってこなかった住民も多いという。北朝鮮専門メディアのデーリーNKは同日、「10万ウォンまでは100対1で交換するが、それ以上は1000対1で交換するか、銀行に無制限で貯蓄できるようにした」と報じた。ある北朝鮮内部消息筋は「貯蓄額が多ければ保衛部がその出所を調べるのに、誰が全額貯金するだろうか」と語った。現在、北朝鮮当局が物価を100対1のデノミ比率に合わせて強制的に引き下げるのか、為替レートも調整するのかについては確認されていない。