ウィットナー(WITTNAUER)スモールセコンド
ウィットナーのスクエアー手巻きスモールセコンドです。
文字盤に腐蝕、汚れがあって、ベルトも古いもので剥がれがあります。ゴム糊で補修します。
ベルトはオメガです。尾錠はごく普通の形です。オメガのマークはありません。古いタイプのものなのでしょう。
ベルトは油切れで白くカサカサになっていました。野球のグローブなどに使うオイルを塗り込みます。軟らかくしっとりして、こげ茶色が濃くなってきました。何回か塗り込んで、油を浸み込ませます。
受板はセパレートタイプで古いものです。一体型の受板だと、4番、3番、2番は入るのですが最後のガンギ車がなかなか入りません。その点輪列は、セパレートタイプの方がだんぜん組み上げやすいです。
テンプはスムースに振れるのですが、すぐに止まってしまいます。テンプ、ガンギ車を中心に洗浄します。しっかり動き出しました。テンプのヒゲゼンマイも、大丈夫です。
この当時(1940年代~位)の時計は、ゼンマイ切れや落下させて歯車の芯、特に折れやすいのは天真(テンプ)です。それが無ければ、ほとんど復活します。
以前、時計の修理を始めたころテンプがグラグラして振れない時計で、受板を外して何回も入れ直したのですが上手セットできません。結局諦めて放置してしまったのですが、これは天真の先端部が折れていたのですね。この場合は天真を交換するしかありません。地板側の軸受け穴は、非常に小さくてピンポイントでセットしなければなりませんが、受板側ロート上に穴が作られている場合がありますので輪列を組む場合、まず地板側の穴にしっかり軸を入れることが必要です。
文字盤、スモールセコンドの箇所の汚れが気になったのでレンズクリーニング液で落とします。塗装が腐蝕しているようで、あまりきれいになりません。でも、少しはましになったかな?
ウィットナー( Wittnauer Watch Co. )は、かつて存在したアメリカの時計輸入業の企業・時計メーカーで現在はブローバのブランドのひとつになっています。
1880年(明治13年)、スイスからドイツ系スイス人移民のアルバート・ウィットナーが義弟とともに創業しました。アガシズ(Agassiz)、アンジェラス、オーデマ・ピゲ、ロンジン、トーション(Touchon)等のスイス時計を輸入しました。アメリカが輸入時計に高い関税を課したため、後には、エボーシュ(半完成品の機械)をスイスから輸入し、アメリカ国内で組立て、自社ブランドのケースに入れて販売するようになりました。エボーシュを供給したメーカーがレビュートーメン(Revue-Thommen)だったため、「Wittnauer Revue」というブランド銘が文字盤に表記されているものがあります。(以上出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia))
この時計の文字盤、スモールセコンドの上にも「REVUE」の文字があります。文字盤の一番下には「SWISS」と書かれていていますが、ムーブメントの受板には「Witnauer」と刻印があります。単なるアッセンブルではなく、ケース以外に部品も一部作っていたのでしょうか。
ベルトもオメガだし、ちょっと変わった経歴の時計ですね。ワニ革でサイド(表面だけワニ革)だけではなく表はワニ、裏は牛革のそれぞれ一枚革を貼り合わせて作られています。
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