Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

床ずれ

2020-01-29 | 医療・病気・いのち

在宅医療を受けている方の中には

お尻などに床ずれ(褥瘡:じょくそう)を作ってしまっている方もいる

そのケアは訪問看護師が行うことが多いらしい

 

褥瘡の中には

皮膚欠損の大きさより

内部の広がりがずっと大きいものもある

この状態では内部までの洗浄が十分できないなどの理由からか

治癒が遷延してしまう

そこで基本的には

褥瘡を覆っている皮膚を一部切開して

ポケット状になっている部分を十分露出する必要がある

 

その際切開しなければならない部分は

薄そうに見えてもかなりの厚みがあることが多く

切開による出血コントロールが必要となるので

訪問診療医からするとなかなか自宅で切開というのもむつかしいと思う

そこで切開せずにずるずると様子を見てしまうことも多いようだ

 

長引く褥瘡があるのなら

いちど引き受けてくれる病院にお任せしたほうが

良いかもしれない

 

 


鎖骨上窩リンパ節転移

2014-01-28 | 医療・病気・いのち
消化器癌で
左鎖骨の上の窪み奥に
リンパ節転移を起こすことがある

食道癌で紹介となったHさん
その場所に硬く転移を触れ
さらに首の方にも幾つか触れる

ここに転移が見つかると
かなりの進行状態
手術適応とはならない

検査を進めながら
その辺りのことを
ボチボチ説明していくことになる

病状説明をあまり受けずに
紹介されて来られたので
ボチボチと
でもなるべく速やかに

大きなシコリ

2013-12-24 | 医療・病気・いのち
本人には
ほとんど自覚症状のないまま
腫瘍が育ってしまうことがある

少しお腹が張るような感じに
一週間ほど前に気がついたという
ご高齢のYさん
見ただけでお腹の右側が
盛り上がっているのがわかる

20cm近くある
大きな腫瘍を認める
検査をすると
とても手術適応とはなりそうにない
抗腫瘍薬が効くタイプでなければ
打つ手なし

その辺のところを
徐々に説明しながら
検査を進めることになる
薬が効くタイプだといいが

察知

2013-05-07 | 医療・病気・いのち
一応○○という所に
積立てをしているから
その時はそこに連絡してくれると
いいけどなぁ…

病気の状況をお話ししていても
実際に自分の体調変化がなければ
自分の死後の処置について
口にはされない

Tさんは進行ガンに対し
薬による治療を行っているが
そろそろ
抗がん剤治療の
止め時が近いのかも知れない

検疫感染症

2013-05-02 | 医療・病気・いのち
最近ちょくちょく話題にのぼる
鳥インフルエンザH7N9型

閣議決定として検疫感染症に指定されることになったとか

メディアで伝えられる情報からでは
それほど大騒ぎする段階ではないような気もしますが
政府はなにか重大な情報でもつかんでいるのかもしれない
と少々不安を感じてしまいます

ただひとーひと感染が成立するなら
症状が出てきたころには
すでにその患者さんは多くのウィルスをばら撒いているわけですから
この政令を施行して
強制入院や就業制限を行なっても
おおきなインパクトはないかもしれません

それにしても
中国から公表される情報では
実際どの程度のリスクがあるのか
ちっとも伝わってこないところが
もどかしい


鳥インフルエンザ

2013-04-13 | 医療・病気・いのち

鳥インフルエンザウイルス
H7N9型に対する
検査試薬が完成したようです
全国の 検疫所や
地方衛生研究所に配布されるとのこと

中国から帰国した方で
発熱などの症状のある人は
検査を受けた方がよいかもしれません

それにしても
種を越えて感染を起こしうるということは
鶏と人の細胞膜表面に類似性があるということ

お互いに共通の遺伝子を持つことを
改めて認識させられます

腸閉塞の一歩手前

2012-12-28 | 医療・病気・いのち
なんとなく調子が悪いと
クリニックを受診したUさん
超音波検査で肝臓に影があるといわれ紹介となった

検査をすると
大腸癌からの肝転移であった

大腸癌の部分では
内腔が狭くなり
内視鏡がそこを通過しないほどとなっている
いつ腸閉塞になるかわからないので
入院となった

癌になれば何らかの症状がある
とおもっている人が多いが
早期のうちは症状は出ないことがほとんど

症状が出る頃には
ある程度進行してしまっていることが多いもの

検診が勧められる所以である

肝転移

2012-12-11 | 医療・病気・いのち
 奥様の強い希望で、手術の際に確認した腹膜播種のことをお伝えしていない方がおられる。早晩変化が出てくることをわかった上で、どうしても術後には伝えてほしくないとの事であった。
 術後癌化学療法を続けてきている。術後7ヶ月まではCT上大きな問題は認めなかったが、9ヶ月にして肝臓に転移再発が確認できるようになってきた。薬の変更が必要なので、ご本人に肝転移再発の可能性及び薬剤の変更を説明した。特にいつも通りの様子で帰っていかれたけれど、ショックは大きいですよね。
 さあ、治療計画を立てて、共に進みましょう。私のほうは最後までお付き合いさせて頂くつもりです。

基準の変化

2012-11-27 | 医療・病気・いのち
癌の再発が確認されたときに
腫瘍マーカーも上昇している場合には
その後の治療効果判定に
その腫瘍マーカーの増減を指標として用いる

抗癌剤治療を開始して
その値がぐんぐん下がると
患者さんも 家族も 私も うれしくなる

でも ほぼ正常になったところで
次に少し増えたりすると
その次にはさらに増えるのではないか
つまり現在の薬が効かなくなったのではないか
とどきどきすることになる

すでに適応となる薬を使ってしまい
次に使用できる薬がないという状況で
マーカーに怪しい動きが見られると
もっとどきどきし 不安になる

癌が最初に見つかったときよりも
再発が見つかったときのほうがショックが大きいといわれる
さらに
積極的治療方法がなくなったときにはさらにショックが大きいと言われる

そうなってくると
患者さんそれぞれの人生観 人生哲学が
大きな意味を持ってくることになる
損得なんていう価値基準とはまったく異なる世界へ
飛び立つ必要が出てくる

吃逆

2012-11-21 | 医療・病気・いのち
 しゃっくりのことを吃逆といいます。多くは一過性の現象ですが、時に数日から数週間、難治性の場合は月単位で続くこともあるようです。基本的にはお母さんのお腹の中にいるときに、鼻や口の中の異物を除去するために起こる反射のようで、生まれたあとは、年齢とともにそのような反射が起こることはなくなるとされています。
 成人して起こる場合は、食べ過ぎ飲みすぎなどの刺激による場合が多いようですが、何らかの原因(病気)が隠れていることもあるので、なかなか止まらないようなら、一度診察を受けたほうが良いかもしれません。
 原因を上げるとかなりな量になるのでやめておきますが、最近テレビの宣伝にも出てくる、胃食道逆流症なども原因となることがあります。また、原因がはっきりしないこともしばしばです。
 癌末期の方に起こると、体力を随分奪うのでなんとか止めてあげたいのですが、これがなかなか難しいのです。
 止めるためには驚かせたらいいなんてことを言いますが、その有効性を実感したことはありませんし、まさか患者さんを驚かすわけにもいきません。冷た~い水を飲めばいいとも言いますが、同じく有効性を実感したことはありませんし、水分を取れない患者さんに試すことはできません。咽喉部や鼻腔を刺激することはありときに有効ですがこれとて確実ではありません。
 そこで薬を試すことになります。
 わたしが利用することが多いのは、芍薬甘草湯、ランドセン、コントミン、セレネース、プリンペランなどですが、これらを使用しても止まらないことがあります。そんなとき、残念ながら待つしかないという辛い状況になってしまいます。

バックアップ

2012-11-14 | 医療・病気・いのち
手術には様々な道具を使う
手術中の道具の交換は必要最小限にするとはいえ
その場その時で必要な器械は変わる

そんな器械が途中で壊れたり 故障したりすることがある

その場合は
 在庫のものと取り替える
 直ちに修理する
 代替品を用いる
 可能ならすぐ業者に対応してもらう
などのバックアップ体制が重要
この体制作り一つをとっても
やはり医療というのはお金がかかる
そこを理解してもらわないと
必要以上に経費を絞り
かえってリスクを高める結果となる

一方 使えなくなった器械が出ても
その器械なしでやっていくという手段もある

但し
私は今ほど道具が充実していない時代から外科医をしているので
開腹手術ならたいていのことは乗り越えていく自信はあるが
最近の鏡視下手術はカメラなどが不具合になりバックアップできなければ
もう遂行は不可能である

開腹手術へ移行ということになりかねない

直腸狭窄

2012-11-11 | 医療・病気・いのち
胃癌が腹膜に転移をし
その転移巣が大きくなり
直腸を狭くしてきた

人工肛門を勧めていたが
待ってくれとのことで様子をみていた

しかしとうとう
便が出なくなり救急車で来院

肛門から手袋をつけた指を入れると
10cmほど奥でギュッと狭くなり
全く通らない

緊急手術となる
便の出場所を作る

現在の抗がん剤も十分有効ではない
もう使える抗がん剤はない

症状を少しでも楽にすることが
主眼となる

納まるべきところ

2012-11-06 | 医療・病気・いのち
食道はのどの奥で始まり
胸の奥(縦隔)を通って
おなかの中に到達後
胃へとつながっていきます

胸からお腹への境界には横隔膜があります

横隔膜に食道裂孔という隙間があって
そこを食道が通るのです

ところがその辺りの支えが弱ったりして
食道や胃がずるずると胸の方へ上がりやすくなることがあります
食道裂孔ヘルニアと呼ばれる状態です

さらにこれがひどくなると
胃全体が胸の方へ上がったり
大腸や小腸まで引き連れていったりすることがあります

こうなると
食べられなくなったり
腸閉塞になったり
四六時中胃液が口に上がってきたり
という症状が出る場合があり
そうなると手術が必要です

最近ではかなりひどい状態でも
腹腔鏡を利用して手術ができるので
小さな傷で施行可能です
そして納まるべきところに
胃や腸に納まってもらうわけです

食道裂孔ヘルニアがあっても症状が軽ければ
お薬による治療でも大丈夫です
ただ症状が強くなってくるようでしたら
消化器外科の専門医に一度相談したほうが良いと思います

がん情報サービス

2012-11-02 | 医療・病気・いのち
 国立がん研究センターのがいたい策情報センターが作成しているWebページに、「かん情報サービス」というページがあります。いろいろな種類の癌についての解説、癌の診断方法や治療方法、がんの治療を受けていく上で持っていたほうがよい知識や心構え、などなど様々な情報をまとめてくれています。
 実際に治療を受けている方やそのご家族、ちょっと興味を持った方、医療関係者で癌治療に携わっている方、どんな方でも一度覗いてみることをお勧めします。ダウンロード可能なPDFファイルなども用意されているので、とてもよいページだと思います。
 ブックマークにも入れておきますので、利用してみてください。

肝硬変

2012-10-30 | 医療・病気・いのち
肝硬変を伴っている方の消化器癌手術は気を使う

タンパク合成能が落ちているので
縫合不全などを起こす可能性が少し高くなる

門脈血の流れが滞っているため
消化管からの静脈が腫れあがり
ちょっとした事で出血量が多くなりやすい

術後腹水のコントロールが難しくなったり
肝性昏睡に陥ったりする危険性がある

肝硬変自体が寿命を決定する因子となる可能性があり
癌の根治性をどこまで追及するかは
肝硬変の状態と癌の進行度を天秤にかけ判断しなければならない

などなど
考えなくてはならないことが
多くなる

手術するかしないかも含め
患者さんと良く相談して
治療方針を決めていくが
肝臓の予備能力というものを
完璧に判断する方法というのがないので
なかなか難しい