生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

メタエンジニアの眼(168) チェンジリーダーの条件(ドラッカーの教え07)

2020年02月22日 07時23分19秒 | メタエンジニアの眼
メタエンジニアの眼(168)       
 TITLE: チェンジリーダーの条件(ドラッカーの教え07)

このシリーズは企業の進化のプロセスを考える際に参考にした著作の紹介です。            
『』内は,著書からの引用部分です。                       )

書籍名;『チェンジリーダーの条件』 [2000] 
著者;P.F.ドラッカー
発行所;ダイヤモンド社 発行日;2000.9.29
初回作成日;R2.2.21 最終改定日;



 上田惇生が過去のドラッカー本を纏めたシリーズの3冊目にあたる「マネジメント編」。ちなみに、「プロフェッショナルの条件」は「自己実現編」で、「イノベーターの条件」は「社会編」となっている。巻末には、
1939年から1999年までの31冊のドラッカー本が引用文献として挙げられている。ドラッカー思想の基本は「マネジメント」なので、この本がまさに総集編とも思えるのだが。

カバー裏に纏めが書いてある。「変化はコントロールできない。できるのはその先頭に立つことだけである」まさに、この言葉がすべてを表している。現代は、変化が常態化している。生き残るには、チェンジリーダーになりなさいというわけである。この言葉は、日本人へのへの励ましなのか、お悔やみなのかは分からない。なぜならば、彼の眼には日本では政府も大企業も、IT時代には通用しない旧式のマネジメントが行われていると映っているように書かれているから。

・マネジメントの主機能
 情報を知識に転換し、知識を行動に具体化すること。
 最初の定義は1950年代までの「地位と権力を持つ者」、それから「部下を持つ者」、さらに「部下の働きに責任を持つ者」と変化して、現代は、「知識を行動に具体化することに責任を持つ者」になった。(pp.ⅳ)

 本文は、「マネジメントとは何か」、「マネジメントの課題」、「マネジメントの責任」、「マネジメントの基礎知識」と続く。

・新しいコスト管理
 これまでは独立して行われてきた分析手法の、価値分析(VA),プロセス分析、品質管理(Quality Control)、原価計算を統合すること。(pp.139)
 さらに、「経済連鎖全体のコスト管理する」ことへ。つまり、自社だけの管理から視野を広げて、『最大の企業さえ環の一つであるにすぎない』(pp.142)との認識に立つこと。この成功例としては、コカ・コーラとトヨタを挙げている。

・起業家精神のマネジメントの4つの戦略
① 総力戦略
② ゲリラ戦略
③ ニッチ戦略
④ 顧客創造戦略
これらは、比較的わかりやすい。

・過去の日本企業の成功例は二つのゲリラ戦略
① 創造的模倣戦略;クオーツ時計初期に、スイスは高級指向で、セイコーの普及品指向に敗れた。
② 柔道戦略;ソニーは1947年にベル研究所からトランジスタ技術を購入して、真空管ラジオと比べて、重さ5分の一、値段3分の一のポータブルラジオで米国市場を手に入れた。

まさに、「変化はコントロールできない。できるのはその先頭に立つことだけである」になっている。