ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#189

2019-06-08 12:00:09 | 刑事ドラマ'70年代









 
マカロニ(萩原健一)時代の第50話『俺の故郷は東京だ!』以来となる、坂口良子さん2度目のゲスト出演作。

前回はアイドル然とした可憐な演技を見せた坂口さんが、今回はアイドル然とした可憐な女子に見えて、実はその裏で……という、二面性を持った女を巧みに演じておられ、約2年間の成長を感じさせてくれます。

また、本作は『ドラえもん』の声優として有名だった女優=大山のぶ代さんが脚本に参加された事でも知られるエピソード。

恐らくヒロインの人物造形が大山さんのアイデアで、サスペンス的な作劇を四十物光男さんがサポート、それを小川英さんがまとめる形で創られた脚本かと思われます。

面白い、というか不思議なのは、本エピソードを含め5本の脚本を執筆されてる大山さんだけど、なぜか『太陽にほえろ!』以外の作品は1本も手掛けておられないんですよね。

何か特別な縁があったのか、あるいは大山さんが熱烈な『太陽』ファンだったのか、今となっては確かめるすべもありません。


☆第189話『人形の部屋』

(1976.2.27.OA/脚本=小川 英&大山のぶ代&四十物光男/監督=児玉 進)

ファッションショーのリハーサル中に有名デザイナーが毒殺され、人気モデルの二階堂ユカ(坂口良子)がファンからプレゼントされた、チョコレートに毒が盛られてた事が判明します。

となると、犯人の真の狙いはユカだった可能性が高いって事で、彼女を警護する長さん(下川辰平)。天真爛漫で自分を父親のように慕って来るユカに、長さんはメロメロになっちゃいます。

ところが、捜査線上に浮かんだ男がユカと一緒にいたという目撃情報が! ユカは、殺されたデザイナーが経営する洋装店の、有力な跡継ぎ候補だった……つまり、殺しの動機がある。

ユカの無実を願いながら、真相を追及する長さん。ショックを受けたユカは、マンションの屋上に駆け上がり、飛び降りようとします。そして、必死に抱き止める長さんを、今度は屋上から突き落とそうとするユカ。やはり、彼女が真犯人だった……

貧しい家庭で育ったユカは必死に働き、家計を支えて来た。その為に、今すぐにでも洋装店を継ぎたかった。

「ボス……あの子はきっと、子供でいられた時が無かったんです。だから、二十歳にもなってあんなに子供っぽく……そう思うと、無性に不憫で……」

ユカの部屋を埋め尽くすように並ぶ人形の数々は、彼女の歪んだモラトリアムを象徴してたワケです。私の部屋にも、マジンガーZの人形が無数に並んでますw

「すみません……年甲斐もなく、我ながらみっともない事でした」

「長さん、みんな同じだよ。同じ気持ちでなきゃ、誰も長さんをそんなに心配しやしないよ」

「ボス……」

そう、天真爛漫で一生懸命な若い女子に、オジサンは誰しも弱いもんなのです。そうですよね、ご同輩の皆さん?

私は違いますけどねw 私の場合は、ただエロ目線あるのみ。エロは嘘をつきませんw

女は、平気で嘘をつきます。ユカが長さんになついたのも、このお人好しそうなオジサンなら上手く騙せると直感したからでしょう。女は怖い!

長さんが若い女子に翻弄される構図は、コメディタッチの第40話『淋しがり屋の子猫ちゃん』を彷彿させますが、結末は正反対に厳しく、ほろ苦いものとなりました。殿下(小野寺 昭)と同じで、長さんにもこういう試練のエピソードが多いんですよね。殿下のせいです。

なお、今回は長さんの娘が人気モデル=ユカの大ファンって設定で、長さんファミリー(西 朱実、井岡文世、石垣恵三郎)も勢揃いで登場します。画像3枚目をご覧下さい。息子役の石垣恵三郎さん、顔の作りも表情も長さんソックリですw

それはともかく坂口良子さん、当時20歳。可愛いです。近年なにかと話題になった娘さん、似てなくはないけど、お母さんほどの華は感じないですね。
 
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『太陽にほえろ!』#187

2019-06-08 00:00:26 | 刑事ドラマ'70年代









 
マカロニ(萩原健一)時代の第13話『つかみそこねた夢』以来となる、竹下景子さんのゲスト回。あの時は端役で芝居も拙かったけど、今回はメインゲストで堂々たる演技を見せてくれます。

テキサス=勝野 洋さんと竹下さんは、後に『太陽』と同じ岡田晋吉プロデュースによる連続ドラマ『姿三四郎』と、岡本喜八監督の映画『ブルークリスマス』で2度、恋人を演じる事になります。(両作ともスコッチ=沖 雅也さんも共演)

また、本作はボン(宮内 淳)登場編以来のテキサス&ボン本格コンビ作としても記憶に残るエピソード。二人して廃屋に泊まり込んでの張り込みシーンは『俺たちの勲章』第1話における松田優作&中村雅俊を彷彿させ、幻の企画『俺たちの勲章PART2』をも夢想させてくれます。

ボン&ロッキー(木之元 亮)ほど絶妙じゃないけど、テキボンコンビもなかなかどうして、イカしてます。


☆第187話『愛』(1976.2.13.OA/脚本=杉村のぼる&小川 英/監督=児玉 進)

スーパーマーケットの金庫が荒らされ、警備員の目撃情報から、犯人は従業員の今井だと判るんだけど、いくら調べても彼に関する個人情報が一切見つからない。

唯一、喫茶店に忘れて行った新品のレコードを手掛かりに、今井が通うレコード店に辿り着くテキサス&ボン。

今井は、店員の三恵子(竹下景子)が目当てで店に通っていたらしいけど、彼女は今井という男は知らないと言う。ただし、モンタージュ写真は知人の健治(三景啓司)によく似ているらしい。

医大生の健治は、ワーグナーの音楽を愛する三恵子にウィーン旅行をプレゼントすべく、資金を借りるため実家に戻っていると三恵子は言う。

ところが、調べるとそんな実家は存在せず、健治は奨学金で大学に通う苦学生だった。怪しい……けど、海外旅行の資金欲しさに金庫破りまでする奴がいるだろうか? アルバイトか何かでコツコツ貯めれば良いものを……

その疑問は、三恵子がホジキン病という不治の病に侵されてる事実により解明されます。実習で三恵子の検査を担当した健治は、彼女の余命が1年も無いことを知ってしまった。今すぐにでも資金を調達しないと間に合わないワケです。

三恵子を愛してしまった健治は、今井という架空の人物を装ってスーパーで働き、金庫破りを決行した。三恵子との接点が無い「今井」が捕まっても、彼女に捜査が及ぶ心配は無いから……

しかも健治は、そうまでして調達した資金を、三恵子の世話を担当する看護婦に託していた。つまり、彼は旅行に同行しない。三恵子の夢さえ叶えばそれで良いってワケです。

愛です。一切の見返りを期待しない、究極の愛。

泣けます。泣けるんだけど、これじゃあ竹下景子&三景啓司の純愛メロドラマで終わっちゃいますw

『太陽にほえろ!』はそういう番組じゃない。あくまで刑事のドラマ。刑事が葛藤と苦悩を乗り越え、成長するストーリーじゃないとダメなんです。

だからボス(石原裕次郎)は、わざわざテキサスに試練を与えます。まず、健治が窃盗犯の今井と同一人物であることを、三恵子に知らせろと命令する。

「そんな残酷なこと、僕たちがする必要あるんですか!?」といきり立つボンに「俺たちは刑事なんだ」とクールに言い放っておきながら、結局何も言えずにトボトボ帰って来る、お茶目なテキサス先輩w

で、三恵子のウィーン行きが決まったと見るや、今度は「彼女には何も知らせるな」とか言い出す二枚舌のボスw

健治は恐らく、三恵子の旅立ちをこっそり見送るべく、空港に来るだろう。……そう、三恵子をオトリにして健治を逮捕しろ、とボスは言うワケです。さすが鬼ですw

案の定、空港に現れた健治を、何とか三恵子に気づかれずに確保するテキサス&ボン。

だけど、健治はあくまで「僕は今井だ!」と言い張ります。健治=今井であることを証明できる人物は今、一人しかいない……

テキサスは心を鬼にして、三恵子を健治の前に連れて来るのでした。

「どうして行かせてくれないんだ! あと1時間、眼をつむってくれたらウィーンへ行けたんだ。ワーグナーを聴けたんだ。それさえ出来たら、僕は自首するつもりだった。なのに、どうして行かせてくれないんだっ!?」

健治の絶叫と三恵子の涙に、ひたすら耐えるしかないテキサスとボン。

現在の刑事ドラマなら、三恵子を飛行機に乗せてあげる刑事がヒーローになるかも知れません。でも『太陽にほえろ!』は……というか岡田プロデューサーは許しませんw 盗んだ金で人を幸せになど出来ないし、出来ちゃダメなんです。

しかし、それにしても切ない結末に、すっかり意気消沈するテキサスとボン。そんな二人に、ボスが報告します。三恵子はいつもの明るい顔で、拘置所の健治に差し入れに行ったと。

「彼女なら大丈夫だ。例えあと1年しか生きられなくても、悔いの無い人生を送るだろう。あの子はそれが出来る子だ。テキサス、ボン、そう思わんか?」

心の中で「あんた、オトリに使ったやん!」ってツッコミながらw、しんみりと頷くテキサス&ボンなのでした。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする