殿下(小野寺 昭)の妹=島 京子として、中田喜子さん(当時22歳)がジーパン(松田優作)時代の第73話『真夜中に愛の歌を』以来となるゲスト出演。
偶然なのか意図的なのか不明ですが、その第73話で中田さんの恋人役だった堀内正美さんが今回も共演、屈折した殺人犯役で本領を発揮されてますw
なお、島京子は第33話にもチラッと登場しますが、その時は別の女優さんが演じておられました。
☆第194話『兄妹』(1976.4.2.OA/脚本=小川 英&四十物光男/監督=山本迪夫)
トラックの荷台から女性の絞殺死体が発見され、被害者は東京行きのバスツアー参加中に行方不明になっていた事が判明します。
そのツアーには、京都に住む殿下の妹=京子(中田喜子)も参加しており、被害者は京子から譲り受けたスカーフを巻いていた。
そう、犯人=武上(堀内正美)の狙いは京子であり、被害者は人違いで殺されたのでした。
藤堂チームの素早い行動により京子は保護されたものの、武上は起爆装置付きダイナマイトを盾にツアーバスをジャック、乗客全員の生命と引き換えに、京子を連れて来ることを要求します。
粗筋だけ書くと物凄い凶悪犯みたいに思われるでしょうが、なにしろ演じてるのは堀内正美さんです。線は細いし屈折してますw
武上はただ、京子と二人きりで話がしたいだけ。でも屈折してるから女性には疎まれがちで、先の殺人も被害者がひどく彼を拒絶したのが原因らしい。映画『悪人』の妻夫木聡くんを彷彿させる犯人像です。
藤堂チームは、乗客30人の命と京子の命を天秤にかける羽目になっちゃいました。誰も答えが出せない中、殿下だけが毅然として、京子に言い放ちます。
「武上はお前と話したいと言ってる。行ってくれ」
「えっ?」
京子はショックを隠せません。実の妹に、なぜそんな危険なことをさせるのか? 兄にとって、たった1人の妹よりも刑事の任務の方が大事なのか?
京子は、保護された際にボン(宮内 淳)とこんな会話を交わしてました。
「小さい頃、甘えてばかりいた反動かしら。なんだか今はサバサバしちゃってるんです」
離れて暮らし、滅多に会えない兄妹なのに、寂しい素振りを一切見せない二人の気持ちが、ボンにはよく解りません。
「だって、よくよく考えれば、兄妹なんてただ血が繋がってるってだけでしょ? そう割り切ってるんです」
「そんなもんかなぁ」
「それに、兄は刑事です。刑事っていう職業は、人間的な繋がりっていうのかな、そんなものが入り込む余地が無い職業なんでしょ?」
同じ刑事であるボンに向かって、こんな事をシレッと言っちゃう京子って、なかなかのタマですよねw さすが紅組キャプテンです。
「いや、島さんは違いますよ!」
「そうでしょうか?」
「そうですよ!」
ボンって、ほんとイイ奴ですよねw 自分はともかく殿下はそんな人じゃない!って……もしかしたら自分も刑事だってことを忘れてるのかも知れないけどw
さて、浜松で乗客全員を解放した武上は、京子をジープに乗せて逃走を謀ります。砂丘に入ればパトカーも追跡出来ないだろうってワケです。
だけど甘かった。警察にはヘリコプターという便利な乗り物がある事を、彼は知らなかった。
上空のヘリから決死のダイビングで砂丘に降り立ち、捨て身になって京子の命を救ったのは勿論、殿下に決まってます。
『太陽』名物、スローモーションによるクライマックスの大格闘シーンは、演じてるのが小野寺昭VS堀内正美なだけに迫力は全然無いんだけどw、京子の誤解を解くには充分な効果があった模様です。
「妹だから言えたのよね。行けって……危ないけど行けって」
そう、もし京子が赤の他人だったら、殿下は決して行かせなかった筈です。
「私、あのとき初めて解ったの。兄妹ってどういうものか」
「京子……」
島京子は翌年放映の第282話『婚約指輪』で再登場、婚約者として秋野太作というクセ者を連れて来て、大いに殿下を困らせますw