ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#192

2019-06-11 12:00:12 | 刑事ドラマ'70年代





 
後に『太陽にほえろ!PART2』で二代目ボスを演じられる、奈良岡朋子さんがゲストで登場、初代ボス=石原裕次郎さんとガッツリ競演された作品です。

二代目ボスと言えば、番組終盤で係長代理を務めた渡 哲也さんだろう、否、平成復活版の舘ひろしさんだろう、いやいや、ボスと呼べるのは裕次郎さんしかいないだろう、等々、色んな意見があるでしょうが、知ったこっちゃありませんw

奈良岡さんと裕次郎さんは映画で何度か共演されて家族ぐるみの付き合いがあり、裕次郎さん自ら後任に奈良岡さんを推薦されたそうで、恐らく今回のゲスト出演も裕次郎さんからの声掛けがあったものと思われます。

歴代ボスの共演と言えば、'80年代に放映された石原プロモーションの特集番組(と言っても石原軍団がハワイで豪遊するだけの内容w)で、裕次郎さん、渡さん、舘さん、奈良岡さんが同じテーブルで食事する、奇跡の4ショットが実現してます。(ちょっと前にCSで再放送されました)

そこにはドック=神田正輝さん、マイコン(笑)=石原良純さん(笑)もいたワケで、なにげに七曲署カラーの濃い番組だったと、まぁ言えなくもありません。

それはともかく、本作はストーリーの大半がマンションの一室における、裕次郎さんと奈良岡さんの二人芝居だけで展開されるという、異色のサスペンスとしても非常に印象深いエピソードです。


☆第192話『2・8・5・6・3』

(1976.3.19.OA/脚本=中村勝行&小川 英/監督=児玉 進)

もぐりの貴金属ブローカーが殺害され、その取引相手である輸入業者の滝田(北原義郎)を連行する藤堂チーム。

犯人は滝田と見て間違いないんだけど、取引された多額の現金は行方不明。唯一の手がかりは、完全黙秘を続ける滝田の手帳に記された謎の数字「28563」。

捜査が難航する中、滝田の妻=美也子(奈良岡朋子)が七曲署を訪ねて来ます。取り調べ中の容疑者と面会させるワケにも行かず、ボス(石原裕次郎)は近くの喫茶店に彼女を連れて行くのですが……

そこで美也子は何者かの襲撃を受け、助けようとしたボスもろとも拉致され、マンションの空き部屋に監禁されてしまいます。

高層ビルの上階で脱出不可能、しかもガラス張りで周囲のビルからいつでも狙撃出来る上、室内の至る所にニトログリセリン入りの瓶が配置されいる!

もし、その瓶が1本でも狙撃されたら、ニトロが爆発して二人は部屋ごと木っ端微塵になってしまう。

そんな大掛かりなトラップを用意してまで二人を監禁する、犯人たちの目的はもちろん、滝田が取引現場から持ち去った多額の現金。その隠し場所を示してるであろう、例の5桁の数字を聞き出したいワケです。

果たして、万策尽きたボスが犯人に数字を教えるのが先か、藤堂チームの部下たちがその場所を探し当てるのが先か?

結末を言いますと、それはほとんど同時でした。そりゃ当然、ボスが命惜しさに捜査情報を漏らして犯人の勝ち、なんて事になるワケがありませんw

本作の肝はそこじゃなくて、いったい誰がこのトラップを仕掛けたのか?という点にあります。もうお分かりですよね。

土壇場で正体を表し、ニトロの瓶を盾にして数字を聞き出そうとしたのは、一緒に監禁されてた筈の美也子。全ては二代目ボスが仕組んだ事だった。

もちろん、初代ボスも負けてません。美也子が切り札に使った瓶は、ボスがこっそりすり替えた、ただの水入りの瓶なのでした。

ボスは、最初から美也子が黒幕だと気づいてたんでしょうか? やっぱり初代ボスは、完全無欠のスーパーマンなのか? 今回もまた、私はブログに「正体を見抜けた理由は、ボスだからです」って書かなきゃいけないのか?

「違う。すり替えたのはあなたを守る為だ。時間が来てあの連中がやって来れば、必ず又あのニトロを使うだろう、ただそう思っただけです」

さすがに、今回の敵は二代目ボスとあって、初代ボスもその正体には気づいてなかった様子です。

「奥さん。あなたがプロの悪党にでもなる気なら、大いに自慢しなさい。私がこれほど見事に騙され、これほど女性を怖いと思ったことは、生まれてこれが初めてです」

日本テレビ刊「太陽にほえろ!脚本集」の第3巻に掲載されたシナリオに、上記のセリフは存在しません。オリジナル脚本では、ボスはかなり早い段階で黒幕の正体を見抜いてるんですよね。

つまり、撮影直前、もしくは撮影現場において急遽、ボスがすっかり騙されてた設定に変更されたワケです。

それはやっぱり、あまりにボスが完全無欠なスーパーマンになり過ぎちゃ面白くなかろうっていう判断なのか? あるいは、ゲストの奈良岡さんをもっと立てる為の措置なのか? いずれにせよ、それは誰の提案による変更だったのか? 興味が尽きません。

なお「28563」という数字の正体は、銀行の隠し金庫の暗証番号でした。いまいち意外性が……w
 
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『太陽にほえろ!』#191

2019-06-11 00:00:15 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第191話『冬の女』(1976.3.12.OA/脚本=畑 嶺明&小川 英/監督=竹林 進)

勤め先の喫茶店の用事で銀行に出向いたウェイトレス=知子(浅野真弓)が、下ろしたばかりの現金三百万円をひったくられ、犯人を捕まえようとした通行人も刺殺されてしまいます。

1年前、結婚式の当日に花婿を目の前で射殺されたという、凄絶な過去を持つ知子。その事件を担当した刑事が、まだ城南署にいた頃のボン(宮内 淳)なのでした。

災難続きの知子に同情したボンは、今回唯一の目撃者である彼女を警護する内、どんどん惹かれていきます。

関わった女性にすぐ惚れちゃうボンと、その様子を見てニヤつくテキサス先輩(勝野 洋)という、お馴染みの構図が今回も見られるワケですw

捜査が難航する中、犯人からの脅迫電話で店をクビになる等、なおも災難が続く知子は、都心を離れ、友人が勤める伊豆の温泉旅館で働くことを決意。テキサスとボンが送り届けることになるのですが……

一方、ひったくり事件当日に別の殺人事件で手配中の男=江原(辻 萬長)が現場近くにいた事を突き止める藤堂チーム。知子の記憶によるモンタージュ写真とは全く似てないけど、複数犯の可能性もある。

この辺りで、いつもなら山さん(露口 茂)が疑惑の眼を知子に向けそうなもんだけど、彼女には同情すべき過去があるせいか、今回ばかりは誰も気づきません。

そう、知子は、江原と繋がっていた。愛人関係であり、ひったくり事件は警察の眼を彼から逸らす為の偽装だった。

何も知らないテキサスとボンは、伊豆に現れた江原を確保してひと安心。火曜サスペンス劇場のロケ名所に違いない断崖で、知子が差し入れたコーヒーを飲み、強烈な眠気に襲われます。

そしてテキサスは崖から突き落とされ、ボンは拳銃を奪われて被弾という、あわや新人刑事2人まとめて殉職!?という空前絶後の大ピンチ。

特にテキサスは、本番の殉職編より凄絶なビジュアルでぶっ倒れ、もはや追跡不可能。新米のボンに全てが託されます。

「なぜだ? なぜあんな男と!? あいつは殺人犯だ!」

「でも、私には優しいわ。とても優しいのよ」

「駄目だ! 江原と逃げたりすれば、君はもっと不幸になるだけだ! どうしてそれが分からないんだ!?」

「あの人と一緒にいる為だったら私、不幸なんか怖くないわ!!」

その気持ち、解らなくもないけど、相手は2人もの一般市民を殺した凶悪犯です。しかも、ボンに拳銃を向ける知子の背後で、江原はモーターボートに乗り、サッサと1人で逃げようとしている!

「あの音が聴こえないのか? あいつはそういう男だ!」

「違うわ! あれは別のボートよ。別のボートよ!!」

「見るんだ! 海を見るんだ! あいつの正体を見るんだ!!」

ボンに拳銃を奪い返され、逃げる江原の姿を無理やり見せられても、知子は現実を受け入れようとしません。

「あなた達のせいだわ……あなた達さえ来なければ、あの人、逃げたりしなかった」

警官たちに支えられて駆けつけたテキサスが、ボンに檄を飛ばします。

「ボン。逮捕だ」

好きになった女性に手錠を掛けなきゃならない、『太陽にほえろ!』の恒例儀式とも言えるシチュエーション。

「ボン、お前は刑事だ。逮捕するんだ。聞いてるのか! お前は刑事だ! ボン!」

この試練、歴代刑事の中でもボンがダントツに経験数が多かったように思います。そりゃ誰よりも惚れっぽいから仕方ありませんw

まぁしかし、知子が現実を認めたくないのも理解出来ます。目の前で花婿を殺されて、まだ1年しか経ってないんだから。

それでも、時が経てば、いずれ彼女にも本当のことが解る。テキサスがボンを励まします。

「お前の気持ちだって、きっと解るさ。そうすれば、彼女もきっと立ち直る」

ボス(石原裕次郎)もまた、指でブラインドをこじ開けながら言うのでした。

「俺もそう思う。だがな、ボン。それは単に俺たちの気持ちであって、いくらデカでも人の心の中までは立ち入ることは出来んのだよ。……解るな?」

「……はい」

ほんと、いい職場ですよねw 特にボンには、みんな優しかったような気がします。

薄幸の女・知子を演じた浅野真弓さんは、当時なんと19歳!(ちょっと信じがたいけどWikipedia情報です)

1972年、15歳でNHKドラマ『タイム・トラベラー(時をかける少女)』のヒロイン、つまり高校生を演じておられますから(当時のクレジットは本名の島田淳子)、実年齢より大人びた方だったんですね。

'73年の『雑居時代』から浅野真弓名義となり、『おじさま!愛です』や『敬礼!さわやかさん』に主演、刑事ドラマは『明日の刑事』『華麗なる刑事』『七人の刑事』『特捜最前線』『大空港』『噂の刑事トミーとマツ』等、ゲスト出演多数。

1984年にミュージシャンの柳ジョージ氏と結婚し、程なくして芸能界を引退されてます。
 
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