1961年10月、TBSの『七人の刑事』とほぼ同時にスタートし、’77年3月まで実に全801話という、60分枠の刑事ドラマとしては最も多い制作本数を誇り、また現在まで脈々と続くテレビ朝日&東映タッグによる刑事物の原点と言えるのが『特別機動捜査隊』でした。
で、本作は’63年3月に公開された、太田浩児監督による上映時間60分の劇場版。テレビのレギュラーキャストをそのまま使った『七人の刑事/終着駅の女』とは対照的に、役名はテレビ版に準じつつも劇場版オリジナルのキャスティングになってます。
↑どう見ても暗黒街の顔役にしか見えない、立石主任(安部 徹)と橘部長刑事(織本順吉)。
↑荒牧刑事(南 廣)と桃井刑事(亀石征一郎)。
↑そして若手の内藤刑事に扮したのが、まだ『キイハンター』でスターになる前の千葉真一さん。完全に新人扱いで、アクションの見せ場はおろか台詞もロクにありません。
↑ゲストは中原ひとみさん、曽根晴美さん、室田日出男さん。実に個性豊かです。
ストーリーは、撮影スタジオで殺された時代劇スターと、自殺した女子高生との意外な繋がりを警視庁特捜隊が炙り出すというもので、やっぱりドラマは犯人側にあり、刑事たちは狂言回しに過ぎません。
ただ、ドキュメントタッチの『七人の刑事』とはこれまた対照的に、エンタメ要素が豊富なのが『特別機動捜査隊』の特徴。BGMも賑やかです。
派手さは無いけどカーチェイスや銃撃戦の見せ場もあり、終始淡々と進む『七人の刑事』より遥かに見やすいです。
ただし、せっかくの千葉真一さんにアクションの見せ場が皆無なのは、残念にも程があります。当時はまだ、千葉さんご自身もアクションで注目されるとは思われてなかったでしょうけど。
劇場版であること(すなわちグレードアップ)を意識してか、ロケーションも泥臭い場所が避けられたような感じで、やけにスタイリッシュ。
もっと昭和の匂いがプンプンする映像を観たかったもんで、私にとってそれは逆効果。その点で言えば、同じTVドラマの映画化でも『七人の刑事』の方が良かったですね。
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