ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大阪物語』

2019-01-27 00:00:30 | 日本映画









 
夏が来て 短いスカート 風よ吹け

1999年に公開された、市川 準 監督・犬童一心 脚本による日本映画『大阪物語』が、今になってようやくDVDリリースされました。なぜ今までDVD化されなかったのか、これは映画界の七不思議と言えましょう。

しかし、かく言う私も公開当時は劇場鑑賞せず、レンタルVHSが出た時に借りて観たものの、その時はさして感動もせず返却しちゃいました。もし、本作がタベリスト仲間gonbeさんのフェイバリット映画の1本でなければ、今回観直すことも無かっただろうと思います。

なぜ、当時の私の琴線には触れなかったのか? あらためて観てよく解りました。

これは大阪というコッテコテな町を描きながら、洗練された映像と自由な作風がまるでヨーロッパ映画なんですよねw だからハリウッドのアクション大作にまだまだ夢中だった、当時の私にはイマイチ響かなかった。

つまり予定調和や起承転結が無い世界。私は老若男女が気軽に楽しめるエンターテイメントを今でも愛してるけど、計算ずくのアトラクションに辟易する側面もあり、やっとこの映画の魅力が解る感性になって来たというか、いわゆる「追いついた」って事かも知れません。今回は大いに楽しめました。

ストーリーが無いワケじゃありません。むしろ、相当に波瀾万丈なファミリーヒストリーが描かれてます。

落ち目の夫婦漫才コンビ(沢田研二&田中裕子)の「憎みきれないろくでなし」そのものな夫が愛人を妊娠させ、離婚。その愛人と再婚したジュリーは、元妻と子供たちが住む同じ長屋の4軒隣に部屋を借り、行ったり来たりの日々を満喫。だけど長年の不摂生が祟って体調を崩し、漫才の本番中に倒れたりなどして、芸人としての限界を悟ったのかある日、失踪しちゃう。で、誰も彼を探そうとしない状況に痺れを切らせた長女の若菜(池脇千鶴)が、父探しの旅に出る。

普通の感覚で考えれば不幸としか言いようない境遇なのに、この映画には悲壮感がカケラもありません。そこがgonbeさんのハートを掴んだ最大のポイントかも?

物語は全て若菜の視点から描かれ、後半は好きな男子と二人で逃避行する「ひと夏の冒険」ストーリーになってたりして、ちょっとファンタジックでさえあるんですよね。そこにはもしかすると、彼女の妄想が混じってるのかも知れません。

つまり、本来なら悲しいストーリーが、生まれつきポジティブな若菜の眼を通して描かれることで、なんだか楽しいものに変換されちゃう二重構造。もしもナレーションが彼女のノホホンとした大阪弁じゃなく、岸田今日子さんや来宮良子さんあたりの乾いた標準語だったら、この映画の印象は(映像が同じでも)180度違ったものになった事でしょうw

そのポジティブさ(というより寛大さ……いや、鈍感さか?)は若菜に限った事じゃなく、夫の浮気相手が産んだ赤ちゃんと嬉しそうに風呂に入る、若菜の母親にも言えること。

まるで何もかも達観し、如何なるトラブルも楽しんでるように見える生きざまは、彼女自身が芸人であるのもさる事ながら、それ以上に「大阪人」であることが大きいような気がします。なぜなら、町の人みんながそんな感じに見えるから。

だからこの映画は『芸人物語』じゃなくて『大阪物語』。現実には大阪人にも色んなタイプがいて、こんな超越したキャラクターの人は実在してもごく一部だろうとは思うけど、これはドキュメンタリーじゃなく映画ですから、ファンタジーで良いんです。あくまで若菜という少女の眼、フィルターを通して見た大阪。

終盤、失踪中のジュリーが大きなトラックにはねられたような描写があり、てっきり死んだものと思いきや、若菜は病院で彼と感動の再会を果たします。で、その直後に「それからひと月して、お父ちゃんは死んだ」っていう彼女のナレーションが入る。

その時、私の口から思わず出た言葉が「結局死ぬんかい!」っていうw、漫才のツッコミなんですよね。どんな悲劇でも笑いに転化しちゃう、大阪人の逞しさ。この映画そのものが大阪漫才なんです。(ただしツッコミ役はあくまで観客。そこがヨーロッパ的w)

そもそも私は東大阪の生まれで、この映画に出てくる風景はほとんど見覚えある場所ばかり。ファンタジーって書きましたけど、新世界界隈などディープな地域に行くと確かにこんな空気を感じるし、若菜みたいなファミリーは普通に存在するんだろうと思います。

そんな大阪という町の包容力を疑似体験できる映画として、出身者はもちろん、そうでない方にこそ一度観といて欲しい作品です。

それより何より、当時17歳くらいの池脇千鶴さんの神々しいまでの瑞々しさ(どの瞬間を切り取っても可愛い!)は必見です。まだセクシーだった頃の沢田研二さんに田中裕子さん、吉本の芸人さんたち、そして地元の素人さんと思わしき無名の方々も実に味わい深く、見所は満載です。
 
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「過ぎたるは及ばざるが乳首」

2019-01-26 12:00:10 | 日記
 
以前ご紹介したムック『探偵!ナイトスクープWalker』の記事で番組スタッフの談話などを読んで、1つショックなことがありました。

私はバラエティー番組で出演者の言葉をいちいちテロップで補足する演出が大嫌いなんだけど、それを最初に始めた番組が『探偵!ナイトスクープ』なんだそうですw

あれは依頼者すなわち一般の素人さんが主役の番組ですから、訛りがあったり滑舌が良くなかったりして言葉が聞き取りにくい場合があり、それをカバーする為にテロップを入れるようになったんですね。

すると、出演者が面白いことを言った時にテロップが入ることで笑いを増幅する効果が生まれたもんで、他の番組もこぞって真似するようになり、現在ではすっかりスタンダードな手法になっちゃった。

私は、それが「はい、ここで笑って」って指示されてるみたいでイヤなんです。どこで笑うかは自分で決めるからほっといてくれ!って。ただでさえ観客やスタッフ達のわざとらしい笑い声が鬱陶しいのに、そのうえ文字まで足すのかよ!って。

さすがに最近は慣らされてしまって何も感じないけど、'90年代は結構それでイライラしてましたw

元祖であるナイトスクープには別にストレスを感じなかったから、ほかの番組はテロップを使う目的が違ってた(単なるウケ狙いだった)ことを無意識に感じ取ってたのかも知れません。だって、喋りのプロである芸人さんの、必要以上に大声で発する言葉に、文字による解説は本来まったく必要無いワケですから。(耳が聞こえない方への配慮はまた別問題として)

私がテレビ業界でコメディーのミニドラマを創った時、編集段階でオペレーターさんが笑いどころに効果音を入れたがるのを、毎回丁重にお断りするのがなかなか面倒だったりしました。

あらゆる手を使って笑わせようっていう、オペレーターさんなりの前向きな配慮ですから、責めることは出来ません。でも、私は登場人物の言動やシチュエーションで笑わせたいのであって、効果音で笑わせたいワケじゃない。そんなせめぎあいが幾度もありました。

笑いには関係ない事だけど、最近のドラマを観てて、眼鏡をかけた登場人物がそれを外したり、ちょっと指で動かしたりする度にいちいち「カチャッ」っていう効果音が入るのが、私は鬱陶しくて仕方ありません。

その音、いったい何の為に必要なの?って思っちゃう。現場で自然に入った音なら気にしないけど、明らかに編集段階で足してる効果音です。その余計なお節介が私は鬱陶しくて仕方がない。

そんな私も病気かも知れないけど、いちいち音を足さずにいられないオペレーターさんも病気じゃないかと私は思います。私が監督だったら、そんな無意味な音は全部消してもらいます。

皆さんも、いっぺんそこを気にしながらドラマを観てみて下さい。めっちゃ気が散ること請け合いですw

要するにサービス過剰。眼鏡の音はともかくとして、自分のボケにいちいちテロップ(すなわち解説)を入れられる芸人さんは一体どんな気持ちなんだろう?って、まぁ外野の人間がそんなこと考える方がお節介なんだけど、私は気にしてしまいます。
 
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『太陽にほえろ!』最終回―3

2019-01-26 00:00:18 | 刑事ドラマ'80年代









 
腹部を撃たれたまま2日間も監禁されてるブルース(又野誠治)を救うには、その場所を知ってる指名手配犯=一ノ瀬(時本和也)を捕まえる以外に方法は無い。

もう二度と、部下の生命を奪われたくない……その一心で帰って来たボス(石原裕次郎)は、クビを覚悟で一ノ瀬の妹=僚子(桂田裕子)を取調室に連行し、令状無しの尋問を強行するのでした。

撮影当日、岡田晋吉プロデューサーに裕次郎さんから電話があり、「このシーンを俺にくれないか?」と言われたんだそうです。つまり脚本に書かれてない台詞、裕次郎さん自身の言葉で、この場面を演じたいと。

『西部警察』シリーズの最終回スペシャルでも、裕次郎さん扮する木暮課長が殉職した大門団長(渡 哲也)の遺体に語り掛けるシーンで、同じように裕次郎さんは脚本に無かったであろう台詞を言い、涙を流しておられました。

自社(石原プロ)製作の『西部警察』と違って、東宝作品である『太陽にほえろ!』は裕次郎さんにとって「出稼ぎ」の「雇われ仕事」だったワケですが、番組に懸ける情熱は同じなんですよね。それがこの取調室のシーンから伝わって来ます。

まずはトシさん(地井武男)が僚子を尋問しますが、ベテラン刑事と言えども一刻を争う状況の中、知らぬ存ぜぬを繰り返す彼女につい感情が先走り、机を叩いて激昂しちゃいます。

「トシさん」

側で見ていたボスは、席を外すようトシさんを促し、自ら僚子と向き合います。トシさんが出て行き、部屋にはボスと僚子の2人っきり。

僚子役の桂田裕子さんは過去に何度も『太陽』に出演されてる常連ゲストなんだけど、今回は天下の大スター石原裕次郎とサシの芝居、しかもリハーサル無しのぶっつけ本番によるアドリブ演技とあって、ガッチガチに緊張されてるのが画面から伝わって来ます。

裕次郎さんから岡田Pに電話があったのは撮影当日ですから、桂田さんはついさっきまで脚本通りに演技すれば良いと思ってた筈で、きっと内心「そんなの聞いてないよ!」って思いながらボスと向き合ってるワケですw

「怖い刑事だねぇ、あの人。机叩くなんて野蛮だよな」

それにしても、この場面における藤堂ボスの砕けっぷりは尋常じゃない。どう見ても素の石原裕次郎に戻ってる感じで、これがアドリブ演技である事はすぐに判りました。

「これ、今の刑事さん忘れてったの?」

トシさんが机に置いていった煙草を手に取ったボスは、1本だけ抜いてクンクン匂いを嗅ぐと、気に入らなかったのか灰皿にポイします。私は煙草を吸わないもんで、匂いで何が判別出来るのか、そもそも1本1本にどんな違いがあるのかさえ分かりません。

「いやね、俺はね……5年前にさ、心臓を切った大手術をしたんですよ。それ以来ぷっつり医者に言われてこの、大好きだった煙草をこう、禁煙してるワケ」

そう言いながらボスは、もう1本煙草を抜いて、また匂いを嗅ぎます。あんたデカワンコかw

「いま吸っちゃおっかなあ~って思ってんだけど……あ、看護婦さんだったね?」

「はい」

「良くないんだろ?」

「いけません」

「いけませんか……」

さっきまでムスッとしてた僚子も、即興芝居について行くのに必死なのでしょう、すっかり素の(素直で礼儀正しい)桂田裕子さんに戻っちゃってる感じですw

ボスは咳払いして立ち上がると、コソッと取調室の扉を開けて、周囲の様子を伺います。

「誰もいませんねえ」

何だか嬉しそうにニヤニヤ笑いながら、ボスは席に戻って来ます。こういうイタズラ少年みたいな感じって、裕次郎さんにしか出せない味ですよね。だからこそ『太陽にほえろ!』のボスは唯一無二、石原裕次郎しか有り得ないワケです。

かくして、ボスはマジで煙草に火を点けちゃいます。たぶん裕次郎さん、本当に5年間禁煙されてた筈で、これはまさに捨て身の演技ですw 案の定、最初のひと吸いでボスは激しくむせちゃいました。

「いやあ~、なんせ5年振りですからね。……いいもんだね、へへ」

今度はゆっくり深く、実に美味そうに煙草を吸うボス。そんな幸せそうな姿を今見ると、ちょっと泣けて来ちゃいます。

「ま、看護婦さんだからよく、そんな事はご存知だと思うけども……命ってやつは何にも代え難く……そしてこう、重い。大切なものだ」

ゆっくりと立ち上がったボス、今度は窓際へと移動します。この場面、ワンカットの長回しで撮影されており、編集は一切されてません。カメラマンもさぞかし緊張しながら、即興で動く裕次郎さんを追っておられた事でしょう。

「看護婦さんだからその、よーく解ると思うんだがね……そうそうそう、煙草で言うとね、そうだなぁあれは何年になるかなぁ……僕の子分で、背の高い、ちょっとキザなね、スコッチって男がいたんだよ」

まさか、ここでスコッチ(沖 雅也)の名前が飛び出すとは驚きました。11人もいる殉職刑事の中から1人だけ話題にするのって、まず脚本では有り得ないと思いますから、これも完全に裕次郎さんご自身の創作でしょう。

「お酒はスコッチ。コーヒー、日本のお茶は絶対飲まない、朝はモーニング・ティー。そして月給だって高くないのに、煙草ときたらこの細長いピュ~ッとした金色のね、洋モクって言うのかな、煙草を吸ってる男がいてねぇ……」

皆さんご存知でしょうが、沖雅也さんはスコッチ殉職編の翌年に、自殺という形で亡くなられました。ゆえに裕次郎さんが「命の尊さ」について考えられた時、沖さんの事が自然と頭に浮かんだのかも知れません。

「そいつも持病があって、犯人を追い詰めた時に、ここ一番っていう時に吐血してね……血ぃ吐いてるスキに撃たれて、もちろん犯人も仕留めたんだけど…………口の周り真っ赤にして死んでった」

この台詞には裕次郎さんの記憶違いがあります。スコッチは犯人に手錠を掛けた直後に吐血して倒れましたから、この時は撃たれてません。かつて撃たれた古傷の悪化により、スコッチは病死したのでした。

「随分、部下を亡くしましたよ……」

しみじみと呟いたボスは、再び席に戻って僚子と向き合います。

「部下の命は、俺の命……命ってのはホントに尊いもんだよね。看護婦さんとこの病院だって、新しい命が誕生して、また古い命が消えてっちゃうって事をしょっちゅう繰り返してるでしょう? ……今また1人、若い刑事の命が消えかかってるんだよ」

医者から禁止されてる煙草を吸う事で僚子=看護師の保護本能をくすぐり、実際に亡くなった部下の死にざまを聞かせた上で、今まさに死の淵にいるブルースの話を切り出す。実に理にかなった「落とし」のテクニックだと思います。

「そいつはね、ちょっとガサツな男なんだけど、今年子供が生まれて、そうだなぁあれ何ヶ月かなぁ、まだお母さんから離れない乳飲み子なんだけどね……もう1回そいつをその子供に会わせてやりたいんだ」

赤ちゃんの話はまさに駄目押し。根は優しそうな僚子が、これでもなお「知りません」とは絶対に言えないでしょう。

「もう(煙草)やめた方がいいね。じゃ、もう一服ね、へっ……いやあ勿体ねえな」

こうしてワンクッション置いた上で、いよいよボスは切り出します。

「お兄さん今、どこにいる?」

「…………横浜です」

「ありがとう」

本当に見事だと思います。裕次郎さんは卓越した才能のプロデューサーでもありますから、もし脚本家や監督をやられてもきっと優秀だった事でしょう。天は二物も三物も与えるんですw だからこそスーパースターなんですよね。

さて、この取り調べシーンに7分強を割いた為、それ以外の展開は超ハイペースですw

ドック(神田正輝)、マミー(長谷直美)、マイコン(石原良純)、DJ(西山浩司)が即座に横浜へとすっ飛び、一ノ瀬のアパートを急襲します。もう時間はありません。ブルースが被弾してから丸2日、並みの人間ならとっくに死んでます。

「動くと撃つわよ!」

「一ノ瀬! 3年前、宝石強盗のヤマ踏んだ後、どこに潜伏したんだよっ!?」

マミーが拳銃で威嚇し、DJがつかみかかりますが、一ノ瀬の返事を待たずにドックが愛銃M59のスライドを引き、銃口をこめかみに押し当てます。

「どこだっ!?」

西部警察じゃ珍しくもない光景ですがw、七曲署の刑事がここまで荒っぽく自白を強要する事は滅多にありません。それだけ必死なんです。

一ノ瀬が潜伏場所(山梨県にある別荘)をゲロし、橘警部(渡 哲也)とトシさんも現場に急行します。

「澤村っ!?」

真っ先に別荘内に乗り込んだ橘警部の眼に、血まみれで倒れて動かないブルースの姿が飛び込んで来ます。

「死んだよ」

兄の復讐を果たした津坂(遠藤憲一)が、放心状態で呟きます。橘警部は怒りに任せて津坂の顔と腹に2発ずつ団長パンチを浴びせ、一瞬で半殺しにしてからブルースを抱きかかえます。

「ブルース! ブルース!!」

橘警部は基本的に部下をニックネームで呼ばない人なんだけど、この時ばかりは違いました。

直ちにブルースは病院に運ばれ、緊急手術を受けて奇跡的に一命を取り留めます。もう絶対に部下を死なせたくない!……悲痛とも言えるボスの願いが、今回ばかりは天に通じたのでしょう。

刑事の殉職が結果的に番組名物になっちゃったけど、それもこれも全て「命の尊さ」を逆説的に描く為の作劇であり、それこそが『太陽にほえろ!』の一貫したテーマでした。

ずっとそれを追究して来たからこそ、最終回は部下の殉職を食い止めるという、ボスの悲願が達成されるハッピーエンドでなくちゃいけなかった。これはやっぱり、素晴らしい最終回です。

ところが、ホッとしたのも束の間、非情にも捜査一係の電話がまた鳴り響きます。

「はい、一係。……人質?」

この、お馴染みのボスのフレーズが聞けるのも、正真正銘これが最後です。

「あいたぁ~、今日ぐらいゆっくり寝かしてくれよ~寝てないもんな、俺ら」

「病院のブルースと替わりたいよ」

「東都銀行矢追支店、強盗だ」

「よし、行こう!」

「警部?」

「藤堂さん、このヤマだけ皆と一緒にやらせて下さい」

「頼むよ」

「はい、行って来ます!」

藤堂ボスが健在で、かつて山さん(露口 茂)がいたポジションに橘警部がいる、このメンバー構成による『太陽にほえろ!』をもっともっと観たかったですね。

でも、渡さんは裕次郎さんが復帰される迄って約束で出演を引き受けられたワケですから、もし番組が続いたとしても藤堂ボス+橘警部の共演は1回限り。そういう意味でも、やっぱりこの最終回は超スペシャルなんですね。

「14年4ヶ月……長い間のご支援ありがとうございました」

このテロップが流れて、ついに『太陽にほえろ!』は、本当に幕を閉じたのでした。
 
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『太陽にほえろ!』最終回―2

2019-01-25 12:00:06 | 刑事ドラマ'80年代









 
最終回だと言うのにスペシャル感が無くて「当時は物足りなく感じた」って書きましたけど、この時の裕次郎さんの(健康な頃に比べて)やつれたお姿をあらためて見ると、かなり無理をされて最終回に駆けつけてくれたんやなあって、それをスペシャルと言わずして何と言う?って、今は思います。

声もかなり弱ってる感じがしますからね。あの大手術の時(’81年)以来、身体を冷やさないよう真夏でも足元にストーブが欠かせなかったそうですから、我々が想像する以上に身体は弱っておられたのでしょう。

それを前提にしてこの最終回を観ると、ボス(石原裕次郎)は満身創痍を通り越して……不謹慎な言い方かも知れないけど……既にこの世にはいない存在、ぶっちゃけ幽霊みたいに感じちゃうのは私だけでしょうか?

だって、橘警部(渡 哲也)が刑事部屋に入って来たら、誰もいない中でポツンとボスの後ろ姿があるんですよね、黄昏時にw

瀕死のブルース(又野誠治)と引き換えに自らの生命を天に差し出した、ボスの魂だけが七曲署に帰って来た。だから次の週にはもういないんですよ!(係長役は奈良岡朋子さんにバトンタッチ)

まぁ、そんなワケないんだけどw、裕次郎さんが最終回の撮影に駆けつけてくれた背景には、それに匹敵する位の執念があったように私は推察します。だからこそ伝説になり得たんじゃないかと……

「ブルースが撃たれたそうだな」

「はい。申し訳ありません」

「で、ブルースの行方は?」

「…………」

『さよなら西部警察(PART III 最終回)』以来となる、そして最後の裕次郎さんと渡さんの共演です。藤堂ボスと橘警部はかつて、別の署で先輩後輩の関係だった……なんて設定も要らない位、このお2人の信頼関係ってのは誰もが認識してましたよね。

覆面パトカーの無線でボスの帰還を知ったドック(神田正輝)は、無邪気に喜びます。

「ボス? お帰りなさい、ボス! ヤッホー!!」

「……おかしくなっちゃったんじゃないの」

助手席にいるDJ(西山浩司)は、まだ藤堂ボスとは面識が無いのです。

「いや、でもねドック。ボスが帰って来たって事は、橘警部は本庁に戻るという事ですよねぇ?」

「!? ……そりゃあ、そうだけどよ……何とかなんねえか?」

「いや、なんねえかって……俺、警部と一緒に七曲署入ったから……」

この場面、DJが続けて「まさか俺もお払い箱?」みたいな台詞を言ってたのが、編集でバッサリ切られちゃった感じです。

この最終回は異常なほどハイテンポで、恐らく脚本の5分の1くらいは(撮影したのに)編集でカットされてるんじゃないかと思います。なぜ、そんなに刈り込む必要があったのか? それは後々のシーンで判ります。

さて、ブルース襲撃に協力した恩田の記憶によるモンタージュ写真が役に立ち、ようやく主犯の正体が判明しました。ブルースを罠に嵌めて拳銃で撃ったのは、津坂 久という若い男。

3年前に西署管内で宝石店強盗をやらかし、当時まだ巡査だったブルースに腹部を撃たれたのが、その津坂の兄=肇だった。傷を負ったまま共犯者と2人で逃走した肇は、潜伏した何処かで息を引き取った。

その遺体を故郷の山梨県に埋葬したのが、弟の津坂久。瀕死のブルースを何処かの部屋に放置し、ただ黙って見物していた津坂が、ようやく口を開きます。演じてるのは、若き日の遠藤憲一さん。

「そうやってさ、俺の兄貴も苦しみ抜いてたんだよ」

「兄貴……?」

「お前の撃った鉛の弾でな」

「……津坂……肇か」

「誰が撃ったのか警察は公表しなかった。だけどやっと判ったよ。兄貴撃ったのお前だ。兄貴はお前と同じようにさ、腹から血ぃ出して、苦しみながら死んでったんだ。地獄の様だった……」

「……津坂を……故郷に埋めたのお前か……」

「あん時、俺にはそれしかしてやれなかった。兄貴を埋葬しながらさ、俺は誓ったよ。撃った警官突き止めて、この手で復讐してやるってな……必ず」

ブルースが撃たれた場所(廃屋)も被弾した箇所も、3年前の肇と全く同じ……という事は、今ブルースが監禁されてる場所も、かつて肇が潜伏して息を引き取ったのと同じ場所!

その推理まで辿り着いた七曲署藤堂チームですが、潜伏場所の見当は全くつきません。それを手繰るたった1つの糸口は、3年前に肇と一緒に潜伏し、現在も逃亡中の共犯者=一ノ瀬(時本和也)。

トシさん(地井武男)とマイコン(石原良純)が、看護師を勤める一ノ瀬の妹=僚子(桂田裕子)を訪ねますが、マイコンがあまりにダサいせいか全く協力する素振りを見せません。

「関係無いわ。とっくに他人なんです。あの人の為に、どれだけ苦労させられたか……もう、兄とは思ってません!」

マイコンのせいでたった1つの糸口も絶たれ、完全に捜査は行き詰まります。今、こうしてる間にもブルースの血は流れ、死へのカウントダウンを進めてるというのに!

「……ブルースは体力も精神力も、ずば抜けてる……」

祈るようなボスの呟きが通じたのか、気を失いかけてたブルースが我に返ります。

「いま眠ったら……俺は死ぬ……」

ブルースは自分で自分の傷口に指を押し当て、その激痛で意識を保とうとします。ランボーやレプリカントも真っ青な強靭さですがw、その源はゴリさん(竜 雷太)から受け継いだ『太陽』魂です。

ついに2日目の陽も暮れてしまいますが、藤堂チームの面々は不眠不休で必死の捜査を続けます。刑事部屋でその報告を待ちながら、ボスは橘警部に語り掛けます。

「これもデカの宿命かな……」

ここでマカロニ(萩原健一)、ジーパン(松田優作)、テキサス(勝野 洋)の殉職シーンが回想されます。バラエティー番組等でもさんざん流され、『太陽』ファンでなくともお馴染みの映像かと思います。

「出来る事なら俺が替わりたい……いつもそう思って来た……なぜだろう? 同じ人間でありながら憎しみ合い、時には血を流して殺し合う……」

更に殉職シーンが続き、ボン(宮内 淳)、ロッキー(木之元 亮)、ボギー(世良公則)、ラガー(渡辺 徹)、ゴリさん、山さん(露口 茂)……って、いったい何人死んでるねん!?ってw、ツッコまれても仕方がない殉職者の数です。

「同じ人間でありながら、俺達はそれを取り締まる為に、銃を向けなくちゃならん」

ここで回想された殉職刑事は合計9人ですが、他にもまだ殿下(小野寺 昭)とスコッチ(沖 雅也)が残ってます。殿下は交通事故死ゆえに殉職シーンが存在せず、スコッチは後の取り調べシーンでボスが言葉で回想しますから、尺の都合もあって削除されたものと思われます。(口から大量の血を流すビジュアルが強烈すぎるから、とも推察できますが)

それはともかく、殉職刑事たち全員を知る者は、今やボスしかいません。山さん亡き今、番組スタート時のメンバーはボス以外に誰もいなくなっちゃった。(転勤&退職組は健在だけど)

そういう意味でも、ボス=裕次郎さんが出演不可能になった時点で『太陽にほえろ!』が終了するのは必然ですよね。『太陽にほえろ!PART2』も素晴らしい番組ではあるけど、やっぱ別物だと私は思います。ましてや復活版なんて。

さて、ついに刑事たちの執念が実り、一ノ瀬僚子の誕生日に宅配便でセーターを贈った人間がいた事が判明します。その送り主の名前と住所は実在しない=偽名を使っており、そんな事をする人間は1人しかいません。

つまり僚子は、逃亡中の兄と今も連絡を取り合っている! 捜査に協力しないのはマイコンがダサいからじゃなくて、恐らく兄の居場所を知っているから……そう確信したボスは、いよいよ決断します。

「一ノ瀬僚子を連れて来てくれ」

「いや、しかし……令状が」

「ボス、ちょっとヤバいんじゃ……」

こんな時、捨て身になれるのが藤堂俊介という男なんです。その為に我らがボスは帰って来た。

「構わん。連れてこい」

かくして、後に伝説となるボスの取り調べシーン、すなわち石原裕次郎渾身のアドリブ演技が幕を開けるのでした。

(つづく)
 
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『太陽にほえろ!』最終回―1

2019-01-25 00:00:05 | 刑事ドラマ'80年代









 
14年4ヵ月という長い歴史を締めくくったこの最終回は、昭和の大スター・石原裕次郎さんの遺作でもあり、渡 哲也さんとのツーショットが見られる最後の作品でもあります。

当時、番組の視聴率は既に平凡な数字になってましたが、さすがに多数のスターを生み出した「お化け番組」の最終回として、話題にはなってました。

だけど、その内容は「若手刑事があわや殉職のピンチ」&「欠場してたボスが帰って来る」という、過去にも何度か描かれたシチュエーションのWパックに過ぎず、私としては物足りなさを感じたのが正直なところ。

それが、翌年に裕次郎さんが亡くなられ、結果的に遺作になっちゃった事と、ボスが取調べで生命の尊さを語る長台詞が、全て裕次郎さんのアドリブだった事から「遺言」みたいに解釈されて、最近の雑誌アンケートによる「忘れられない最終回」の第1位に輝くほど伝説化されたんですよね。投票した人が全員オンエアを観てたとは思えないんだけどw

長年の『太陽』ファンである私から見れば、裕次郎さんは単に番組のテーマを自分流に語っただけであり、それは決して遺言なんかじゃなくて、いよいよ幕を閉じる『太陽にほえろ!』への贈る言葉、ひいてはファンへの感謝の言葉なんだと解釈する方が正しい気がします。

いずれにせよ、裕次郎さんが心底から我々に伝えたかったメッセージには違いなく、これは伝説と呼ぶに相応しい作品だったと、私も今となっては思います。


☆第718話『そして又、ボスと共に』(1986.11.14.OA/脚本=峯尾基三/監督=鈴木一平)

OPタイトルはオール打ち込みによる楽曲「太陽にほえろ!メインテーマ’86」(作・編曲=大野克夫)に合わせ、代理ボスである渡さんを中心に編成されたものですが、最終回のみ裕次郎さんの紹介カットも復活した1回限りのスペシャルバージョンになってます。

直前にデューク刑事こと金田賢一さんが降板されたんで、尺的にはプラマイゼロで問題無いんだけど、後半のボス歩きに挿入される各刑事のフラッシュカットはデュークがマミー刑事に差し替えられ、長谷直美さんだけ2回登場するという珍品タイトルにもなってます。

さて、朝の七曲署捜査第一係室。当直明けと思われる「ブルース」こと澤村 誠(又野誠治)に、番組最後の新人刑事「DJ」こと太宰 準(西山浩司)が声を掛けます。

「ねぇ~、今日のさぁ、射撃大会だけどさぁ、俺すごいプレッシャー感じてんだよね」

「んん? そんな顔してないねえ」

「いやホラ、性格的にさ、顔には出ねえからさ」

DJは一係に配属されたばかりの新人刑事で、年齢的にも最年少だった筈ですが、若手のブルースやマイコンに対しては基本タメ口ですw

芸歴はたぶん西山浩司さんの方が長いから…って事かも知れないけど、初代新人刑事のマカロニ(萩原健一)も先輩のゴリさん(竜 雷太)や殿下(小野寺昭)によくタメ口を叩いてましたから、意図的にそういう生意気さや人懐っこさを再現した可能性もありますね。

ブルース役の又野誠治さんは、この時期(PART2の途中まで)無精髭を生やしてました。もともと服装や髪型に一貫性が無い人なんだけど、あの無精髭だけは何だか品が無くて私はイヤでした。『インディ・ジョーンズ』のハリソン・フォードみたいに格好良く感じなかったです。

そんなヒゲとチビの凸凹コンビは、午後から開催される射撃大会に意欲満々なのですが、そこに自動車窃盗の指名手配犯=恩田(杉 欣也)の居所を知らせる匿名のタレコミ電話が入ります。

帰宅前のひと仕事として、その場所を確認しに行こうとするブルースですが……

「ところでDJ。美味い………ケーキ屋知らんか?」

「その顔でケーキ?(笑)」

「………(怒)」

タレコミ情報は本物で、カノジョのアパートに潜んでいた恩田は、ブルースが現れるや窓から飛び出して逃走します。

「恩田っ!!」

ジーパン刑事のテーマをバックにブルースが疾走します。かつてアクションシーンの定番だったこの名曲も、ブルースの時代には(ジーパン=松田優作さんとキャラが被るせいもあって?)選曲される機会があまり無かったのですが、今回は最終回って事で外せなかったのでしょう。

「あの野郎、捕まえたらぶっ殺すからなコノヤロー!」

こんな物騒な刑事(しかもヒゲ)にだけは捕まりたくないもんですw 七曲署に赴任した当初はこんなキャラじゃなかったんだけどw

捕まったらぶっ殺されるとあって、必死に走った恩田は廃屋に逃げ込みます。暗がりの中でブルースを待ち伏せ、鉄パイプで襲い掛かるのですが……

「なんだお前? やってやろうじゃねえか。来い」

百戦錬磨のブルース(しかもヒゲ)に適う筈もなく、あっさり手錠を掛けられ、ぶっ殺されそうになったその時……!

背後に気配を感じ、ハッと振り返ったブルースの腹部に銃弾が撃ちこまれます。どうやらこれは、最初からブルースの生命を狙う罠だった!

楽しみにしてた筈の射撃大会に現れず、連絡もつかないブルースの身を「ドック」こと西條 昭(神田正輝)が案じます。

「DJ、ブルに何か変わったこと無かったか?」

「いや、別に……あ、なんか美味いケーキ屋知ってるか?なんて言ってました(笑)」

「ブルがケーキ? そういうのお前、変わったことっつーんだろ!(怒)」

DJが紹介したケーキ屋に行くと、ブルースは奥さんに贈るバースデーケーキを注文してから現場に向かった事実が判明します。あの顔でバースデーケーキですw

捜査第一係長代理の「警部」こと橘 兵庫(渡 哲也)が刑事部屋に戻り、今やただ一人のベテラン刑事となった「トシさん」こと井川利三(地井武男)から状況を聞き出します。

「澤村から連絡は?」

「いや、ありません。警部、やはり……」

「何かあったな」

ケーキ屋から女のアパートへと足取りを追ったドックとDJは、例の廃屋で血痕とブルースの警察手帳を発見します。

一方、恩田のカノジョをマークしていた「マミー」こと岩城令子(長谷直美)と「マイコン」こと水木 悠(石原良純)は、映画館でカノジョと落ち合おうとした恩田を確保します。

恩田は何者かに自動車窃盗及び覚醒剤所持のネタを握られ、成功報酬100万円でブルース襲撃に協力させられた事を自白します。

更に、ブルースが撃たれた時の状況を恩田から聞き出したマイコンは、ダサい顔をして橘警部にそれを報告します。画像をご覧下さい。どの瞬間を捉えても、マイコン刑事はダサいのですw

「その場に倒れ込んで、動けない程の重傷だったそうです」

一応医学に詳しいドックも、現場で発見した血液の量からブルースの重傷ぶりを推測します。

「警部、あのまま出血が続いてるとすれば、ブルは間違いなく死にます」

そこに不吉なタイミングで電話が掛かって来て、応対した橘警部の顔色が変わります。

「多摩川の河原で、男の死体が発見された」

まさか、ブルースが!? 通常なら『太陽』のレギュラー刑事がそんなアッサリ死ぬワケ無いんだけど、最終回だけに何が起こるか分かりません。

「多摩川の河原」という大雑把な情報だけで現場に駆けつけたドック達はw、恐る恐るシートをめくり、その死体が大部屋の無名俳優(あるいは撮影スタッフ?)である事を確認し、胸をなで下ろします。例え無名でも生命は生命なんですがw

「ハッピーバースデーツーユー♪」

「ええっ?」

ドックは空元気いっぱいで、ブルースが注文してた特大バースデーケーキを、彼の愛妻=泉(渡瀬ゆき)に届けます。

「そんなビックリしないで。頼まれたんですよ、ブルに」

「主人に?」

「ちょっとブルね、張り込みで手が放せなくて。ほらアイツ真面目だからさ、手ぇ抜くこと知らないんだもん」

こういう場合、警察としては事実をそのまま伝えるべきなのかも知れませんが、刑事である前に人間であることを重視する『太陽にほえろ!』ですから、家族を心配させない配慮を選択したワケですね。

それにしても馬鹿でかい(いかにもブルースらしい)ケーキを見て、泉は楽しそうに笑います。

「こんなに食べきれるかねぇ~」

泉役の渡瀬ゆきさんは、石原プロ作品(たぶん『西部警察』)にゲスト出演された際に渡哲也さんの眼に止まり、それまで違う芸名だったのを(渡さんの本名を頂いて)渡瀬に改名された……と何かの記事で読んだ事があります。

見るからに明るくて性格の良さが滲み出てるし、演技力もある人ですから、渡さんに気に入られたのも大いに納得出来ます。ぶっきらぼうなブルースとの組み合わせがまた楽しくて、私も『太陽』セミレギュラー陣の中で特に好きだった女優さんです。

さて、それにしてもブルースの行方は未だ掴めません。頼みの綱だった恩田は真犯人の正体を知らず、捜査は行き詰まった状態。早く見つけ出して救出しなければ、一係はまた仲間を1人失う事になってしまう……!

憔悴しきった橘警部が一係室に戻って来ると、さっきまで自分が座ってた係長の席に、誰かが座っている!

「藤堂さん!」

そう、いよいよ我らが「ボス」こと、藤堂俊介(石原裕次郎)が帰って来たのでした。

(つづく)
 
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