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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#209

2019-06-26 00:00:23 | 刑事ドラマ'70年代





 
☆第209話『働くものの顔』

(1976.7.16.OA/脚本=小川 英&四十物光男/監督=山本迪夫)

射撃訓練場でゴリさん(竜 雷太)の腕前を見て感服した、交通課婦警の松原美樹(服部妙子)が、捜査一係への転属を志願。なぜか署長がアッサリ受理しちゃいますw

ただしボス(石原裕次郎)が適性を見て合格点を出せば、という条件付きで、まずは刑事見習いとしてゴリさんの指導を受ける事になります。が、マカロニやジーパンのトラウマがあるせいか、ゴリさんは気乗りしません。

美樹が捜査課入りを志願した動機も「今の仕事には無い何かがありそう」という漠然としたもので、そこに危うさを感じたゴリさんは、容赦なく妙子をシゴきまくり、怒ったアッコ(木村理恵)からシカトの刑を食らいますw

そこで、事件発生。銀行強盗計画を密告する電話が入り、藤堂チームが駆けつけるも、タッチの差で犯人は逃走。

密告したスナック店員の知子(池田和歌子)は、客が電話で強盗計画の打ち合わせをするのを聞いてしまい、顔も見られたと言う。つまり報復を受ける可能性があり、ボスは同じ女性である美樹に、知子の身辺ガードを命じます。

かくして、知子のマンションで待ち伏せてた犯人と、拳銃を向け合う羽目になる美樹婦警。ところが、鬼の形相で「撃って、刑事さん!」と叫ぶ知子と、それを聞いて激しく動揺する犯人を見て、美樹は引金が引けなくなっちゃう。

結果、二人とも犯人の銃弾を受け、幸い軽傷だったものの「どうして撃たなかったのよっ!?」と知子に罵倒された美樹は、責任を取って警察を辞めると言い出します。

そんな美樹を引き止めたのは誰あろう、彼女の一係入りに大反対してた筈のゴリさんでした。

「誰が辞めていいと言った? キミの身柄を預かったのは、この俺だぞ!」

ゴリさんは、美樹が犯人を撃たなかった理由をあらためて問います。

「きっと……怖かったから」

「違う。怖ければ、撃たれる前に撃ってた筈だ」

そう言ってゴリさんは、いつも弾倉が空っぽの自分の拳銃を見せます。

「俺だって凶悪犯に立ち向かう時は怖い。怖いから撃つ。撃てば、たぶん相手は死ぬ。いくら射撃が上手くても、拳銃に頼るようになったら刑事はおしまいだ」

ゴリさんは、美樹があのとき撃たなかった理由が、きっと他にあると見抜いてる。美樹自身も気づいてない、重大な理由が。

「ええ、私……なにかドキッとして……」

「だから何だ。何を見てドキッとした?」

「……顔です。犯人の顔です」

美樹は、知子が「撃って」と叫んだ時の、惨めで悲しそうな犯人の顔を見て、二人は元から知り合いなんじゃないかと直感したのでした。

その直感を信じたゴリさんは、知子の身辺捜査を始めます。

自分を拒絶してた筈のゴリさんに「あきらめるな」と言われ、混乱する美樹に、二人の会話を立ち聞きしてたボスが言いますw

「今あきらめたら、キミが受けた傷がいつまでも残るだろう。ゴリはそう考えたんだよ。我々の中で一番キミに優しかったのは、ゴリだよ」

美樹の直感は的中し、知子が犯人に強盗をそそのかした事実が判明します。かつては好きだった犯人にストーカーされ、逃げたかった知子は、彼が警察と撃ち合いになって死ぬことを望んでたワケです。

ヤケになった犯人は、知子が入院中の病院を襲撃し、今度はゴリさんと銃を向け合います。

「やめろ! 撃てばお前の方が先に死ぬぞ」

傍にいた美樹はハッとします。ゴリさんの拳銃には、弾丸が入っていない!

しかしゴリさんは恐怖を顔に出さず、一瞬のスキを突いて見事、拳銃に頼ることなく犯人を逮捕して見せるのでした。

そんなゴリさんの姿を見て、美樹は「働くものの顔」が如何に輝いてるかを実感し、実直過ぎてつまらないと思ってた恋人との結婚と、交通課の仕事を続けることを決意します。

どんな職種であれ、やり甲斐を感じるか感じないかは、自分の気の持ちよう次第。美樹はゴリさんに、それを教わったのでした。

「殺人事件で亡くなる人は年に二千人位ですけど、車に轢かれて死ぬ人は一万一千人もいるんですよ?」

そう言ってサッサと交通課に帰っちゃう美樹を、複雑な表情で見送るゴリさん。一係に入れば、けっこうな戦力になる人材だったかも知れませんw

刑事志願の婦警が1日だけ藤堂チームに仲間入りするのは、以前レビューした第182話『ボディガード』のビーバーさんに続いて2人目。また第546話『マミー刑事登場!』では、やはり交通課婦警の谷山美沙(高田早苗)が正式に一係の一員となるも、負傷してあっけなく辞めてしまい、元同僚の岩城令子(長谷直美)にバトンを渡します。

まだ見習いに過ぎなかった美樹と違って、わずか数日にせよ一係に籍を置いた谷山美沙を、七曲署の歴代刑事に数えるか否か論争するマニアが未だにいますけど、そんなもん数に入れてどーすんねんって話ですw

キャラクターとしては谷山美沙よりも、下手するとマミー刑事よりもw、今回の松原美樹の方がだんぜん魅力的だったかも知れません。

美樹を演じた服部妙子さんは、当時27歳。'70年代から現在に至るまで活躍されてる女優さんで、刑事物、青春物、特撮ヒーロー物、時代劇etc…と幅広く出演されており、我々世代は何度となくお姿を拝見してる筈。

『太陽にほえろ!』には通算5回、後番組『NEWジャングル』や平成復活版『七曲署捜査一係』にもご登場と、『太陽』ファンにはとても馴染み深い女優さんと言えましょう。
 
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『太陽にほえろ!』#206

2019-06-25 00:00:05 | 刑事ドラマ'70年代




 
いよいよテキサス(勝野 洋)の殉職時期が発表され、まるで最終回が近づいてるかのように、次々と大きな転機が刑事たちの私生活に訪れます。

今回は、番組初期から描かれて来た山さん(露口 茂)の愛妻物語に、とうとう終止符が打たれちゃいました。


☆第206話『刑事の妻が死んだ日』

(1976.6.25.OA/脚本=鴨井達比古&小川 英/監督=竹林 進)

山さんの妻=高子(町田祥子)は心臓を患っており、度々その危機が描かれて来ました。今回もまた、ちょっとしたトラブルがきっかけで発作を起こし、高子は危篤状態に陥ります。

以前レビューした第11話『愛すればこそ』と全く同じパターンで、山さんは刑事の職務を優先して病院には行きません。

第200話のゴリさん(竜 雷太)と同じく、いや、それ以上に山さんも、刑事としてしか生きられない不器用な男。仕事人間の刑事マシーンのスットコドッコイなんです。

また、愛すればこそ、妻の無事を信じて(悪い結果を頭からシャットアウトして)あえて病院には行かないのかも知れません。

4年前は、山さんの代わりにマカロニ(萩原健一)が看病しましたが、今回はアッコ(木村理恵)が高子を見守ります。意識を取り戻した高子に、アッコは素朴な疑問を投げかけます。

「奥さん、怒ってないんですか? 山村さんって、昔からこうなんですか?」

「あなたも、刑事さんの奥さんになって、10年も経てば解るわ。そういうものなのよ」

平成、令和に生きる女性なら、10年も我慢しないで速攻別れちゃう事でしょう……って、決めつけちゃ駄目だけど、現在のTVドラマにこんな奥さんが出て来たら、やっぱり「んなヤツはおらんやろ~」って、みんな言うだろうと思います。

もちろん、中断して誰かに任せられるような捜査なら、いくら山さんでも病院に駆けつけた筈。今回の場合、強盗殺人事件の目撃者である主婦(新海百合子)から、山さんは「私が必ずあなたを守ります」と約束して強引に証言を得た、といういきさつがある。

犯人は「証言したら殺す」と予告しており、夫は出張中で彼女は数日を独りで過ごさなきゃいけない。

とは言っても、刑事は別に山さん1人じゃない。どうしても病院に行って欲しいボン(宮内 淳)は「僕たちには任せられないって事ですか!?」と山さんに怒りをぶつけます。

「病人の面倒を看るのは医者の仕事だ。善良な市民を凶悪犯から守る、それが俺たちデカの仕事なんだ」

山さんはそう言って、懐から拳銃を取り出します。

「ボン、これは人間を殺せる道具だ。こんな物を公然と持ち歩いてる商売が他にあるか?」

「…………」

「俺たちが持ってる武器はこれだけじゃない。もっと大きな、もっと強い法律という力も背負ってるんだ。だからこそ市民も俺たちに協力してくれる。それだけのものを持たされてる俺たちが、自分の都合のいい時だけ格好良くその武器を振りかざしておいて、都合の悪い時に逃げ出したらどうなる?」

他人の不幸と常に向き合う職業である刑事が、自分だけ幸せになるワケにはいかないっていう『太陽にほえろ!』の基本スピリットに通じる、山さんの信念。

それが'80年代になると、捜査よりもデートを優先する刑事が「トレンディ」とか言われてヒーローになっちゃうワケですから、世間の価値観なんてホント、明日どう変わるか分かりません。

それはともかく、山さんがそうやって強気でいられたのも、高子がそんな簡単に死ぬワケがないって、たかをくくってる部分があったかも知れません。現に、これまで何回も危機を乗り越えて来たんだし。

ところが! 無事に犯人を逮捕し、その足で病院に駆けつけた山さんを待ってたのは、泣きじゃくるアッコの姿でした。

犯人は、無事に逮捕されただろうか……それを気にしながら息を引き取ったという高子は、最後の最後まで「刑事の妻」でした。

清楚で上品で優しくて、控えめな高子という女性は、昭和の働く男たちにとって理想の(悪く言えば都合の良い)奥さん像で、もしかしたら当時から「んなヤツはおらんやろ~」って声は多々あったのかも?

だけど、町田祥子さん演じる高子には嘘っぽさが無く、そんな妻を、こうもあっけなく失ってしまった、山さんの喪失感は計り知れません。

病室で二人きりになった山さんは、高子と魂の会話を交わします。本来なら、山さんは声に出して高子に語りかける筈が、演じる露口さんが嗚咽して言葉にならなかったんだそうです。

それだけ、もはや露口さんは山村精一警部補と一体化してる。同じ役を4年も演じ続け、同じ女優さんと4年も夫婦を演じたら、露口さんほどのベテラン俳優、それも名優と言われた人でも、感情の抑制が効かなくなっちゃうんでしょう。

「ボス……明日、休ませて頂けますか」

「…………」

ボス(石原裕次郎)もまた、返す言葉が出て来ない。二人して、ただ黙って病院の窓から外の風景を見つめるというラストシーンも異色で、失ったものの大きさを物語ってます。

ある意味、レギュラー刑事の殉職よりもズシンと来る、『太陽』ファンにとってトラウマと言っても過言じゃないヘビーなエピソードでした。
 
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『太陽にほえろ!』#201

2019-06-24 00:00:14 | 刑事ドラマ'70年代




 
一組のカップルが消滅した翌週に、また新たなカップルが『太陽にほえろ!』に誕生します。

長さん(下川辰平)の愛娘=良子(井岡文世)に、気象予報士の市村(柴 俊夫)という恋人が「にわか」に出現、大いに気を揉む父親・野崎太郎の姿が描かれます。

後年の『西部警察 PART III』で柴俊夫さんと共演したマイコン(笑)=石原良純さんが、気象予報士の資格を取得するキッカケにもなったエピソード……とは違うと思います。

また、容疑者役に蟹江敬三さん、港北署の刑事役に小野武彦さん、そして野崎ファミリーも勢揃いと、ゲストの顔ぶれがやけに豪華。

小野さんは『大都会/闘いの日々』の撮影を終えたばかりで、七曲署・藤堂一家と城西署・黒岩軍団の合同捜査という妄想を、ちょっとだけ具現化してくれたエピソードとも言えます。


☆第201話『にわか雨』(1976.5.26.OA/脚本=田波靖男&柏原敏之&小川 英/監督=澤田幸弘)

三年前、港北署管内で借金のもつれからバーのママを殺害したとされる、指名手配犯の迫田(蟹江さん)が七曲署管内で逮捕されます。

が、迫田の人柄に接した長さんは、彼が殺人を犯すような人間だとは思えない。殺害現場の状況も迫田の自供とは食い違っており、彼は傷害を犯しただけで、ママの生命を奪ったのは別人の可能性がある。

決め手は、ママの死亡推定時刻には千葉の浦安市にいたという、迫田のアリバイ。その時、にわか雨が降ったという迫田の自供が本当なら、無実を証明出来るかも知れない!

さっさと迫田を送検して捜査を終わらせようとする港北署を横目に、持ち前の粘り腰で三年前の天気を調べる長さん。

で、その協力を要請しに出向いた気象庁の職員が、娘=良子と交際中の市村だったから驚いた!

気象庁の記録には、三年前の事件当日は「晴れ」としか記されておらず、その精密さを信じる市村と、迫田の無実を信じる長さんは対立します。

対立しながらも、恋人の父親が相手とあっては市村も無視するワケに行かず、浦安地域の委託観測員を紹介するなどして捜査に協力。

結果、気象庁の記録には残ってなかった局地的「にわか雨」を見事に証明し、迫田を冤罪から救った長さんは、敵視してた市村のことも見直すようになるのでした。もちろん、真犯人も港北署の刑事たちに逮捕されます。

刑事コロンボにも負けない長さんの勘と粘りの捜査、そして娘の恋愛に心乱される父親としての姿を、にわか雨というキーワードで繋ぎ、一人の不器用な男を冤罪から救うクライマックスで涙をも誘う、実によく出来たエピソードです。

また、素朴でいつも穏やかながら、気象予報の仕事にはプライドを持つ市村という青年を、柴俊夫さんが実に魅力的に演じておられます。

その市村とどう接すれば良いやら分からない、長さんの戸惑いもコミカルに描かれて、一粒で二度も三度も美味しい見どころ満載のエピソード。

これより柴さんも『太陽』ファミリー(セミレギュラーキャスト)に加わり、良子との結婚に至るまでのドラマが描かれる事になります。

前回の『すべてを賭けて』みたいに切ないロマンスもあれば、若手刑事の青春ドラマやハードアクション、山さんの本格ミステリー、ボスのハードボイルド、そして長さんのホームドラマと、「ドラマの総合デパート」とも言える幅の広さが『太陽にほえろ!』の魅力であり、何百回と続いても視聴者を飽きさせない秘訣なんだろうと思います。

初登場から4年、良子役の井岡文世さんもすっかりオトナの女性になられました。その成長過程がつぶさに見られるのも、長寿番組の醍醐味です。
 
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『太陽にほえろ!』#200

2019-06-23 00:00:11 | 刑事ドラマ'70年代




 
放映200回記念作品なんだけど、切ないエピソードです。ゲストはゴリさん(竜 雷太)の婚約者=小林道代を演じる武原英子さんと、その叔父=小林政治(まさじ)を演じる小林昭二(あきじ)さん。

『仮面ライダー』の「おやっさん」であり『ウルトラマン』の「キャップ」であり『西部警察 PART III』の「長さん」でもあった、我々世代には忘れることの出来ない俳優さんです。


☆第200話『すべてを賭けて』

(1976.5.14.OA/脚本=長野 洋&小川 英/監督=竹林 進)

ビジネスホテルで他殺死体が発見され、その日の宿泊客リストに「小林政治」の名前を見つけて動揺するゴリさん。

しかも、被害者が殺される直前にホテルのバーで酒を酌み交わし、その勘定を支払った男がレシートに残した指紋と、政治の指紋が一致しちゃいます。

政治は、いよいよ日取りが決まったゴリさんと道代の結婚式に、招待する予定だった道代の叔父なのです。

警察官は、職務規定により犯罪者の肉親とは結婚出来ません。無実を祈りながら、婚約者の目の前で政治を連行するゴリさん。

政治は殺人を否定しながらも、被害者との関係やホテルで会った目的については完全黙秘。疑惑はますます深まります。

ボス(石原裕次郎)はゴリさんを捜査から外そうとしますが、ゴリさんは「やらせて下さい」と懇願。ボスは、静かに問いかけます。

「もし小林政治が真犯人だと決まったら、お前どうするんだ? そいつを聞いておきたい。お前の一生に関わる問題だ」

「……辞めます。刑事を辞めます。彼女は俺にとって全てです。刑事の仕事と、彼女とどっちを取るかって言われたら、今の俺は……」

「ゴリ、それでいいんだ。俺はお前の口から、その言葉をハッキリ聞きたかった」

「ボス……」

もちろんボスだって、そして捜査一係の仲間たちも皆、ゴリさんを失いたくはない。出来れば刑事のままで幸せになって欲しい。

そんな想いによる必死の捜査が実り、殺人の真犯人が逮捕され、刑事たちは歓喜します。ところが……

政治が事件当日に被害者と会っていた理由が判明します。被害者は、政治が勤める建設会社の汚職の証拠を握っていた。政治は、会社の遣いで口止め料を支払う為に、被害者と密会してたワケです。

殺人とは無関係だったけど、これは立派な不正行為であり、政治が犯罪者として摘発されることは免れません。

ゴリさんの決意を知った道代は、彼のアパートに手紙を残し、故郷の広島へと向かう新幹線に乗り込みます。

「刑事というお仕事を、あなたから取り上げることは出来ません。どうしても出来ないんです。お別れします」

タクシーを飛ばして東京駅に駆け込むゴリさんですが、新幹線は待ってくれません。ゴリさんは何も言わずに、遠ざかる道代の姿を追って、ただひたすら走るのでした。

私だったら、泣きじゃくりながら「待ってくれ! 刑事は辞めるって言ったじゃん!」とか「俺も広島へ行く!」とか「せめて最後に1発だけ!」とか言いそうなもんだけど、ゴリさんは一体なんの為に新幹線を追いかけたのか?

独り寂しく安アパートに帰って来たゴリさんを、ボスが一升瓶を片手に待ち構えてました。

「俺は止めねえぞ。広島に追って行きたけりゃ行け。辞表を出したけりゃ、今度こそ黙って受け取ってやる」

「いいえ、俺は追いません。辞表も出しません」

道代は、悩みに悩んだ末に、自分よりもゴリさんの幸せを願って、別離を選択した。ゴリさんは、その気持ちに応えたワケです。

「あの人は……俺の心の、隅から隅まで解ってくれました。だから……だから俺は、あの人に一言ありがとうって、そう言いたかったんです」

このエピソードだけは、何回観ても泣かされます。ブログでは二人の交際スタートの回しかレビューしてませんが、これまでの間にいくつもの障壁を乗り越え婚約に至った、その過程が数話かけて描かれてるワケです。

我々ファンはそれを見て来ましたから、本当は別れたくない二人の本音が痛いほど解るんですね、多くを語らずとも。

恋人を失った部下の為に、わざわざアパートを訪ねて来て、一緒に酒を呑みながら「辞めていいんだぞ」って、言ってくれる上司が嘘っぽく見えないのも、200本に及ぶこれまでのエピソードで、その信頼関係が描かれて来たからこそ。10本前後で終わっちゃう現在のTVドラマじゃ、まず味わえない感動だろうと思います。

『踊る大捜査線』以降、刑事の私生活を一切描かない作劇が定着しちゃいましたけど、そうなるとストーリーは毎回のゲスト(犯人や被害者)を中心に組まれる事になります。

ずっと観続けて親しみを感じてるレギュラーのドラマと、その回しか出てこないゲストのドラマとじゃ、感情移入の度合いが全く違ってくる筈です。

毎回のように刑事の身内が犯罪に関わったりするのは、確かにリアルじゃない。『太陽』より『踊る』の方が、どう見たってリアルです。

だけど、リアルさと引き換えに昨今の刑事ドラマが失ったものは、あまりに大きいんじゃないかと私は思います。どう見たって『踊る』よりも『太陽』の方が、我々の心を揺さぶってくれる作品です。
 
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『名作ドラマ大事典!/今夜限りの同窓会SP』2011.9.21

2019-06-22 00:00:13 | エンタメ全般







 
こちらは2011年に放映されたTBS系列のバラエティー番組。もう8年も前になっちゃうんですね。

不定期に放映されてた『名作ドラマ大事典!』の中でも、取り上げたドラマの主要キャストたちを再結集させるスペシャル企画「今夜限りの同窓会SP」の第2弾で『太陽にほえろ!』が登場しました。

1本のドラマだけを特集する番組じゃないので、前半はコメンテーター(?)の石田純一さんが出てたトレンディードラマ等を紹介、そして後半になってようやくメインゲスト登場!という流れでした。

そう、このメインゲストが今回の超目玉となるショーケン=萩原健一さんで、バラエティー番組に全く出演されなかったワケじゃないにしても、こんな過去の作品を懐かしむような企画にショーケンさんが参加されるなんて、全く予想外で本当に驚きました。

それは恐らく、コメンテーターの一員としてショーケンさんの盟友=市川森一さんがレギュラー出演されてたから。『太陽にほえろ!』『傷だらけの天使』『ウルトラセブン』等で数多くの名作を書かれたレジェンド脚本家です。(この番組が放映されてから間もなく他界されました。合掌)

恐らく『太陽~』の同窓会がまず最初に企画され、スタッフがダメ元で市川さんにショーケンさんへの打診を依頼したか、あるいは市川さんから提案されたのか、いずれにせよ市川さんの仲介が無ければこの奇跡は起こらなかった事でしょう。

で、まずはショーケンさんが登場されて『傷だらけの天使』のエピソードを語られた後、いよいよ竜雷太さん、小野寺昭さん、勝野洋さん、木之元亮さん、そして神田正輝さんが登場! マカロニ、ゴリさん、殿下、テキサス、ロッキー、ドックという奇跡の6ショットが実現したワケです。

「太陽にほえろかウルトラ兄弟か!」

↑ っていう名言を発したのは司会の今田耕司さんで、さすがは『太陽~』世代ど真ん中、本気で興奮されてるのが画面から伝わって来て私も嬉しくなりました。

今田さんはジーパン(松田優作)の殉職シーンを観て「会田(犯人)、今見ても腹立ちますわ!」とか、沖雅也さんがチラッと映っただけで「あっ、スコッチや!」とか、本当にリアルタイムで『太陽~』を夢中になって観た人じゃないと出てこないコメントを連発。もはや他人とは思えませんw

しかし同窓会の内容自体は案の定、歴代殉職シーンを流して各キャストがその裏話を語るという、ディープなファンからすれば「その話はもうええねん!」って言いたくなるお決まりコースで、ここに書き残したいエピソードは特にありません。

が、もはや話の内容なんかどーでもよくて、とにかく歴代キャストが6人も一堂に介した、しかもその中にショーケンさんが含まれてる!という、まさにウルトラ兄弟と同じで、その光景が観られただけでもう充分。ショーケンさんまで逝ってしまわれた今となっては尚更です。

年老いたマカロニ、ゴリさん、殿下の38年ぶりという再会には胸を熱くさせるものがあり、ニックネームの由来を尋ねられたショーケンさんが「それはパスタとかマカロニとか……」って真顔で言い始めた瞬間に竜さんが「いやマカロニウェスタン!」ってw、あうんの呼吸で被せられたのには笑いつつも感動しました。何の打ち合わせもなく、かつてのマカロニとゴリさんが自然に甦った瞬間ですよね。

なんでこれを、日テレがやらないの?っていう疑問がやはり残りますが、まぁ色んなタイミングがうまく重なればこその奇跡ですから、とにかく『太陽~』ファンの恵まれた境遇に感謝するしかありません。
 
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