図書館で大型活字本を借りました。平岩弓枝が昭和50年に書いた『この町の人』という小説です。平岩弓枝は文化勲章ももらった大作家ですが、読んだのは「田沼意次」くらいです。それで「この作家の普通の小説を読んでみよう」という気になったのです。テレビのホームドラマを小説にした本ですから、読みやすかったです。
特に面白いわけでもない普通のホームドラマですが、平岩の文の中に、いまでは「死語」になっているコトバを見つけて、「今の若い人は、『なに、それ?』というだろうな。こんな言葉を大作家でもふつうに書いてたんだなあ」とニヤっとしました。どれが死語?
死語 その1
通りすがりに、面白半分近づいてみたという格好で、果たして秋(女主人公の名前)が出て行くと苦笑して路地を折れて行った。この辺りでは、みかけない顔である。だが、その時の秋(人名)は別段、気にもとめなかった。
近くにビジネスホテルもあればつれ込み旅館もある。東京は下町といえども、他国者が徘徊するのが珍しくなくなった。
初子がやって来たのは、更にその翌日で、良二はまだ二階で眠っていた。
死語 その2
若いというのは幸せなことだと、秋(人名)は眺めていた。なんでもその気になるし、なんでもすぐ諦める。行動力に富むかわりには、気の変わるのも早い。
アベックが店へ入って来た。何気なく、そっちをみて、秋は、おやと思った。男のほうはサングラスをかけていて、しかも、秋には背中しかみえないが、正面にすわった女のほうは、店内の中央にある熱帯魚の水槽越しによくみえる。
特に面白いわけでもない普通のホームドラマですが、平岩の文の中に、いまでは「死語」になっているコトバを見つけて、「今の若い人は、『なに、それ?』というだろうな。こんな言葉を大作家でもふつうに書いてたんだなあ」とニヤっとしました。どれが死語?
死語 その1
通りすがりに、面白半分近づいてみたという格好で、果たして秋(女主人公の名前)が出て行くと苦笑して路地を折れて行った。この辺りでは、みかけない顔である。だが、その時の秋(人名)は別段、気にもとめなかった。
近くにビジネスホテルもあればつれ込み旅館もある。東京は下町といえども、他国者が徘徊するのが珍しくなくなった。
初子がやって来たのは、更にその翌日で、良二はまだ二階で眠っていた。
死語 その2
若いというのは幸せなことだと、秋(人名)は眺めていた。なんでもその気になるし、なんでもすぐ諦める。行動力に富むかわりには、気の変わるのも早い。
アベックが店へ入って来た。何気なく、そっちをみて、秋は、おやと思った。男のほうはサングラスをかけていて、しかも、秋には背中しかみえないが、正面にすわった女のほうは、店内の中央にある熱帯魚の水槽越しによくみえる。