前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

マルタン: 無伴奏二重合唱のためのミサ

2025-02-24 21:11:23 | クラシック音楽
先日、妻と音楽の話をしていた際
~因みに妻はピアノ、ヴァイオリン、箏などが弾けるマルチプレイヤー!
「合唱曲の演奏(歌声)は(基本的に)純正律(の方向)になる」旨の話を聞きました。

専門的(音楽理論的)には正確な表現ではないかもしれませんが
言っている意味はわかる、というか腑に落ちます。
歌声は無段階に音程を変化させられる楽器ですから
最も綺麗にハモる音を探すと必然的に純正律になるのかなと。


その時思い出したのが大学時代のサークルでの出来事です。
クラシック音楽鑑賞サークルだったのですが
先輩がグレゴリオ聖歌と(無調の)現代音楽の無伴奏合唱曲を
作曲者名や曲名を言わずに続けて聴かせてくれたことがありました。

まだ今よりも全然音楽知識に乏しかったのですが、
それらはどちらも全く違和感なく耳に響いてきました。
その"違和感のなさ"の理由が少しわかった気がします。


音律についての正しい説明・解説は非常に難しいのですが素人のざっくりとした理解では
純正律・ピタゴラス音律:和音が完全に美しく響く音律
平均律:1オクターブを均等に分割した音律
程度のものです。

色々な楽器を使用し且つ移調する作品は純正律では演奏は難しく
音楽の発展と共に平均律が定着していきました。


グレゴリオ聖歌は「教会旋法」と呼ばれる、今の西洋音楽の調性とは異なる音階で歌われ、
ピタゴラス音律が用いられたようです。
無調音楽は、西洋音楽の調性の果てに辿り着いたものですから
平均律(平均律に調律された楽器で演奏される)音楽の範囲になるのかもしれませんが
無伴奏合唱曲となるとより「教会旋法」との親和性は高くなります。


フランク・マルタン『無伴奏二重合唱のためのミサ』
ダニエル・ロイス指揮
RIAS室内合唱団

フランク・マルタンの作品は完全な無調というわけではありませんが
調性は不確かで不安定です。

フランク・マルタンは以前に「小協奏交響曲」について書きました。
チェンバロ、ピアノ、ハープと弦楽合奏という変わった編成の曲ですが
それも今思うとバロック、もしくはそれ以前の音楽という趣です。


『無伴奏二重合唱のためのミサ』は、そもそもグレゴリオ聖歌の影響がみられるようですが
時空を超えた美しさの繋がりを感じます。

妻の何気ない一言が自分にとっての新しい発見(再発見)を導いてくれました。
ありがとう。
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