老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

ぼくもわたしも働きたい

2020-12-19 16:51:18 | メトロノーム
1737 ぼくもわたしも働きたい



冬の朝焼け 希望


汲田 克夫,河野 勝行,飯野 節夫『ぼくも働きたい』 鳩の森書房

『ぼくも働きたい』は絶版になっており
なかなか手にすることができなくなった。

wifeの実家2階8畳の部屋に手製本棚を設置し
自分の本が千冊余り置いてある。
そのなかに『ぼくも働きたい』の本がある。

教育だけでなく労働をとおして人間は発達する
資本主義社会のなかでは
ときには労働疎外の問題もある

障がい者も同じく
人間として外で「働きたい」という願いを持っている

いまコロナウイルス感染で
人によっては「働く」機会が奪われている

自分の時間はあとどのくらい命が有るのかわからないけれど

障がい者の人も
「ぼくもわたしも働きたい」という強い願いをもっている
いつか就労支援施設(作業所)をつくれないか、と・・・・

老い喪失していく健康や躰のことで
萎んだ風船のような心になってしまった
老いても情熱を持ちながら
働いていきたい





1280; 車椅子で散歩をするときは

2019-11-12 20:06:53 | メトロノーム
車椅子で散歩をするときは

秋日和のときは
貴重な散歩日和

晩秋そして初冬になると
北風が吹き散歩が難しくなる

今日は秋日和で
穏やかな日であった
老いた父は膝掛けを被せ車椅子に座っていた
車椅子を押しているのは娘であろうか

ちょっとお節介で
また、ご存知のことかもしれない

秋空の下での車椅子散歩をされるときは
腰から膝下くらいまで
小さな足掛けタイプの毛布を
のり巻きのように巻きつけて座るといい

そのときは緩く巻きつけることと
お尻の部分は皺を伸ばすこと
そしてその上に膝掛けをかける
足首ウオーマーも履くのも温かい

意外と車椅子に座っていると
風を感じ寒い
車椅子を押している人は
運動にもなり暑くなるので寒さが「鈍感」になりやすい

寒くなる前の秋日和は
貴重な散歩
散歩されている光景を見ると嬉しくなります



1267; あなたは私のなかに生きている

2019-11-03 01:45:52 | メトロノーム
あなたは私のなかにl生きている

にんげん死んだら
時間が経つにつれ
忘れ去られてしまう
そのことが、死ぬよりも辛すぎる

すべてのにんげんが
あなたを忘れる訳ではない
悲しいとき 辛いとき せつないときなど
いまもう居ないあなたを思い出す

「偲ぶ」という文字は
「人(あなた)」と「思う」から成り立ち
あなたを思う、という意味をもつ

「あなたならどう思うか」「そのことについてどう話してくれるか」
また、ふとあなたの仕草や口癖を思い出すなど
あなたを偲ぶこともある

故人の命日、月命日或いはお盆や彼岸のときなど
仏壇や墓に向かいあなたを偲ぶ


ふと、あなたのことを思う瞬間
あなたはわたしの心のなかに生き還る



1227;メトロノーム

2019-09-15 18:08:49 | メトロノーム
メトロノーム


なぜ、急に「メトロノーム」の言葉や曲を思い出したか、というと
我家の家族であるbeagle元気が
wifeの顏を見て 尻尾をメトロノームのように左右に振りだした

尻尾はメトロノームのように規則正しく振り続けていた

小学校の音楽のときに メトロノームを知った
学校のピアノの上 飾りのようにメトロノームが置かれてあった

メトロノームがあってもリズムがとれない自分
メトロノームのように
あなたとわたしの気持ちがひとつになって合わさっている
素敵だな

にんげんの気持ちがメトロノームになれば 平和 幸福 なのかもしれない

そしてメトロノームは止まることなく振り子のように振り続けている
時間は止まっても メトロノームは止まることなく降り続けている

なんだかメトロノームに魅かれ 素敵な存在に思えてしまう


話しは日常的であり個人的なことに変わる
今日wifeとドライブ

約1時間かけて道の駅喜連川に行ってきた
新鮮野菜とちょっとばかしの新米を買った
その後道の駅に併設している喜連川温泉に入った
美肌によい温泉である、と宣伝されていた

帰り路も東北道を走ったせいなのか
温泉上りの運転のせいか

睡魔が襲ってきたが
wifeに脇で「眠いの」と数度言われ
「眠くなんかないよ 眠かったら運転できないでしょ」と
意地を張り、ハンドルを握っていた自分

無事到着した

玄関をあけるとbeagle元気は飛びあがり 
メトロノームのように尻尾をちぎれるほど振りまくっていた

1226;何もせずに過ごす

2019-09-12 04:32:07 | メトロノーム
何もせずに過ごす

大正13年生まれの美紗緒婆さん
長男夫婦と男孫の4人家族

いつも陽のあたる居間で両足を伸ばし
何もせずに過ごしている

時代劇を観るのが唯一の楽しみ
難聴でテレビの音はは聴こえず目で追っているにすぎない

なにもせずに過ごしているので
楽しみ事はないのかな
なにが楽しいのかな
、と判断したり思ってしまってはいけないのだが
本人に「デイサービスに行かないか」と尋ねると
即答「行かない」「人と話すことが嫌い」
断られた

歩行器につかまりあるくも
居間からトイレまではいざりで移動する

なにもせずに居ても
本人にとりそれはそれで倖せなのであろう
居間から庭を眺め
風を感じ過ごす

ぼ~と何もせずに過ごしたい、と思うときもあるが
自分は家にじっとすることは我慢ならず
車で何処かへ行きたい

美紗緒婆さん 陽をあたりながら
頭のなかで思い出巡りをしているのだろうか

1225;人生にトキメキを・・・・

2019-09-10 22:31:02 | メトロノーム
人生にトキメキを・・・・

チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」の言葉に ハッとする自分

先日 スーパーでチコちゃんのふりかけを見つけ、買ってしまった妻と自分

ふりかけの袋にこんな言葉があった
大人になるとあっという間1年が過ぎるのはなぜ?」

人生にトキメキがなくなったから  チコちゃんの答え

生活の中にトキメキが多いか少ないかが、
時間がゆっくり過ぎるか早く過ぎるかの違いを生み出している

子どもは新しい体験など1年の中で感じとるトキメキが多く、
その一つ一つをしっかり認識するので過ぎた時間を長く感じる。

大人は毎日同じ作業に慣れてトキメキが少なくなる。
印象に残ることが少ないので過ぎた時間を短く感じる。

【ふりかけに記載されてあったチコちゃんの回答】

トキメキの瞬間(とき)を持つこと
恋はトキメキの一つだが
いまの自分には無理な話
ときめくような新しい体験にチャレンジすることなのかな


今日 余命3ヵ月と告知された熊爺さんの家を訪問した
腎臓と胃に癌があり、幸い痛みはなく 積極的な治療はせず
自宅のベッドで療養中
妻との二人暮らし

熊爺さんは農業一筋だった
ベッド上から畑や庭の風景を眺めながら
来年の種蒔きの準備を思案している
元気になり農作業をしなければ、と・・・・。

生きねば、と熊爺さんは思いながら
「病院にはいたくない、家に帰りたい」
「(家で)風呂に入りたい」

9月17日から訪問入浴のサービスを開始する
併せて訪問看護師も訪れることになった

「生きたい」「生きねば」と思うその気持ちは
余命3ヵ月の枠を越え生きていく熊爺さん

人生が速く過ぎるか 短く感じるかは
トキメキの体験や生きることへの希望があるかないかで違ってくるのかもしれない





1224;見送る

2019-09-09 04:46:05 | メトロノーム
見送る

先日、92歳の登婆さんは病室で永眠され、二人の息子が見送った。

「見送る」という言葉からいろいろな情景が浮かぶ。

・出勤する夫を玄関先で見送る妻は何を思う
新婚当時は、手作りの夕飯を作り、夫の帰りを待った。
いまは、夫を見送った後で、外出し自由に時間を楽しむ妻

・集団就職列車をホームで見送る母親の不安な気持ち
中学の同級生が二人、蒸気機関車列車に乗り、東京の小さな会社に就職した。
いなりと海苔巻が入った包みを母親はそっと渡していた

・逢っているときは愉しいが恋人が乗った終電をホームで見送る切なさ

・「雨がやんだらお別れね」と2階の窓から後姿を見送る女性の泪

・長い間、病を患い、闘い終えた穏やかな母の顏を見送る悲哀(かなしさ)と安堵の気持ちが複雑に混じり合う
眠っているような死に顔。言葉をかけたらいまにも目を覚まし起きてきそうな顔。
多くの死に顔を見てきた。
ほんとうに最期は穏やかな安らかな表情で逝きたい、と願う。
静かに眠るご遺体(老いびと)に向かい合掌したあと、頭髪を撫でながら「お疲れ様」「がんばったね」などと言葉をかける。
ケアマネジャーの仕事は、「見送り」で終わりとなる。
亡くなった老いびとから何を学んだのか、何を感じとったのか、もう一人の自分に向き合う。

1223;言葉を紡ぐ

2019-09-08 09:14:32 | メトロノーム
言葉を紡ぐ



昔は、くず繭(まゆ)を紡いだ糸で織った絹織物を紬と呼び、
江戸時代までは庶民の普段着であった。
くず繭であっても、出来上がり上品で素晴らしい着物になった。
紬は、太さがバラバラで均一でない紬糸を複雑に絡めて織っていくことで丈夫な着物が出来上がる。

デイサービスに集う老人たちも同様、
生活歴や躰の状態や性格は、ばらばらであり同じ人はない。
90歳を越えた人生の達人が多く、それぞれがマイペースであり、我が道を行く、といった感じである。

「紬」は、繭を紡ぐことから、「紡ぐ」という言葉を考えてみた。
「言葉を紡ぐ(想いを紡ぐ)」。
介護相談や介護のなかで、老人の想いや言葉に傾け、どう紡いでいるのだろうか、
「紡ぐ」という言葉から、ふと立ち止まった。

740;一円玉を笑う者は一円に泣く

2018-05-06 04:30:14 | メトロノーム
円玉の重さは1

一円玉を笑う者は一円に泣く

普段使う貨幣は紙幣と硬貨
硬貨は6種類ある
1円玉は一番軽く重さは1g
アルミニウムでできている
図柄をみると
「若木」が表なのであろうか
若木は創作の木であり
すくすく伸びる若木に夢を託す

1円 風が吹けば飛ぶほど軽い小銭
いまの子どもだけでなく大人も
落ちて1円玉を見ても見向きせず素通り
財布に1円玉が溜まると疎んじられ
いつの間にか溜まってしまう

お袋によく言われた
1円でも足りなければ
「(国鉄の)切符が買えない。汽車にも乗れない」
1円の大切さを話してくれた
いまはカードで切符を買う時代だから
1円に泣くことはないが・・・・・

自動販売機は1円玉、5円玉の小銭は使えない
セルフのガソリンスタンドでは1円玉が使えるとか
まだ見たことがない

1円玉の人生
1円玉であっても粗末にしたり馬鹿にしない
1円玉に対する価値観は
人に対する見方にも通じてしまうもの





739;私の財布は硬貨で膨らんでいる

2018-05-05 04:06:25 | メトロノーム
私の財布は硬貨で膨らんでいる

老いた人のことを
老人と呼ぶ
老人は
「現世(いまの世の中)便利になったけど、わしら年寄りには棲みにくくなった」
とこぼす

田舎の駅は
駅員がおらず
切符が買えない
都会の駅は
自動発券機
話しかけてもしゃべらず
行き先(下車駅)はわかるのだが
どうしたらいいのか
戸惑ってしまう
後列からわざと舌打ちや小言が聞こえると
余計に焦り
硬貨を床に落としてしまう

それは自動発券機だけでなく
スーパーのレジのときも
同じく焦り
「658円になります」と
言葉をかけられても
小銭の種類と数がパット浮かばず
(5種類の硬貨の組み合わせ)
つい
夏目漱石や福沢諭吉を出してしまう
紙幣の数より
賑やかな小銭が手元に渡され
財布は膨れ上がり更に重くなってきた