老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

692;笑えた老夫婦

2018-03-27 21:12:01 | 老いの光影 第2章
笑えた老夫婦

今月は在宅訪問36軒行った

85歳の脳梗塞後遺症の爺様
軽くすみ、歩行器で室内外を歩いている

妻は83歳、物忘れが始まった
というが、何を忘れたか 数分後に思い出す
まだ呆けてはいない、と笑ながら話す婆様

病気する前は酒飲んべで、その上煙草も吸ってた
脳梗塞になってからは 酒煙草はやめた

昔は見合い結婚ならまだしも
親の知り合いの口利きで
いまの爺様と一緒になった

爺様と結婚して「当たり」「外れ」、どっちか、と尋ねると
婆様は躊躇することなく「外れた~」と答える
傍に居た爺様は「俺は当たりだった」

婆様は こんな山奥
狸か猪しか棲まないところに
嫁ぎたくなかった
親が決めた結婚だから
反対もできない、親の考えに従うしかなった
携帯電話のアンテナが立たず 黒電話しか通じない
陽があたらない山里に棲む

爺様 婆様 今年で結婚60年
婆様 煮魚の骨を1本1本 箸でとり除き
骨抜きの魚を爺様にあげている

お互いポックリ死にたいものだ
婆様は爺様に話しかける

691;猫の手と犬の手

2018-03-27 13:24:42 | 阿呆者
猫の手と犬の手

人間ならば赤ちゃんの手は凄く可愛い
猫の手 可愛い 
犬の手 可愛い
どちらの手も スタンプに使いたい

猫の手だけでなく
犬の手も
借りたいほど
忙しい

3月29日から30日まで
ユニバーサル ジャパンを「徘徊」
右も左もわからず
きっと人混みで
疲れるだろうな
今回は妻の要望だけに・・・・
付き人は「妻」と「姪っ子(中学2年)」と遊びに行く 

690;食べたいものを食べさせた方がいい・・・・

2018-03-26 00:32:16 | 老いの光影 第2章
食べたいものを食べさせた方がいい・・・・

入院が長引き
あと7日間もつかどうか
生命の終止符は神様しかわからない
食事制限があった患者に対し
医師は家族に話す

本人が飲みたいだけ水を飲ませたり
食べたいものを食べたいだけ食べさせてもいいです
と、話されても
体力が弱ってきているだけに
そうそうは食べたくても食べれない

意志や体力が衰弱する前に
食べたいもの飲みたいものを
口にさせなければ意味がない

あなたは死期が近づいたとき
最後に何を食べたいですか


689;片道切符

2018-03-25 20:43:23 | 阿呆者

片道切符

子どもの頃
いま亡き親父に
往復切符を買ってもらった
失くすといけないから、と
(本当は自分で持っていたかったのに)
「失くすといけないから」と
お袋から言われお袋の手に渡した

老い病み
意識が混濁し
救急車で病院に搬送された
入院ですよ、と医師から告げられ
ポケットのなかに「片道切符」が入っていた
神様(死神)の悪戯であろうか

人生は誰も「片道切符」であることに
気づいていない
それとも
わざと気づかずにいるのだろうか

688;誤嚥性肺炎により搬送入院

2018-03-25 19:02:36 | 老いの光影 第2章
誤嚥性肺炎により搬送入院

日曜日の朝と言っても
9時44分にスマホが鳴った
出てみると
一昨日介護施設から帰り
今日施設に戻る予定だった
加納屋邦一(88歳)は寝ている状態で
話しかけても起きない
昨夜嘔吐があった、多量の下痢や柔らか便もあった
脈が70のときもあるが50しかないときもある
迎えにいかれたショートの吉川生活相談員から話を受ける
吉川相談員は施設に連れて帰りたくなく
雰囲気的に(救急車を呼び)入院をさせたがっていた
状態がわるく医師の判断により入院は決まるにしても
救急隊が駆け付けたとき
本人の状態を正確に伝えるには
必要な数値も把握せねばならない

邦一さんの場合は、在宅よりも施設で生活されている時間は長く
月に28日から29日間、連続で施設に居る
2泊3日の超短い在宅生活よりも
施設の方が彼の状態を知っているはず
普段から不安定であれば、
バイタルチェックができる道具をバッグに入れ持参するくらいでない、と

SpO2が測定できるパルスオキシメータを持ち駆けつける途中
長女より「救急車を呼び、いま自宅前に救急車が着いた」と電話を受けた
5分後に到着 搬送先の病院が決まらず

私は邦一の長男(県都で脳外科医をされている)に電話をいれた
搬送先の病院が決まった。
診察の結果 誤嚥性肺炎で入院となった

687;蝉の如く生きる

2018-03-24 04:15:30 | 老いの光影 第2章

蝉の如く生きる

39人の要介護老人
いま私が担当させて頂き
毎月在宅訪問する

2番目に若い南野幸一さん(70歳)
職人気質で塗装業(自営)を営んできた
景気がよかったときは
老後のことは頭に浮かばず
国民年金、納めたり、納めなかったりで
基礎年金の受け取り額は思いのほか少なく
夫の介護をしながら
昼間 蕎麦屋でパートをしている妻

幸一さんは
酒豪であった
いまは一滴も飲めない
歩くことができず
24時間介護用ベッドの上に
蝉の如く
ジッと張り付いている
市営住宅3階に住み
南向きの窓がある部屋から
風景が見えることが最高

幸一さんは
インスリン注射の他に
フォーレ挿入があり
毎週1回訪問看護師が訪れている
皮膚が爛れやすい

体格もよく老いた妻一人ではお風呂に入れることはできず
これも週1回訪問入浴がある
3階まで浴槽を運び
簡易タイプの浴槽を設置しお湯を張る
看護師を含めた3人のスタッフ
本当に頭が下がる

昼間妻が働いている間は
ヘルパーは13時と16時の2回訪れ おむつ交換
月に12回程休みがある妻は(休みのときはヘルパーは訪れない)
(妻は休むことなく在宅介護とパート)
自転車で近くのスーパーへ買い物に行くだけであり
それ以外は夫の介護
68歳になる

妻やヘルパーがいないとき
夫は
紙おむつに手を入れ
便を弄りこねりまわし
パジャマ、シーツ、ベッドなどは便まみれ
勿論爪の間にもしっかりと入り込み大変
泪が出てしまう
また紙おむつを外し下半身裸のときもある

エアマットがあり
3つの訪問セット(訪問看護 訪問入浴 訪問介護)のお蔭で
床ずれもなく
日夜 天井や風景を眺めながら
ジッと生きている
来る日も来る日も寝たきりの生活
何を想うか

訪問の度
言葉をかけると
にっこりと笑うだけの彼
これからは遠くに映える桜を眺め見る
幸一さんにも春が来た





686;素朴な疑問

2018-03-23 22:03:00 | 阿呆者

素朴な疑問?

80歳、90歳を超えた老人のなかで
特に婆さんは
腰を直角に曲げ 
地べただけを見つめ歩いている姿を
目にする

仰向けに寝たとき
両足は天井に向かい伸びているのだろうか
それとも
側臥位の姿勢で両足は直角になったまま
寝ているのであろうか

685;守る人から守られている自分

2018-03-23 12:50:50 | 阿呆者

守る人から守られている自分

これから在宅訪問
キャンバスに乗ろうと
歩いているとき
ふと、思ったというか
頭のなかを
風が通り過ぎるように
守る人のことが浮かんだ
やりくりが下手な私
なかなか黒字にはならず
とんとんと赤字の繰返し
赤字を埋める為に
私と妻は食べるだけで
「無給」に近い
それでも「食べていける」のだが

デイサービスを楽しみに来る老人たち
介護から解放され、一時のやすらぎを得る家族介護者
社員の給与だけは遅れないようにしないと
社員も生活がある
妻にも給与と思うがいまは我慢してもらい
日曜日に近くのアウトレットとカラオケを楽しんでいる

老人とその家族
社員
妻とbeagle元気

自分が守る人
守る人がいる、と思っている自分だが
守る人から守られている自分なのかもしれない
守る人のために生きる
それは自分のために生きることにも連なる

684;胸が苦しく湿布を張った93歳の爺様

2018-03-23 05:03:24 | 老いの光影 第2章
愛車 在宅訪問のときに活躍しているキャンバス 昨年12月18日から運転

胸が苦しく湿布を張った93歳の爺様

今年は介護保険制度が大きく変わり
介護サービス事業所対象に
県介護保険室からその説明会(集団指導)があった

その席上で知り合いのヘルパーに会い
93歳の菅原文治さん(仮名)は
「入院することに同意したよ」と情報提供を受けた
16時に説明会は終わり
私はまっすぐその足で文治さんの家を訪問

文治さんはいつも自分が坐っている場所ではない処で
炬燵の蒲団を被り左側臥位になって休んでいた
声をかける
「辛くないかい、胸苦しいないかい」
「いつもより胸は苦しい、苦しいので湿布薬を貼った。大丈夫~」

湿布薬を貼るほどだからよほど辛い、苦しい
彼の表情から感じた
手元にパルスオキシメータがなかったので
今日仕事が休みで自宅に居る妻に電話をかけ
パルスオキシメータを持ってきて欲しいと頼む
10分後に妻は到着

パルスオキシメーターで測定すると「72」
再度測定しても「78」の数字
これでは呼吸も苦しく
彼が湿布薬を貼ったのも頷ける

本人に「もう心臓が疲れ切って このままだと
家で暮らすこともできなくなっちゃう
救急車を呼ぼう~」
「入院しよう」と、

彼は頷き同意した

傍にいた長男夫婦、慌てていた様子だったので
長男には救急車の依頼を
長男嫁には保険証、薬手帳の用意をお願いした

文治さんは
急性心不全、腎不全、糖尿病、高血圧症の疾病があり
両手はグローブのように浮腫があり、角にあたると破れ「浸出液」がどっと流れそうな状態
両足にも浮腫があり
かかりつけ医からは入院を勧められていた
それでも自宅で妻と暮らしていたい、と
ここ一月ばかり近く自宅に居た

93歳の老いた妻と
救急車を見送り入院となった

683;介護と育児の混同(1)

2018-03-22 05:35:08 | 老いの光影 第2章
介護と育児の混同

80歳代後半、90歳代の老夫婦
夫が脳卒中後遺症や骨折後遺症などにより
要介護状態になったとき
老夫は「できる」のに
老妻は必要以上に「手をかけ」てしまう
何もできなくなった夫は
大きくなった赤ん坊であり
老妻が世話をしなければ、と思ってしまう
赤ん坊とは違い
身体も大きくなり思うように動いてはくれないだけに
老妻の身体への負担は大きく疲労も溜まる




682;小さな夢

2018-03-21 19:29:44 | 阿呆者
小さな夢

私は小さくてもよいから
夢を抱くことにした
他人様からは
それは夢じゃない
苦笑されてしまうけれど
私は小さな夢を持って生きる
私は海が見えない山に囲まれた地に棲む
人生の最終楽章は
海の見える家に暮らしたい
その家は小さくてもいい
貸家でもいい
窓から青い海が眺め見ることができ
遥か彼方にみえる水平線は消え
空と海の境は無く
小さな漁船が見えるだけ

681;彼岸雑想

2018-03-21 09:09:19 | 阿呆者
我想う 何故に想う

彼岸雑想

雑草ならぬ雑想
とりとめもなく想ったことを
雑想として書き留めてみた
《彼岸雑想》


雑想壱 
「思想」と表現すると難しくなる
例えば仏教思想 東洋思想 西洋思想などなど
哲学的になる

思と想を切り離して考えると
少しは「おもう」ことの意味がわかってくる

思う は自分がどう思うか、どう思っているか
つまり自分の問題として捉えることができる

想う は「相」と「心」で成り立つ
それは相手に対する心づかい
相手を「想う」意味が込められている
あなたを想う
父、母が住んでいる故郷を想う
(誰か故郷を想わざる)


雑想弐
暑さ寒さも彼岸まで というが
私は寒さ彼岸まであり
彼岸が過ぎ 日毎に暑くなってくるほうがいい


雑想参
屑箱が目に留まった
燃える屑は燃料となり価値はある
人間の屑と言われた私
生きる価値無しの烙印を押され
牛馬豚の家畜以下
同じ屑なら
星屑がいい

星屑は浪漫があり希望の星がある

雑想四
彼岸の朝
「もう人生に疲れた」とこぼしたら
妻の耳に聴こえてしまった
「年下の妻を前にして そのような言葉は聴きたくはなかった」と
たしなめられてしまった


雑草五
子どもは 未来があり希望がある
老人は 死が待っている
懸命に生きている老人に失礼かな
最近の私
スマホの置き忘れが目立ち始め
集中力が希薄になってきたのか
認知症の兆しなのか
スマホが無いことに気づき
引き返す時間の無駄に落ち込む

老人介護は重い
人生の重み
動けなくなった体の重み
灰色の霧のようなもやもやした心の重み
そんな重みに疲れた心
時間のなさに焦りを感じている私
時間がないのは死と隣り合わせに生きている老人
老人介護の重さを感じ
重さの半分を背負っていかねば
一休みの彼岸


雑感六
私にはひとつ年上の姉がいる
統合失調症で
いま精神病院に「暮らす」
時間を気にせず突然「公衆電話」が点灯し
スマホが鳴り出す
「いつ面会に来る」
「いつ外出できる」
と 縋る様な声
他人様に時間はとれて
姉にはなかなか時間がとれぬ
四十年余り姉の病とつきあい気にかけてきた
内臓が元気な姉
私より長生きしそうな感じ
私は姉より長生きせねばならない
そう思いながら
今日の午後 病院に行き 
外出許可をもらい「買い物」に行く


雑感最後
我家には
妻の他に息子 beagle犬 元気 がいる
妻は私よりも元気が大事と公言する
人間は裏切るが
犬は人間(ご主人様)を裏切らない
『星守る犬』の小説を読んだ
余りにも悲しく切なく眼が滲んでしまった
来月の八日で五歳になる元気
お釈迦様の日に生れた元気
何も無い普通の日に生れた私
お釈迦様の使い犬なのか
元気に導かれるのは散歩のときだけにして
雑想を書き終えたいまから、頑張るとしよう・・・・
もう少しで私の好きな花 貧乏草に出逢える


680;時間は生命

2018-03-21 04:57:55 | 空蝉
白河・南湖公園の桜

桜の花は生命は短い
短いだけに儚く
愛しく思われてならない
寒い冬をジッと耐え
春を迎えた桜

時間は生命

最近読んだ本
岩波少年文庫 『モモ』(ミヒャエル・エンデ作/大島かおり訳)から
時間は大切なものであるだけに
奪われてはならない
無駄な時間を過ごしてはならない
時間は生命であることを教えられた

それは自分の時間だけでなく
他人の時間を奪ってはいないか

時間は生きている
時間は取り戻すこともできない
時間は巻き戻すこともできない
時間はいつまでも在るとは限らない
いま時を刻む音に
生きているという瞬間を大切に
私は生きているか

老いてくると
時間の残りが気になる
それだけに時間の持つ重みが増してくる
あと僅かな時間と思うか
まだ時間は在る
残された時間をどう使っていくのか

時間
人間
どちらも「間」という漢字
「間」 どんな意味を有しているのか
蝉を連想してしまった

679;取り繕う

2018-03-20 07:58:52 | 阿呆者
取り繕う

取り繕う
見かけ倒し

ファミリーレストランの
メニュウを開くと
凄く美味しそう
と 思う、感じさせる
写真が並び
注文するのにも
悩んでしまうほど

お腹は空き
彼女を待つような心境で
料理を待つ

実際に運ばれてきた
盛付けをみると
写真とはかなり異なり
こんなはずではなかった
写真は「真実を写す」という言葉の意味だが
必ずしもそうではないのかも

財務省「森友文書」の書き換えは
真実を覆い隠す
臭い蓋のようなものなのか
国会答弁を聴いていると
取り繕いが上手な阿部総理

話はメニュウに戻るが
ファミリーレストランの
メニュウは
お見合い写真のようなもの
と 言い切ってしまっては
女性達から襲撃に遭いそう

678;黒の舟唄と彼岸

2018-03-20 03:19:20 | 歌は世につれ・・・・
黒の舟唄と彼岸

長谷川きよしが唄う『黒の舟唄』は
何故か心に沁みる


作詞:能吉利人、作曲:桜井 順、唄:野坂昭如 ほか

1 男と女のあいだには
  ふかくて暗い河がある
  誰も渡れぬ河なれど
  エンヤコラ今夜も舟を出す
  ※ROW & ROW ROW & ROW
    ふりかえるな ROW ROW

2 おまえが十七 おれ十九
  忘れもしないこの河に
  ふたりの星のひとかけら
  流して泣いた夜もある
  (※ 繰り返す)

3 あれからいくとせ漕ぎつづけ
  大波小波ゆれゆられ
  極楽見えたこともある
  地獄が見えたこともある
  (※繰り返す)

4 たとえば男はあほう鳥
  たとえば女は忘れ貝
  まっかな潮(うしお)が満ちるとき
  失くしたものを想いだす
  (※ 繰り返す)

5 お前とおれとのあいだには
  ふかくて暗い河がある
  それでもやっぱり逢いたくて
  エンヤコラ今夜も舟を出す
  (※ 繰り返す)

  ROW & ROW ROW & ROW
  ふりかえるな ROW ROW
  ROW & ROW ROW & ROW
  ふりかえるな ROW ROW


暗い唄であるが
何故か心惹かれるというか
心引き摺られる
月は黒い雲に覆われ
夜の大河(かわ)も黒い
「お前とおれとのあいだには ふかくて暗い河がある」
闇夜の彼岸と此岸との間には
ふかくて暗い河がある

あなたに会いたくて
黒い闇間に見え隠れする
彼岸をめざし黒舟を漕ぎつづけるが
なかなか彼岸に辿り着けない

彼岸花は
やっぱり
曼珠沙華がいい
ふかくて暗い河に
曼珠沙華を一輪挿してみた