老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

258;俺のこと迎えに来ない?

2017-07-31 08:36:48 | 老いの光影
俺のこと迎えに来ない?

《親父と息子の会話》

親父「俺のこと誰も迎えに来ない」
息子「母親も天国でせいせいしているのに
   まだ、親父には来て欲しくないはずだよ~」
親父「・・・・・」

257;夏なのに

2017-07-30 05:15:48 | 犬と人間
beagle・gennki「暑いのも困るけど 雨降りも困るワン」

夏なのに

東北は梅雨が明けそうで明けない
今日の朝も雨が降っている
雨が降ると
我が家のひとり息子が可哀想
散歩ができず
自然の摂理である排せつができない
家の中では我慢している
我慢が限界に達したときは
トレイにするのだが
膀胱炎や便秘が心配
代わってあげることもできず
トレイにオシッコ、ウンチしていいよ、と
言葉かけをする
夏なのに 雨が降っている


256;あなたが傍にいるだけで

2017-07-29 13:21:22 | 老いびとの聲
あなたが傍にいるだけで 

あなたが傍にいるだけで
わたしの気持ちは安らぐ
あなたが傍らにいるだけで
あなたのやさしさが伝わる

あなたが傍らにいるだけで
慰めの言葉もいらない
無言の言葉であったとしても
あなたの想いが伝わる

いつのときも
あなたが傍にいて欲しいと
思ってみたところで
それは無理なことだとわかってはいる
せめても
寂しいとき 
悲哀しいとき 
辛いとき
あなたが傍にいてくれたら
どんなにかわたしの心は癒され
生きる力が湧いてくる

あなたの傍にいるだけで
あなたから「幸せ」と呟かれたら
わたしはうれしさで満ち溢れてしまう
あなたが傍にいるときだけでも
ときめきの気持ちでいたい
あなたが傍にいるだけで「幸せ」

255;全てをきれいにして死にたい

2017-07-27 11:32:14 | 老いの光影
全てをきれいにして死にたい

屋敷梅子さん(87歳)は
いま、落ち込みと思い込みが混ぜりあい
「平成29年7月31日に
心臓のドキドキが止まり
自分は死ぬ」と信じている。

自分の身の回りをきれいにして死にしたい
ということから
家の庭に在った
7本の梅の木と
3mの高さがあった松の木を
鋸で切ってしまった。
桜の木が1本残っているので
それも切ると意気込んでいた。

同居している息子は何も言わず
お袋のやりたいようにやらせていた。

梅子さんは10年以上もうつ病を患い
いまは認知症も重なり
ネガティブな心の揺れ動きのなかにある。
息子に箪笥や茶箪笥のなかも整理され
空気しか入っていない。

帰り際に彼女は
「心臓は動いているから 死なないんだよ」
と話す。

死ぬ前には
身の回りのこと
やり残したこと
伝えておきたいこと
などなど
きれいに片づけて
心置きなくあの世に逝きたい

7月31日夕方
訪問することを約束して
私は彼女の家を出た

254;欲ない・夢ない・やる気ない

2017-07-26 05:06:51 | 老いの光影
欲ない・夢ない・やる気ない

作家 堺屋太一は
欲ない・夢ない・やる気ない
「3Y」がいまの日本の危機だと訴えている

老夫婦
長年連れ添った夫あるいは妻が
紙ぱんつの交換など
介護為さねばならなくなった
優しさから
できない、と思い込み
必要以上に手をかけてしまう
いつのまにか
本人は依存的になり
何もやらなくなった
昼間でも
ベッドから起きることもなく
寝ている
できるところは「自分でやろう」という
欲ややる気はなく
夢も失せた

人工肛門をつけた90歳の夫が
88歳になる妻の介護をしている
2年余りの介護が続いている
夫は慣れない家事
毎日三度の食事作りが悩みであり大変である
妻は味噌汁やおかずを口にしても
「不味い」「美味い」でもなく
ただ無言に食べているだけ
おむつを取り替えても
「ありがとう」の言葉もない
張り合いがないというか
やるきが失せてきた
疲れてきた
夫からそのような言葉が増えてきた
老人ホームの入所申請を考えている、と

妻は声が出るのに
何故言葉を発しなくなったのか
3Y なのであろうか
それとも妻と夫の間には
「深くて暗い 川がある」(黒の舟唄)のであろうか 


253;でんでんむし虫蝸牛 

2017-07-25 08:41:20 | 老いびとの聲
でんでんむし虫蝸牛

今日の朝
息子beagle・gennkiと
阿武隈川の辺を散歩しているとき
幼子なのかな
小さな蝸牛に遭遇
牛よりも
亀よりも
蝸牛は
さらに遅々たる歩みであった

葉っぱの上を歩くとき
透明の液体を出しながら
ときにはヒジキのような
黒いウンコを排せつしていた

角と槍を出していて
先のほうには目玉があった

暫くぶりで
蝸牛に出逢えた

252;お婆ちゃん

2017-07-24 03:38:42 | 老いの光影
お婆ちゃん 

食べ終わったときには
もう何を食べたのかも忘れてしまう
91歳の女性は
席の向かい側で昼食を摂っていた
78歳の女性に
「お婆ちゃん、顎にご飯粒が沢山ついているよ」と
親切に言葉をかけていた

91歳の彼女は
まだ自分はお婆ちゃんだと思ってはいなく
年齢尋ねたら「40歳」と真顔で答えた

老人自身
他者の世話を受ける身になっても
お爺ちゃん お婆ちゃん とは
思ってはいず
それは他者の事であると受け止めている

孫に「お爺ちゃん」「お婆ちゃん」と呼ばれたときには
目を細め喜び 抱っこしたり財布の紐が緩む

子どもにそう呼ばれたときは
「年寄り扱いするな」と怒りだす


251 108歳の苦悩(2)

2017-07-23 08:35:34 | 老いの光影
108歳のお婆ちゃんと末孫との会話風景

108歳の苦悩  ~人間死ぬまで悩みは尽きぬ~  

次女(85歳)は
ショートを利用されている108歳になる母親のところへ面会に行った

5人姉妹のなかで
次女は経済的には一番恵まれていた
子どもたちも素直に育ち
社会のなかで立派に働いていた
ただ次女の性格は
心配性が強く
老いに入ってからは
閉じこもりになり
お金に対する被害妄想が強くなってきた
「知らない人たちがたくさん集まり 私を殺しにきた」

長男と5人姉妹は
超高齢の母親は
いつ亡くなってもおかしくない年齢なので
毎月亡き父親の月命日14日は長男宅に集まり
線香をあげ
それぞれ一品を持ち寄り食事を楽しんでいた
それだけ兄弟姉妹は仲が良かった
その次女がいま認知症になり
姉妹たちは大慌ててしている

次女は
顔の表情はきつくなり
ご飯も食べる気がしない、と呟いたとき
108歳の母親は
次女に向かい次女の肩に手を置き
「そんな弱きな気持ちでどうする、
食べたくなくても
ご飯を薬だと思って食べないと
元気にならないよ」と
力強い言葉で励ましていた

傍でその様子を見ていた
五女(末っ子)は
108歳になっても
親は我が子の様子がおかしいことに気づき
気を取り直し 生きなさいと言葉をかけていた
数分前の出来事を忘れていた親だったのに
いざというときは親なんだな、と思った
そう電話口で私に話してれた







249;108歳の苦悩(1)

2017-07-19 03:59:04 | 老いの光影
施設内を散歩している108歳のお婆ちゃん 付き添われているのは一番下の孫娘

108歳の苦悩  ~人間死ぬまで悩みは尽きぬ~ 

安達サタはいま108歳
妻の母方のお祖母ちゃん
子どもは6人で
いずれも長生きしている
5女1男で
妻の母は5女にあたり73歳になる
長女は87歳で独り暮らし
108歳の親より先に死ぬことは出来ぬと呟いている

長男夫婦と同居していたのだが
長男夫婦も高齢なこともあり
十分な食事が摂れなくなり
栄養不足、水分不足から
せん妄 基礎代謝バランスの崩れ 脱水症 認知症の発症 転倒
といった症状が現れ2回ほど入院騒ぎがあった

自宅介護は困難無理ということになり
今年の2月病院を退院すると
家には帰らず介護施設へ「長期」のショート利用となり
いまは食事、水分も十分に摂れ
日々元気に歩行器を押しながら
施設内を闊歩している
排せつも着替えもまだ他人の世話を受けず自立
ただ数分前に外出したことを忘れるなど
物忘れは消失していない(要介護3の認定)
それでも一番下の孫娘の夫(私)の名前と顔は覚えてくれている

110歳までは生きる と
歩行や機能訓練に頑張って参加している
いま次女(85歳)のことが悩んでいる 

248;勝手な生き物

2017-07-18 04:59:41 | 老いびとの聲
勝手な生き物

昨日は雨を降って欲しいと願った
今日朝 目が覚めるほど
雷雨と大きな雨音が頭に響く
いつもなら明るい空なのに
今日はまだ薄暗い

「自由」と「解放」
解放は 不自由な状態から解き放され
自由の身となる
なにものにも束縛されない

自由は やっかいな言葉
なにものにも束縛されていない
自由の身なのに
「自由になりたい」
孤独になりたい(独りになりたい)
知らない町へ旅に出たいと想うのは           
まだ見ぬもうひとり「わたし」に出会うためであろうか
心の重荷から解放され
自由になりたい

いざ独りになると
人恋しくなり寂しさが襲ってくる
自由になりたがっていたのに
そう考えると
人間は勝手な生き物なのかもしれない

帰れる家があるから
心は安らぐのかもしれない
家ほど自由な時空間は他にはない

246;「憐憫の情」ならぬ「三瓶の情」

2017-07-16 03:34:38 | 老いびとの聲
三瓶の情

花を活けてくれる
花瓶は
荒んだ人間の心を癒す

オシッコを容れてくれる
尿瓶は
病床で臥す人の泪も掬う

孤独な自分につきあってくれる
酒瓶は
誰も棲まぬ廃屋の故郷を想う



「憐憫の情」は、頂きたくない
「三瓶の情」は、拙者の勝手な造語である
花瓶 尿瓶 酒瓶
と3つの瓶がある
犬との散歩中に
浮かんだ言葉であった
何の関連性もない3つの瓶をまとめ
「三瓶の情」としてみた
一輪挿しの花瓶に

道端で見つけた折かかっていた野花を挿してみた
老いてきて
動かぬ生物に何故か心惹かれてきた
私は貧乏草と疎まれているハルジオンが何故か好き

入院し
手術や大腿骨の骨折など
予期もせぬ寝たきり状態になり
トイレで用足しをすることもできず
尿瓶に排尿する
ベッドから降りることもできず
寝たきり老人になったとき
尿意が有るうちは
紙おむつではなく尿瓶でしたいものだ
動けぬ寂しさ辛さは一輪挿しの花と同じかもしれぬ

飲み方で酒は
薬にもなるし毒にもなる
酒は人間の心を酔わせてくれる
酒は美味いか不味いか苦いかは
そのときの心模様によって変わってくる
酒は孤独な気持ちを癒してはくれない

245;事故

2017-07-15 11:50:05 | 介護の深淵
事故

車に置き去り
熱中症で死亡

いたたまれない事故だけに
他人ごとではない
他人を預かるということは
その人の生命を預かる
そのことを忘れてはならない

難しい操作や複雑なことで
事故は起きらない
基本的なことを怠ったり
手抜きをしたときに
事故は起きる
難しいことではない
人間の心の隙間から
事故は起きる
生命を預かっていることを
人間に携わっている仕事の人たちは
忘れてはならない
               

244;片道切符

2017-07-15 04:28:44 | 老い楽の詩
片道切符

人生は片道切符
在来線で行くか
新幹線で行くか
終着駅は同じ


齢を重ねるほど
時間の流れを早く感じてしまうだけに
老いを過ごし往く時は
鈍行列車の窓から
各駅の風景を楽しむとしようか
あせらずとも
行き先は決まっている