老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

612;魔法の鏡

2017-12-30 21:17:54 | 老いの光影
魔法の鏡 

鏡は偽らず真実を映し出す
鏡はありのままに映し出す
鏡に映るもう一人の自分に
言葉をかけてみた
「お前は誰だ・・・・」
そう尋ねるも
〔・・・・・・・・・・・・・・〕








611;ナマケモノ

2017-12-28 04:08:47 | 老いびとの聲
ナマケモノ 

またまたblogが途切れ
怠け病が再発
怠け者
ナマケモノという生き物がいて
顔を見たら憎めない顔をしていた
樹上生活者で
用を足すときだけ地上に降りる
ゆっくりとした生態であり
本当に怠け者のように映る
私の方が
それ以上にナマケモノなのかもしれない

大寒波で
もれなく南陸奥も
白銀の世界
真っ白な風景は
気持ちがいい
この世の醜いものを
全て覆い隠してしまう
誰も歩いていない路を
愛犬beagle・genkiと歩く
振り返ると
ふたつの足跡は
並行していたり
交差していたりする

この間私のなかで大きな変化があった
いま一人ケアマネジャーで活動しているが
来年の4月1日から
一人ケアマネジャーが集まり
3人体制で共同で居宅介護支援事業所を立ち上げていくことになった
年老い一人で介護相談をしていくのは
この先不安である
病気や骨折などのケガに遭遇したとき
利用者やその家族に不安や迷惑をかけてしまう
チームをつくり、同じ気持ちで、同じ目的で
介護相談をしていくことにした

610;ここに居ると死んじゃう~

2017-12-23 15:20:35 | 春夏秋冬
夜間病棟

ここに居ると死んじゃう~ 

今週
たった2回目の投稿
言い訳?
pcに向き合うことが
できなかった 
否 
しなかった

寝たきりから歩けるまでに回復した婆さんが
胸の苦しみを訴え
救急車で病院へ搬送された
急性心不全の診断で入院となった
夜間せん妄あり
昼間は大声を出す
ナースステーションに
抑制されたまま置かれ
隣りの爺様から
「ここに居ると俺、死んじゃう~!」と声をかけられ
婆様も大きな声で応え
「殺される~、家に帰してくれ~」と叫んでいた
俗に言う〔問題患者〕は
ナースステーションに置かれ
車いすに坐ったまま時間を潰してゆく

「治療って、こんなにも大変なのか」



609;救急車搬送入院

2017-12-19 04:20:41 | 老いの光影
救急車搬送入院 

朝 スマホが鳴った
手に取り耳に当てると
堀川清子さんの長男の声
「母親が胸が苦しいというので、受診したいのでデイサービスお休みします」
〔わかりました。お大事に〕

気になり、桜デイサービスに行く前に
清子さん宅を訪れ、様子を伺う
彼女は下半身何も纏わずトイレから出てきた
棟が苦しく、昨夜は横になった
右を向いても左を向いても上を向いても
胸の苦しみはいっこうに納まらず眠れなかった。
Spo2を図ると90を切り84の数値
かかりつけ医に電話を入れ、
〔いまから先生のところ(医院)へ救急車を呼び搬送してもよろしいでしょうか〕
阿武隈総合病院へ搬送させて法がいいでしょう。私の方から受け入れできるよう連絡を入れておきます、と指示を受け
長男に救急車の要請をお願いする

救急隊員が駆け付け3リトッルの酸素吸入を行い、阿武隈総合病院救急外来搬送。
診断の結果「急性心不全」、2週間の治療を要するということで入院となった。

折角寝たきりから歩行ができるようになった清子さん
また再入院により、下肢筋力の低下と認知症の進行が心配
振り出しに戻る
今度は歩けるようになるかどうか不安
早く良くなることを祈るしかない
いまは

608;ムンクの叫び

2017-12-16 05:07:34 | 老いびとの聲
鏡に映った顔 

見てはいけないものを見てしまった
鏡に映った顔を見て
本当にこれが自分の顏かと唖然とした
ムンクの叫びが頭の中を過ぎる
お前は誰か
自分でないような顔
誤魔化すことなくありのままに映った顔
目のまわりは浮腫のようなたるみと皴
それは
誰の顏でもない
それは自分の顏だった

607;一言

2017-12-14 06:19:46 | 老いの光影
一言  

義父・義母の介護は、
長男嫁が行うの当然だ、
という声は
耳にすることは少なくなってきた。
でも潜在的にはまだ根強く
介護相談をしていて
介護者は
長男嫁と老妻が多い。

血が繋がっている長男は
介護の様子を見に来ないどころか
妻にさえも声をかけない。

いつかは亡くなるが
長い介護の末
あの世に逝かれたとき
夫(長男)が
妻に
「長い間本当にありがとう。お疲れ様」の
言葉があるだけで
妻はいままでの労苦や葛藤など
さまざまな思いが
その一言で
氷塊が融け涙が滲む。

605;いい湯加減

2017-12-13 04:27:13 | 老い楽の詩

スヌーピーミュージアムにて


いい湯加減

お風呂のお湯の熱さは
人それぞれ
いい湯加減は
人それぞれの
いい加減も違うからであろう
疲れたときは
いい加減さが必要なのかも
介護も
手抜きのいい加減さがあってもいいのかも

604;なんだか気持ちが暗くなる?

2017-12-12 15:42:57 | 老いの光影
なんだか気持ちが暗くなる? 

にんげん生きていて
自分には生きている価値があるだろうか。
このまま生きていても意味がない。
いまさら路を引き返すこともできない。
寒い日には左の膝関節は疼き歩くこともままならぬ。

それから拾年が経ち
独り身となった私。
老い往き病を患い
床に臥す日が続き
尿便で滲みついたおむつ。
自分で取りかえることもできず
為すがままに他人に身を委ねるだけ。
こんな辛い思いをしてまで
にんげん生き恥を晒しながら
生きなければならないのか・・・・
生きていく意味もなく
この先 生きたところでしょうがない。
死ぬしかない、と思うこともあるが
死ぬ「勇気」もなく
死ぬこともできず悶々としている。

南窓の居間なのに
陽は差し込まず
老臭と尿臭が混じった酸っぱい臭いが漂う。
毎日ヘルパーが朝夕60分ほど
食事つくりとおむつを取り換えに訪れる。
そのときだけ部屋のなかは明るくなり
にんげんの声が聞こえてくる。






602;大漁

2017-12-12 04:24:57 | 老いの光影
南陸奥 冬の朝焼け

金子みすゞ 「 大漁(たいりょう)」

朝やけ小やけだ
大漁だ
大ばいわしの
大漁だ。

浜はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万の
いわしのとむらい
するだろう。


金子みすゞに出会った最初の詩は「大漁」だった
衝撃を受けた
人間たちが
浜で大漁と喜んでいる蔭で
海のなかでは
鰯は数多の仲間の死を悲しみ弔いが為されている

漁師は魚を獲ることで生計を為しているけれど
私たち人間は
鰯の悲しみに思いやり
鰯の生命(いのち)を食べることで
生命が支えられている
そのことに感謝しながら
食を頂く
鰯の悲しみと同時に
漁師の労苦があって
食することができることも
忘れてはならない
喜びの蔭に悲しみがある



601;12色のクレヨン

2017-12-11 02:44:51 | 老いびとの聲
スヌーピーミュージアム見学/beagleをモデルにしたのがsnoopy 

12色のクレヨン

小学生のとき
12色のクレヨンを
手にしただけで幸せを感じた
白色
黄色
黒色
どの色も有色
白色は無色ではない
どの色も同じく
有色
だから12色なのだ
白色 対 有色
とする意味が
わからない
白色は
他の有色とは違うから
何をしても許されるのか
黒人差別しても当然のことなのか
黄色だから
ヒロシマ・ナガサキに
原爆投下しても
許されるのか
白色は
特別な色ではなく
12色はどれも有色であり
12色のクレヨンとして
存在している
どの色も
クレヨンで在ることに変わりはない

600;上手な介護サービスの活用処方 第51話「認定調査の項目」 〔48〕 「話がまとまらない」

2017-12-10 10:56:26 | 上手な介護サービスの活用処方
上手な介護サービスの活用処方 第51話「認定調査の項目」 〔48 
         4-15 話がまとまらない(有無)

 ここでいう「話がまとまらず、会話にならない」行動とは、話の内容に一貫性がない、話題を次々
と変える、質問に対しては全く無関係な話しが続く等、会話が成立しない行動のことである。


1.ない
2.ときどきある
3.ある

 いわゆる、もともとの性格や生活習慣等の理由から、会話が得意でない(話下手)等のことではなく、
明らかに周囲の状況に合致しない行動のことである。


認知症の症状が進むと、相手が話されている言葉そのものの意味がわからず会話が成立しなかったりする。
認知症高齢者にも取り繕いがあり、一見会話ができているように見えている場合もあるが、実際は話の内容について理解していない。

認定調査とは別に、日常生活において
認知症老人の話が間違っていたり、まとまっていなかったとしても、
それを訂正したり「間違いだよ」と言ってしまうと
その人とは話をしなくなってしまう。

認知症老人同士が会話している脇で聞いていると
お互いに話が噛み合っていなくても
相手の話を否定せずに聴いているから、
ふたりの会話は続いている。
認知症老人から「聴く」ことの大切さを学んだ

599;介護に休みはない

2017-12-10 07:30:09 | 老いびとの聲
南陸奥からの朝焼け

介護に休みはない


私は何故か
いま週6日稼働
週5日はケアマネジャー
週1日はデイサービスの生活相談員
〔人不足のため生活相談員を兼務している〕
本当は定年になったら
のんびりと暮らそうと思ったのだが
年金受給額の受け取り案内が届き
その額の少なさに驚愕した。
予想の半分にもなく、
その上預金も底をついていた。
あるのは妻とbeagle・genkiと100㎡の小さな平屋。
臓器移植術後も問題なく安定し
介護相談を始めた(居宅介護支援事業所を立ち上げた)。

前述したように私には週1日の休みがある。
浅山薄次郎さん(72歳)は5年前脳梗塞で倒れ
高次機能障害となり要介護4の認定を受け
いま週3回デイサービスと福祉用具貸与の介護サービスを利用されている。
妻は、厚子さん(70歳)は献身的なほど夫の介護を続けている。
在宅訪問をするたび「疲れていませんか」と気にかけている。
厚子さんは、夫の介護を始めてから
「夜は夫の(介護用)ベッドの脇で、着のみ着ままで寝ている。
お風呂は烏の行水でゆっくり入ったことがない」。
夫の傍から離れるときは、「台所へ行っているからね」「チョッと風呂に入っているからね」と
言葉をかけないと不安になり、歩きだしてしまう。
ただ歩くだけならいいのだが、足元はふらつき転倒の心配と
感情が不安定になり興奮してしまい何が何だかわからなくなってしまう。
デイサービスで(夫が)居ないときは、
買い物にもでかけず(車の免許はない)、横になり休んでいる。

近くに住む長女が週1回訪れ、一緒に出かけ息抜きの食事や買い物をしてくるだけ。
大きな脳梗塞をは発病する前、薄次郎さんは市会議員をしていたこともあり
つきあいは広く、本人曰く「夜の仕事に忙しく飲み歩いていた」。
昼夜夫は家に居なくいつも妻は「留守番役」にあった。
病気になり始めて夫が私の傍にいつも居るようになり、いまは幸せです
、と厚子さんは話してくれたことがあった。
彼女にいま何がしたいですか、と尋ねたら
「ゆっくりお風呂に入りゆっくり寝たい」と
笑ながら答える。

本当は月に数回ショートを利用できればいいのだが
この先も難しい。
妻が居ないとパニック的状態になり、妻に対し大きな声を出した殴りかかろうとする。
過去にも妻の顔が黒ずんでいたこともあった。
ショートを使うことで、夫との間において信頼関係が崩れてしまうことを危惧している。
休みのない介護が続いている・・・・。

在宅訪問やデイサービスで
薄次郎さんに会うと
どちらかともなく
お互いに右手を挙げ「おっ!」と声をかけあい、挨拶を交わす。
その仕草はかつて元気だったころを想い出す、と
横で妻は話してくれた。



598;取り繕い

2017-12-09 15:41:19 | 老い楽の詩
朝焼けの東空


堀川清子さん(90歳)の取り繕い 

迎えに行ったときのこと

〔あら~ 今日はどうしたの? 洋服の上に下着を着て・・・〕
「急いでいたから上に着て来ちゃった~」

〔あら! ボケたかと思った〕
「ボケてきたわたし?」

〔大丈夫よ まだ小ボケだから・・・・〕
「よかったそんなにボケていなくて」


脱衣室で衣服を脱いだときのこと

〔今日どうしたの? 紙パンツ2枚も穿いて~〕
「今日寒かったから重ねて穿いて来ちゃった」
〔・・・・・・・〕