老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

1151;猫に小判、豚に真珠、「牛」も真珠

2019-06-11 04:00:26 | 老いの光影 第5章
犬に懸け鯛  無知だった自分、6月1日に鯛を食べると疫病にかからない

猫に小判、豚に真珠、「牛」も真珠

猫に小判、豚に真珠、「牛」にも真珠
何か猫や豚に失礼極まりない諺
牛はおまけとして付け足した

価値の分からない人に貴重なものを与えても何の役にも立たないことの喩えとして使われる
それは介護制度や福祉制度があっても、
必要とする人に説明し制度を利用してもらわなければ
何の役にも立たない。

浅学非才(せんがくひさい)な自分が
何故、そんなことを感じたのか。

自分が担当している爺さんのなかに
血液透析をしている85才の雪割爺さんがいる(糖尿病からきた血液透析)。
週3回の血液透析は死ぬまで続けなければならない。

1日に飲む水の量は500~600ccなのだが
なかなかそれを守るのは難儀なことで
爺さまは「水を自由に飲めないのだら死んだ方がいい」
「もうこの齢だから、我慢せずに水を飲みたい」、と。

雪割爺さんは、戦後東北線の駅から20数㎞先の未開の土地を開拓し、酪農を営んできた。
(NHKテレビ小説 なつぞら と同じ風景)
雪割爺さんの娘夫婦が継ぎ、いま60頭の乳牛を飼っている。

牛が棲む家から透析を行う病院までは20数㎞の距離があり
帰りは、介護タクシー(介護サービスの1つ;通院等乗降介助)を利用するも
ガソリン代(交通費)は自己負担となり、月の負担額は22,000円もかかってしまう。

血液透析患者になると身体障害者1級(自分も同じ仲間)所持者となり、
いろいろな福祉制度が利用できる
いろいろあるといってもそこには所得制限などがあり、すべて利用できるわけではない。
日本の福祉サービスや介護サービスは、該当になっても申請しなければ(申請主義)、サービスを利用することはできない。
介護サービスは、地域包括支援センターやケアマネジャーがいるので、介護サービスの利用はしやすくなったことは確か。

問題は福祉サービスである。
透析を宣告されると、入院しシャント手術を行う。
現在は大概の病院には医療相談員(メデカル ソーシャル ワーカー MSW)が配置され、地域医療連携室あるいは医療相談室の看板が掲げられている。
医療相談員は、医療や福祉、その市町村の独自のサービスも熟知されている。
経済的な支援だけでなく精神的な相談も乗ってくれる。

話しは元に戻り、
雪割爺さん本人や娘夫婦は、重度心身障がい者医療受給者証の交付を受けても、
診察、治療代や薬代の医療費(領収書)を上記の申請書に医療費の領収書を添付し役場福祉課の窓口にだせば
そのお金が還付(払戻し)されることを知らなかった。
重度心身障がい者医療受給者証についての詳しい説明を受けていなかった。

なぜ説明しなかったのか、と窓口に尋ねると
「本人や家族が何の質問もなかったので、わかっていると思ったから・・・」とか
「こちらからわかりますか、と尋ねたら失礼だから。家族から質問や説明を求められれば説明しました」
と、いったような言葉が返って来る。

言葉のかけ方だと思う。
重度心身障がい者医療受給者証の交付を受ける
それは未知の体験であり、
当の本人や家族は、これから透析を受けなければならない心配や不安が支配し
重度心身障がい者医療受給者証の中味まで頭が回らない。

1年間、使える制度をそのままにしてきた

もうひとつ
雪割爺さんの村では、透析のときにかかった交通費(ガソリンに相当する費用)は
5000円を超えた場合に限り、月に3万円まで補助がある。
前任のケアマネジャーもそのことを説明していなかった
そのサービスを利用されているかどうか、娘夫婦は知らなかった。
自分が手続きをすれば簡単に済むのだが、
娘の夫に役場に行っていただき、手続きをお願いした。
月額22,000円の交通費の負担が零になる。

国民年金なので、介護保険サービスと交通費で年金額消えてしまう
爺さんが使えるこづかいは「ない」。
年間にして264,000円にもなる。

重度心身障がい者医療受給者証の交付されても
まさに猫に小判 豚に真珠 牛も真珠

猫だけでなく犬に小判という諺もある
意味は同じ

公僕は誰のために存在する
公僕は制度は知っているからこそ
住民のために制度を知らしめることが大切
変な個人尊重を盾にするような言い訳はして欲しくない
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1144;家に帰りたい

2019-06-06 05:20:26 | 老いの光影 第5章
家に帰りたい

 昨日の夕方は
東で39.3℃の高熱のため救急搬送します
西からは、急に「今日退院しました」と
電話が入り東奔西走の病院訪問と在宅訪問。

南野爺さんは私より5才年上で71才
市営住宅3階に住む
糖尿病がありバルーンカテーテルにより排尿
水分不足がちで尿路感染の心配もあった

救急隊は3階から降ろし
南陸奥総合病院救急外来受診
自分も駆けつけた(何もできないのだが)
医師からは尿管に石が詰まり 尿が流れなくなり細菌が溜まり熱がでた
その他に肺炎もある、と説明を受け入院となった

同居している妻と長女に
明日14時病室に伺いますと、話をし


 同病院に入院している2人の婆さんの病室を訪れた。
今年で90才になる中田ミドリさん
脱水症で入院
4人病室、廊下側のベッドで療養されていた

息子との二人暮らし
息子が持ってきてくれた犬のぬいぐるみを抱え寝ていた
「家に帰りたい」とぽつりと話す
「家に帰ったら訪問するからね」と約束する

床頭台の上にはデジタル時計が置いてあった。
病人にとり時計の存在はもの凄く大きい。
時計がない、と今何時だかわからず
不安な時空間に放置された心境になってしまう。


救急口から病院を出て
西に向かった。


 西は外れに棲む 末期癌の白坂婆さん(85才)は
上の虫歯から顔全体に菌が回り腫れあがり2週間ほど入院していた。
訪問看護師とデイサービスの管理者にも電話を入れ
一緒に在宅訪問した。

認知症バリバリの婆さんで
どうして認知症が進んだのかは後日記すとして
残りの命は後3ヵ月と宣告されている。

明後日からの介護サービスの利用を調整。


家に着いたのは19時過ぎ
beagle元気君は一人留守番
夕方雷が鳴り トレーに大失禁
雷が恐い
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1138;生まれるとき死するとき

2019-06-02 15:12:57 | 老いの光影 第5章
生まれるとき死するとき

オギャ~と生まれるときは
ひとりではなく
とりあげてくれるひとがいる

死するときは
誰にも見送られることもなく
ひっそりと息を引く場合もある

にんげんはどこから来て
どこへ行くのか

母の胎内から産まれ
母の胎内へ帰り宿る
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1134;水

2019-05-31 15:28:52 | 老いの光影 第5章
大海 1滴から始まる
 

動物も植物も
乾くと水を欲する

水が不足し続けると枯れてしまう

自分も過去に18ヶ月ほど血液透析をしていた。
現在 2人の要介護老人(いずれも男性)は血液透析を行っていて
在宅訪問をしている。

2人の爺さんは85才になってからの血液透析(週3回)は、本当に大変である。

大変なことのなかで、容易に守れないのが “水”の飲み過ぎ。
1日の飲む水の量は、500cc~600ccで、わずかコップ3杯。

水を過剰に摂り過ぎると、透析中や透析後に低血圧になったり、躰の怠さが抜けきれない。
上記のようなことを体験しても、飲水を制限するという意識にはなりにくい。

自分の場合、透析を始めて1年も経過していないのに、オシッコが出なくなった。
不用となり、トイレに行く必要がなくなった。
夜間頻回にトイレに行く人にとっては羨ましく見えてしまうけれど、
“出る”ものが、“出ない”ことも、また精神的な苦痛さを覚える。

水分を摂れば、排尿がある。
其れは、人間だけでなく他の動物においても同じく
生理的現象であり自然の摂理である。


いまの時代はストレス社会にあり
ストレスは躰だけでなく精神にも支障をきたす。

自分はいま、浮腫に悩み
まだ目のした(クマ)や右足の膝下から指先まで“水”があり
なかなか浮腫が抜けきれずにいる

これも“水難”の症状にある。

これから暑くなる
水やお茶など飲んでね、と言葉をかけるのだが

血液透析の人ニトリ辛い夏が来る
氷の塊をを1つ口に含み 噛まずに舐めるだけでも違う
生きた心地がする





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1129;老いても認知症になっても、親は子を心配する

2019-05-28 16:21:38 | 老いの光影 第5章
老いても認知症になっても、親は子を心配する

子は親に従い
老親は子に従う

そうは言っても
老いた親は
どこまで行っても
親は親であり
子を想う気持ちは変わらない

老いても
認知症になっても
他人様の世話を受けても
老いた親は
定年間際の子を心配する

お腹を空かして
学校から帰って来る、と
深夜に米をとぎ炊飯する老母




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1122;365日乳搾り

2019-05-24 20:55:58 | 老いの光影 第5章
山奥で酪農、緑に囲まれ、心癒される風景
365日乳搾り

AKB48が歌っている
365日の紙飛行機”は
何度聴いてもいい。

いま在宅訪問している一軒の家がある
幸野古夫さん(85才)は、
戦後、東北に移住し開拓酪農に取り組んできた
乳牛を育て
いまは娘夫婦が後を継いでいる

いまNHKテレビ小説『なつぞら』が放映されている

乳牛の飼育は大変
365日牛の世話をしなければならない
家を空けることはできない
泊の旅行なんぞは到底望むことはできない
10時から16時までの間は、外出ができるが
それでも牛のことが気になる、という

古夫さんは、糖尿病と人工透析を患い、要介護3の認定を受け、妻と娘夫婦と暮らしている
彼のことについては後日紹介していきたい
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1117;「抑制」された老母の姿は見たくはない

2019-05-21 03:52:53 | 老いの光影 第5章
「抑制」された老母の姿は見たくはない

齢(とし、よわい)を重ね
いつの間にか91才となった平下婆さん

春を迎えた頃から
食が進まず、水も飲まなくなったことから
脱水症となり病院入院となった。

70才近い長男と60才半ばの次男との3人暮らし
長男は“ぎりぎりまで入院はさせたくない”
“(認知症のため)抑制になり、抑制された老母の姿は可哀想で見たくはない”
と、話される。

“段々食べなくなり、オシッコもでなくる。
老衰というか、穏やかに自然な死を望まれるのか、
そして何処で死を迎えるか・・・・”

在宅訪問の折に長男に尋ねたこともあった。

兄弟だけで老母の最期を看取る自信はなく
“最期は救急車を呼び、入院をさせたい。
人工呼吸器による延命は望まないが、
胃瘻(いろう)はお願いしたい。
弟は少しでも母親に長生きをしてもらいたい”と。
鼻に管を入れるのは痛々しいから、それは望まない

先週の金曜日、病室を訪れたら
平下婆さんはベッドに寝ていた。
毛布の上がかけられていても、
彼女の躰は丸くなって寝ていることがわかった。

両手は毛布に隠れていて、毛布をめくってみた。
両手にしっかりと「グローブ」のようなミトン手袋をはいていた。
(北海道では手袋を「はく」と表現する。靴下も同じく「はく」)

点滴の針を射そうとすると
平下婆さんは、看護師に噛みついたり針を抜いたりなど抵抗が凄まじい。

長男にとり嫌な抑制は、承諾書署名(同意)を求められ、抑制となってしまう。
点滴のときだけ抑制されるのなら理解できるのだが・・・・、退院まで抑制されてしまう


自分の家族が、自分の老親が
ベッドで手足を縛られたらどう感じるのであろうか
確かに点滴の針を抜いたりして大変な状況になる、抑制はやむを得ない、と理解できるのだが・・・・
脱水症が完治し退院したときには
体力や筋力は落ち、心まで萎えてしまっている。

最期をどう迎えさせて逝くのか
老親の気持ちを聴くことはできなくなったけど
老親の気持ちを推し量り、どうしたいのか
息子二人の気持ちは、微妙に違い揺れ動いている

私もどう言葉をかけてゆくか 悩んでいる・・・・







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1111 ; 奇想天外

2019-05-17 02:51:07 | 老いの光影 第5章
奇想天外
1111 ゾロ目のブログ回数


さくらさくらデイサービスに通う老人の中に
思いもつかない行動をとり、言葉を失うこともある。

5月で93才になった嶋倉千代子さんは、70才の長男と二人暮らし
先日デイサービスで、トイレで衣服を脱ぎ全裸になっていた
トイレを浴室と勘違いしたのであろうか


千代子さん、トイレから出てきた彼女の右の掌に
黄土色の丸い餡子玉のようなものが乗っていた。
彼女の唇は“餡子”が着いていた。


5月で89才になった久佐木敏子さんは、長男夫婦家族と暮らし6人家族
糞尿で汚れた洋服とズボンを旧式の石油ストーブの上に乗せていた
火が点いている石油ストーブの上に衣服を置いたら火事になり家が燃えてしまうよ
“(衣服が)濡れているから大丈夫だ、と思った”と敏子さんは答えた

元小学校教員だった彼女、乾いた衣服、ズボンは、所々茶黒く焦げ穴があき、それを着ていた
もの凄い糞尿が鼻につき大変だった


89才の小林軽樹さん 
いつも糞尿をした後、尻を拭かずにトイレから出てくる
軟便の彼、肛門に便付着したまま椅子に坐り気持ち悪くないのであろうか


《おまけ》
卵かけご飯にしようと
卵を割ったら
ヒヨコが出てきた
そんなことありえない
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1109;生き地獄

2019-05-15 12:13:58 | 老いの光影 第5章
季節外れの風景

生き地獄

生き地獄とは どんな世界なのか
生き地獄を味わった人でないとわからない

私が担当している婆さんではないが
さくらさくらデイサービスセンターに昨日から通い始めてきた
95才の婆さんの独り言を聴いてしまった。

「(いまのわたしは)生き地獄だ」
95才
覚束なくなった足になり 便所に間に合わず
粗相をしてしまった。
嫁から「臭い」と言われ
ブロックで積まれた8畳一間の小屋に棲まされた。

冬は寒く夏は暑く 人様が棲めるような処ではない
便所は母屋にしかなく
(ブッロク小屋に便所はない)
95才の婆が使うと 便所は汚れ臭くなるから
嫁は「トイレには行かずに紙パンツのなかにしなさい」と。

お尻は爛れ 痛々しい
これから暑くなってくるので褥瘡(床ずれ)が心配

便所に行くこともないから
足の筋肉は衰え 心まで萎えてきた

昼夜ベッド上の暮らし
部屋の片隅には小さな液晶テレビが申し訳なそうにあるだけ

さくらさくらデイサービスに来てわかったこと
まだ両肘、両膝の関節に拘縮はなく
手を尽くせば 立ち上がりや立つ
うまくいけばつかまり歩きもできる
可能性を秘めているのだが

歩かなくなったために
股関節が錆びれ 動かすと痛く
痛いが故にジッと動かさずにいる

歌を忘れたカナリヤではないが
歩くことを忘れてしまった95才の婆さん

一番心を痛めるのは 排せつ
ポータブルトイレを置くことも
きっとままならぬであろう

ポータブルトイレのバケツに溜まった糞尿は
誰が捨てるのか
嫁が捨てることは考えられぬ

捨てらずに溜まった糞尿がベッド脇に置かれると
それこそ臭くなりポータブルトイレもままならぬ

なんのために生まれて来たのだろう?
長生き過ぎてしまった
この世は生き地獄

これから、どうするか
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1107;上を向いて生きる

2019-05-14 07:58:37 | 老いの光影 第5章
上を向いて生きる

「下を向いている人(老人)が多い」と或るお婆ちゃん(89歳)が呟い(つぶや)た。
その言葉を耳にしたとき、胸の疼き(うず)を感じた。

下を向いているときの人間の心境は、
怒られているとき、失敗したとき、哀しいとき、不安なとき、絶望のときなどであり、
気持ちは決して明るいとは言えない。

元気で明るく、希望や夢に向かっているときは「
上を向いている」歩いているのかもしれない。

誰かの「お世話」になりながら生きていることの申し訳なさが、
知らず知らずのうちに「下を向いてしまう」老人の気持ちを受け留め(「止め」ではなく)、
一緒に「上を向いていける」ような関係をつくっていかねばと思う・・・
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1105;好かれる爺さん、嫌われる爺さん

2019-05-13 07:49:28 | 老いの光影 第5章
好かれる爺さん、嫌われる爺さん

さくらさくらデイサービスをご利用される爺さんを見ていると

婆さんから嫌われる爺さん、好かれる爺さんがある

嫌われる爺さんは
大声を出したり、怒ったりする、優しくない
気配りがない
助平ですぐ女性介護員や婆さんを手で触りまくる
トイレに行き排便をしても拭かずにでてくる
婆さんが寄っていかない

好かれる爺さん
そう話をしなくても
気がつき、優しさがある
お洒落である
笑いがある
助平な話はするが、体を触ったりしない
婆さんが寄っていく
好かれる爺さんは早死の傾向にある
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1096;なんか変だな・・・・

2019-05-08 05:08:20 | 老いの光影 第5章
なんか変だな・・・・ 

85才になる良婆さんが肺炎で入院した。
2週間余りの治療で、無事明日退院となる。

退院間際の良婆さんの状態把握目的で、昨日病室を訪れた。

数分前の出来事や会話を忘れ去り、同じ話を繰り返す彼女。
下肢の筋力は衰え、
つかまり歩きか両手をつかみながらの手引き歩行は、
かろうじて維持できていて、
トイレまで用足しができることに、ホッとした。

食事は、「全粥」「キザミ食」で、自力摂取できる。
入院時の様子を説明して頂いた看護師に尋ねた。
「全粥になったのは、飲み込みが悪いのですか」
 「病院では高齢者の患者は全粥、キザミ食で対応しています」
「軟飯とか、おかずも固いものでなければ普通食にしても大丈夫ですよね」
 「様子を見ながら変えていけば大丈夫だと思います・・・・・」

どうして“高齢者だから全粥、キザミになる”のだろうか。
自分はいつも理解に苦しんでいる。
ご飯もおかずも普通食を摂れるのに
高齢だからという理由で、どうしてそうなるのか。

全粥にすると噛まなくても、するっと飲み込みができ、食事時間も短縮できる。
高齢者はご飯を食べる時間がかかり、下膳が遅くなる。

普通に食べれる老人が、全粥にすることで
噛む力、飲み込み力、顎の筋力などが低下していく。
病院は医療専門職の集まっているところである。

言語療法士もおり看護師もいる
人間は口から食べることで元気になる。
食べれる力があるのであれば、全粥ではなく普通食であるはずなのに・・・・・

それなのにどうして?
嚥下に支障があり誤嚥性肺炎の危惧があるのなら理解できるのだが・・・・・

“肺炎は治りました”けど
食事摂取は、入院時前のレベルよりは低下し、全粥、キザミ食になりました。

良婆さんに限らず、確かに多床室の他の老人も“全粥”
これってなんか変だな、と思うのは、自分だけなのか。

退院間際まで、全粥、キザミだったので
家族は家に帰っても同じく全粥になってしまう。

咀嚼力や飲み込みに問題なければ
家族やデイサービスのスタッフには
軟飯にし様子を見ながら普通食に替えていきましょう、と声をかけている。

二日酔いの朝食、ときにはお粥も美味しく感じることもある。





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1091;ある日突然・・・・(2)

2019-05-04 07:31:44 | 老いの光影 第5章
菜の花が咲き乱れる畦路

ある日突然・・・・(2) 脳梗塞に遭遇

平成31年1月7日
遠藤春男(69才)は、左頬が引きつり、呂律が回らなくなってきた。
違和感を覚えたものの、一人暮らしのため「いつもと様子が違うよ」と
言葉をかけてくれる人がいなかった。

春男は6人兄弟姉;女、男(病死)、男、女、女、男(本人)
実家は2㎞先の農村集落で長男の子ども(甥)から電話がかかってきたのは
1月9日。
電話に出る春男の話し方がおかしく、気になった甥っ子が、春男の家に向かった。

甥は急いで向かった。 呂律が回っておらず、急いで救急車を呼び
南陸奥総合病院救急外来に搬送された。
左頬が痛いということで、救急外来から耳鼻科に回された。
耳鼻科医は、「これは脳外科で診てもらってくれ」ということで、
脳外科受診、脳梗塞と診断され入院となった。

入院の翌日、彼は左半身不全麻痺と失語症の状態になり、呆然となってしまった。

いままで病気らしい病気はなく、定年後の生活も平穏に生きてきた。
思いもしなかった病魔 脳梗塞が彼を襲った。

敬称略

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1089;ある日突然・・・・(1)

2019-05-03 09:19:06 | 老いの光影 第5章
5月3日は憲法記念日。僕は、憲法のことよりも“おやつ”が気になる。


ある日突然・・・・

自分の身に 突然不幸が訪れるとは思ってはいない。
交通事故死、末期癌、脳卒中 等々

脳卒中は、脳の血管がトラブルを起こす病気。
漢字というのは、上手く本質を表現している。

漢字からみた脳卒中とは、
「卒」は、突然という意味があり、「中」は、真中を貫く“Ⅰ”は、当たりを意味する。
故に 脳卒中は、脳の病気が突然、当たる。ということになる。

脳の血管が、「破れるか」「詰まる」かである。
血管が「破れる」のは、脳出血とくも膜下出血。
血管が「詰まる」のは、「脳梗塞」。

いま、脳卒中は早期発見、早期治療とリハビリが鍵となる。
1分1秒を争う。早く脳外科の診察を受け、治療とリハビリを実施することで、
麻痺などの障害を最小限かに抑えたり、後遺症が出ずに退院できることもある。

連れ合いがいる高齢者夫婦世帯や子ども夫婦と同居している場合は、
呂律が回らない、頬が引きつる、食事中に箸を落す、足の運びが悪いなどの症状に気がつく。
どこかおかしい、ということで急ぎ脳外科に受診する。

これがひとり暮らしの場合は、そうはいかない。

自分が住む隣りの家は、ひとり暮らしの男性(69才)が暮らしていた。
今年の1月9日、救急車で南陸奥総合病院に搬送された。
脳卒中で入院したことは、1箇月後に知ったのであった。






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