老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

874:老人と子ども(6) ご飯をこぼす

2018-08-09 04:14:19 | 老人と子ども
西瓜が大好物のbeagle元気

ご飯をこぼす

〔食事時の風景〕

物忘れが進んだ老人がご飯をこぼす。

就学前の子どもがご飯をこぼす。


老人と子ども。
ご飯をこぼす、という行為が同じであっても、
周囲の反応は違う。

「爺ちゃん、床にご飯が一杯落ちていますよ。体がテーブルから離れ過ぎ」「味噌汁をこぼすよ」などと
傍らにいる老いた妻は愚痴を{こぼす}。

「爺ちゃん、涎(よだれ)を{こぼし}て、洋服が濡れる前に目の前にあるテッシュで拭いて」。

それに比して
幼子がご飯をこぼしても、頬っぺたにご飯粒がついた顔を見て
家族は思わず笑みを{こぼし}てしまう。


871;老人と子ども(5) 待つ

2018-08-08 04:13:02 | 老人と子ども
91才になっても自分で靴を履く 高齢になると立って靴を履くのは大変 玄関にベンチがあると楽に靴が履ける

老人と子ども(5) 待つ

相手の動作を「待つ」、それは忍耐がいる。

保育園(幼稚園)の送迎バスが迎えに来る。
自分で靴を履こうとしているのに
母親は「何グズグズしているの。バスが来るでしょう」と小言を言いながら
靴を履かせてしまう。
朝になると靴は母親に履かせてもらうものだと、
子どもは思い依存的になり履かせてもらう。
それは小学校に入っても、
ランドセルに用意をするのは母親。

デイサービスの送迎車が間もなく着く。
認知症になった老いた夫。
老いた妻は「何もできなくなった」と思い込み、
靴を履かせてしまう。
服を着ようとしても動作の遅さに待てず
つい手をかけてしまう。
そのうち老いた夫は依存的になり
手や足を出して、やってくれるの待つようになる。

子どもも老人も同じ
やってあげることは簡単。
相手が最後まで自分で行うよう
待つことの方が難しい。
「待つ」とは
相手との関係のなかで
「間」をとる、という意味でもある。

「間」をとる育児や介護が大切。
それには時間や心の余裕が求められてくる。

868;老人と子ども(3) 紙おむつ(紙パンツ) 

2018-08-07 03:59:32 | 老人と子ども
老人と子ども(3) 紙おむつ(紙パンツ)

赤ちゃんのときは
「チィ~」とオシッコを教えたり教えなかったりするため
可愛い紙パンツをはく。
成長するにつれ
子どもの場合は
おむつが外れるときが来る。
それは、母親の手間がかからなくなる。
おむつから解放されることを意味する。


寝たきり老人や認知症老人になり
要介護認定を受けた老人は、
紙パンツ(または紙おむつ)と尿とりパッドが必要となり、
毎日身につけるようになる。
老人の場合は、
段々齢を重ねていくほど
おむつ外しは難しくなる。
多量のオシッコや下痢や軟便から、
衣類(またはパジャマ)やシーツまで汚すなど
家族介護者の手間がかかり、
おむつの呪縛から逃れることができなくなる。
老人の場合、紙おむつは外れることは少なく、
介護から解放されることはない。

子どもは成長するにつれ、おむつは外れ
老人は死が近づくにつれ、おむつは必需品となる。


865;老人と子ども(2) 体が丸い

2018-08-06 04:00:45 | 老人と子ども
阿武隈川 白く点在して映る2羽の白鷺

老人と子ども(2) 体が丸い

母親の胎内にいる赤ちゃんは
羊水のなかで丸くなっている。
生命誕生の神秘的な空間にある。

畳一畳よりもやや広い介護ベッド空間に
寝たきり老人は臥床している。
老人病棟、介護施設でおむつ交換と食事以外は
忘れ去られ、他者とのかかわりが少ないと、
両手両足は拘縮し体は縮み丸くなる。

産まれる前の状態に戻り体は丸くなってしまった。
そうなると褥瘡が心配になる。

863;老人と子ども(1)

2018-08-05 03:09:28 | 老人と子ども
朝の散歩で遭遇した花 花の名前は在るのだろうが私は無知故知らない

老人と子ども(1)

『老人と子ども』
このタイトルで書く際の「子ども」とは
老人の子ども(実施)ではなく
老人に対する
世間一般的な子どものことであり
年齢は乳児から幼児までの年齢範囲を指す。

子は親に従い
老いた親は子に従う

そうは言っても
なかなか従わないのが人間

老人の人生は
引き算のようなもの。
人間は
いつ人生の幕が降りるのか
分らんが
つねに「後何年生きられる」と
計算してしまう。

子どもの人生
掛け算のようなもの。
夢や希望が膨らみ
未知数である。
無限の可能性を秘め
死とは無縁の存在。

他人の子どもであっても
無邪気な表情や仕草に
笑みがこぼれてしまう。