自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

キンカンを寝床にする昆虫(続)

2013-12-19 | 昆虫

昆虫はもういないかと思って,探してみるといました。

ツマグロキンバエ(オス)が葉の表側にじっとしています。複眼の縞模様が鮮やかです。お互いが識別し合うときに,役立つ紋様なのでしょうか。何度見ても,頭をすっぽり覆うばかりの眼の大きさには圧倒されます。 

 

別の葉に,,お馴染みのキゴシハナアブがいました。 気温が下がってはどうしようもないという感じ。指を触れても,ほとんど動きませんでした。

 

葉の先に,ハエの仲間がとまっていました。体形から見て,上がオスです。撮影していると,目障りに感じたのか,移動し始めました。そして,そのうちに合体しまままプイッと飛び上がりました。

 

観察しようとするなら,そのものをよくよく探してみるということがたいせつです。いないと思っていても,案外いるかもしれません。観察者の勝手な思い込みが災いして,見る機会を失うのは勿体ないことです。 

 


今,クロアゲハの幼虫

2013-12-19 | クロアゲハ

12月16日(月)。

我が家の車庫の前に,大きなスダチの木があります。そこを通りかかったとき,たまたま枝を見ると,目の高さぐらいのところにクロアゲハの幼虫が一つ,じっとしていました。アゲハの幼虫に続く目撃です。こんな寒い中で,よくいるものだなあと感じ入りました。

 

ところが,ふしぎなもので,「ほかにはもういないだろうな」と否定的な思いを持ちながらとりあえず探すと,なんと次々と見つかったのです。ほんの1分も経たないうちに! これで,クロアゲハの幼虫が一気に三匹見つかったことになります。つまむと,クロアゲハらしく赤紫色の臭角を出しました。

 

このままだったら,たぶん蛹化までには至らないだろうと思い,飼育箱で飼ってみることにしました。これは余計なお節介なのですが……。

今頃生きているということでふと思ったことがあります。たとえば,一頭の成虫が200個の卵を産むとします。このうち少なくとも何個分が無事に成虫にまで生育するかという話です。正解は2個なのですが,個体数を現状維持しようと思えば,それで足るのです。すべての生きものが個体数で現状維持すると考えれば,たった2個でも,それで十分な2個です。

それでは今の時期の幼虫は,このうちの2個に入るのかどうか。気になるところです。わたしは,たぶん入らないだろうと思います。今の時期自然界では厳しいなあ,と思うのです。

こんなことを考えていると,3億個の卵を産むマンボウの例が浮かびます。マンボウの卵はいったい何個が親になれるか,です。それも正解は2個! “3億分の2”は,「たったそれだけ!」なのではなく,「2個を残すための3億個」と考えれば納得できるでしょう。

マンボウの場合二匹が無事に成長するには,3億個もの数を必要としているのです。それだけ海洋の環境が厳しいことを物語っています。それに比べれば,アゲハで2個のための200個だなんて,地上はじつにやさしい環境だともいえます。卵の生存率を比べると,マンボウは0.000000666……%,アゲハは1%!

それぞれの生きものは子孫を残すことに全霊をかけているわけですし,個体数で現状が維持できている結果がまさに産卵数となって現れているのです。さらにいえば,産卵数が多い生きものはそれだけ弱い立場にあるのだし,少ない生きものは強者とみなすことができます。

というわけで,今の時期の幼虫が成虫になりうるのか,つまり2個のうちに入れるのかつきとめたいと思っています。しかし,室内の飼育では自然環境とかけ離れているので,参考資料を得られるのに過ぎませんが。