元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

自作小説「Highway Starが鳴り響くラーメン屋」・・・5話

2009年07月02日 | ≪創作活動≫★状況報告★
この物語はフィクションです。

主な登場人物・・・リッチー(何もかも失い絶望の淵にいる青年)

         ビッグ・ジム(元伝説のハードロックバンド
                「ラブ・ガン」リーダー、
                現「ラーメン天国への階段」店主)


ーーーーードーーン! ドーーン!
リッチーが寝ている2階に、けたたましい打撃音が響き渡った。
その、音に眠りをさえぎられた。

あー、昨夜のビッグ・ジムとの深酒が、まだ残っていて、気持ちが
悪い。
ーーーードーン!ドーン!
ーーー時計を見ると「6:30」---
確か、昨夜、4時近くまで、ビッグ・ジムと
BAR「16世紀のGreensleeves」で飲んでいた。

ドーーーン!ドーーーン!
こんな、早朝に何事か?と、瞼をこすりながら階段を下りた。

ドーーーン!ドーーーン!

そこには、汗だくに成りながら、作業をしている「ビッグ・ジム」
がいた。

「ビッグ・ジム」が、俺に気づき
「お?起きたか?お前はまだ寝てていいぞ。」と、ケロっとしていた。
あんなに深酒していて、殆ど寝ていなくて、もう厨房にいるタフさに
驚きながら
「それ、何やってんだ?」と、尋ねた。

ナタを振り上げ、何かを叩き割っている。
料理を作っているようには見えない。

「ビッグ・ジム」は、汗をぬぐい、缶コーヒーをごくりと飲むみ、
「あーコレか?骨割って言うんだ。豚骨の中のゲンコツって部位でな、
こうやって割ってやると、骨の髄が溶け込んで旨いスープに成るんだよ。」
と、優しい口調で答えた。

今日から俺も働く事に成っているので、仕込みを見てるだけでは退屈だから、
「俺も、何か出来る作業ないか?手伝うよ」と、ぶっきらぼうに言った。

「ビッグ・ジム」は、微笑み
「とりあえず、歯磨いたり、顔洗ったりしろ。割烹着は、俺のお古を、そこ
に置いているから、身支度整えてこい」と、割烹着を指差した。

俺は、無言で割烹着を受け取り、洗面台に行った。

一時はホームレスも覚悟していた俺が、一応、職場も住まいも確保でき、笑み
をこぼしながら、歯を磨き、割烹着に袖を通した。

ラーメン屋勤務1日目が、今から始まると思うと興奮してきた。

「お待たせ!じゃ、何をしましょうか?し・しょ・う」
と、おどけて言うと、

厳しい口調で「呼び方はビッグ・ジムで良い。まず、手を洗え」

「ほい、ほい」と、手をチャッチャと洗うと、
ビッグ・ジムが大声で「ふざけんな。なんだそりゃ。指先、爪、
手首までハンドソープで綺麗に洗え。食い物屋はな、お客さんの命
を預かる仕事なんだぞ。自覚もって働けよ!」と、怒鳴られた。

まさか、手洗いで、怒鳴られるとは思わなかったが、雇われ人で
ある以上、逆らわない方が賢明だ。

「ビッグ・ジム」も気分を一転し、業務報告的に
「まず、このバケツにボイルして血抜きした、鶏の胴ガラと、鶏の足
すなわちモミジが入っている。このモミジの爪切り、皮はぎと、
流水で胴ガラの内臓を取り出し、綺麗に洗え。ちょっと、やってみる
からよく見ておけ」と、手馴れた作業で、モミジの爪切り、皮はぎ、
胴ガラの内蔵出しをしてみせた。

コレなら、簡単だ。でも、地味だな・・・。俺も、ナタ振り上げ、
骨割りたいけど、初日から、ブツブツ言うのも何だし、とりあえず
は言われた通りにしよう・・・。

一定の作業をずーっとやりながら、飽き、飽きしてきた。
1時間ぐらい作業し、よし終わった・・・と、思ったら、ビッグ・ジム
が、茹で上がったばかりのモミジと、胴ガラを流し台で流水し、
「よし。そっちが終わったら、こっちもな・・・」と、言って、
ビッグ・ジムは自分の持ち場に帰った。

また、モミジと、胴ガラ・・・。ビッグ・ジムは、いつも、こんな地味な
作業をコツコツやっていたんだな・・・。と、ラーメン屋の裏舞台にを
垣間見た。

ようやく作業も一段落した頃、「ビッグ・ジム」が来て、
俺の処理済の、胴ガラやモミジを手にとり、
「何だ。何だ。この雑さは。リッチー、お前の人間的ないい加減さが、
こういった作業に出るんだよ。モミジの皮は残ってるし、モミジの指も
切ってるだろ?うちじゃ、爪のみ切るんだよ。胴ガラの内蔵も綺麗に
とれていない。やり直しだ・・・。」

俺も、さすがにキレた。
「あー!?最初から完璧に出来ないかもしれんが、そんな些細な事
どうだっていいだろ?ビッグ・ジムは因縁つけて、師匠面したいだけ
だろ?」

ビッグ・ジムは、怒りを通り越し、呆れ顔で、俺を見て
「この店は俺の人生そのものなんだよ。中途半端なラーメンは客に
だせねぇんだよ。リッチーの、そういった雑な作業が、味に反映するん
だよ。雑味を抑えるには、徹底した几帳面さと繊細さがいるんだ。
リッチーは、作業中、やらされていると思って淡々と作業しただけ
だろう?美味しくなれ、美味しくなってくれ・・・って、思いが
味に成るんだぜ。素材と、真心が奏でるハーモニーに、リッチーも
参加するなら、もっと、しっかりやれ。嫌々やるぐらいなら、うち
から去れ!!」

グウの音も出ない。確かに、俺は、退屈だ・・・と、思い、単純作業
と舐めていた。でも、ビッグ・ジムは、このガラ処理も、全身全霊を
込めているから、昨日、食った、あの感動的ラーメンを作れるのだろう。
自分が恥ずかしく成ったが、俺は上手く謝罪出来ない性質だから、
「わかったよ。もう1度ちゃんとガラ処理やるよ」と、言った。

「ビッグ・ジム」も「うん」と、頷き、それ以上は何も言わず、
大量の玉ねぎ、生姜、ニンニクとかを刻み始めた。

さっきのガラ処理とは違い、俺に何かが憑依したかのように、無我夢中
で胴ガラを磨きあげ、爪を丁寧に切り、皮が一切残らぬようはがした。

作業を終えた事を「ビッグ・ジム」に伝えると、無言で、俺の処理済
みガラをチェックした。

「ビッグ・ジム」も、ニコッと笑い「よし、明日からも、これぐらい
丁寧にやれ。ただ、この作業は40分以内にしろ。明日は、生のガラを
ボイルする所からやってみろ。ん?10:00か・・・。よし、朝飯
にするぞ。」

厨房脇の3畳ほどの小部屋で、納豆、ごはん、冷奴、味噌汁を、ビッグ・
ジムと食べた。ビッグ・ジムが、「昼は、調理は全て俺がする。リッチーは
注文とり、会計、運び、皿洗いをしろ。注文ミスや、会計ミスはするなよ。
朝飯終わったら、お前が処理したガラでスープとるぞ・・・。」と、
指示を出し、俺は頷くだけだった。調理はしないとは言え、ラーメン屋の
で働くなんて初めてだから緊張感が高まって、朝飯の味なんて分からな
かった。

朝飯を終え、再び厨房へ・・・。

ビッグ・ジムが、大きな寸胴鍋の蓋を開けると、ボコボコと、大量の濁った
湯が煮立っていた。
「さっき、俺が割っていた、ゲンコツや、胴ガラ、あばら、豚頭、豚足、
扇骨など豚骨を2時間強火で煮込んだ。ここに、リッチーがガラ処理した
鶏胴ガラと、モミジを入れる。そして、1時間強火だ。」

「へ~こうやって、ラーメンスープ出来るんですね。でも、開店時間まで
に完成しますか?」と、素朴な質問をした。

「ビッグ・ジム」は笑いながら
「これは、明日用のスープだよ。ラーメンスープは、朝から作って、昼には
出来ないよ」と、言いながら、俺が処理した、モミジと胴ガラがスープに
入った。

自分が携わった作業が、ラーメンの味に関わると思うと、ちょっと嬉しくなっ
た。

後、1時間で開店・・・果たしてどうなる事やら・・・。

つづく







喫茶店バラック

2009年07月02日 | 唐津の大衆食名店
どんどん→銀行→モリナガ→サンコー→ダイレックス→
ブルドッグ→トライアル→Aプライスと、大雨の中
あちこち行き、クタクタになったので、休憩は毎度お馴染み
「喫茶店バラック」に行きました。

アイスコーヒーを飲みながら、映画の話とかをし、残りの
買出しに行きました。

当店の定休日は、買出し、店に戻り片付け&翌日仕込みで
夜中に成り、1日が終わります。

そんな、休日を満喫出来ない生活を5年近く過ごしてきま
したが、食事と喫茶店が定休日唯一の楽しみですね。

僕は「喫茶店バラック」に通い始めてから、喫茶店好きに
成りました。喫茶店は味もさることながら、マスターの
キャラで店の良し悪しが決まる気がします。

そういえば、チェーン店のラーメン屋とかは、マニュアルが
徹底していて、無個性ですが、個人店のラーメン屋の接客と
か結構アバウトで店のカラーが出ますね。名物大将の店には
他店では真似出来ないような雰囲気があり良いですね。
多くの分野が、大手に太刀打ち出来ない状況ですが、個人店
の魅力とは人間味にありますね。

僕なんて、まだまだ人柄大将に程遠いけど、気軽にお客さん
から悩みや、相談などしてもらえる、人生舞台の裏側で接する
ように成れるよう精神面でも成長したいです。後、20年
当店が続けば、僕も少しは貫禄や味わいが出るかな・・・。

たこ焼き「どんどん」・・・・・・・・・唐津弁編

2009年07月02日 | 唐津の大衆食名店
おいが、がば、すいとー「どんどん」のたこ焼きば、久々食うて
きたばい。

ほんなごて、うまかばい。太かし、中んとろとろやし、味も良か
ばい。

うまかけんくさ、すぐ、のーなるん、がばはやかばい。

だけん、2皿ば食うたばい。2皿食ったら、よーけ腹んふくるーったい。

そいぎーさー、持ち帰り用ば、もう1パック焼いてもろうた。
こいは、おいがつやのうして、喫茶店バラックにお土産用たい。

ほんなごて、よか店やけん、唐津っ子は行ったがよかばい。


以上、唐津弁の伝わりにくいレポートでした。