アエネアスは、改めて、戦場を見渡した。身命を賭して戦った多くの兵たちの血を吸った大地を踏んで、各所を見回った。そこには、作業をする兵の姿があった。
戦闘の最終局面で、70余りの敵を一挙に葬ったところにさしかかった。彼は、その情景の凄絶さに心を痛めた。しかし彼は思う。
『これが戦いなのだ。君たちが生きていたのでは、我々が生きていけないのだ。』 飛び来る槍に身体を射抜かれ、貫かれ、訪れる闇にのた打ち回り、かすかな生への願いも、止めを刺され、命を絶たれた兵たち、むくろとなった彼らを目にして、しばし、足を止め、目を閉じ、その冥福を祈らずには居られなかった。
アエネアスは、かすかに耳を打つ、波のざわめきに顔をあげた。かれは、返り血を浴び、戦塵にまみれた身体を洗おうと思い立った。海に向け足をはこぶ、程なく波打ち際に立っていた。海の程よい深さのところを見つけ、おもむろに全身を浸した。浴びた血を洗い流したアエネアスは、戦いの疲れもともに洗い流した。
彼の目は、静かに吹き渡る風、暑熱の陽の光にきらめく波頭の海を眺めていた。
西の彼方から、海岸線に沿って近づいてくる数艘の小舟を目にした。
戦闘の最終局面で、70余りの敵を一挙に葬ったところにさしかかった。彼は、その情景の凄絶さに心を痛めた。しかし彼は思う。
『これが戦いなのだ。君たちが生きていたのでは、我々が生きていけないのだ。』 飛び来る槍に身体を射抜かれ、貫かれ、訪れる闇にのた打ち回り、かすかな生への願いも、止めを刺され、命を絶たれた兵たち、むくろとなった彼らを目にして、しばし、足を止め、目を閉じ、その冥福を祈らずには居られなかった。
アエネアスは、かすかに耳を打つ、波のざわめきに顔をあげた。かれは、返り血を浴び、戦塵にまみれた身体を洗おうと思い立った。海に向け足をはこぶ、程なく波打ち際に立っていた。海の程よい深さのところを見つけ、おもむろに全身を浸した。浴びた血を洗い流したアエネアスは、戦いの疲れもともに洗い流した。
彼の目は、静かに吹き渡る風、暑熱の陽の光にきらめく波頭の海を眺めていた。
西の彼方から、海岸線に沿って近づいてくる数艘の小舟を目にした。