『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  115

2009-12-25 08:49:57 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 どよめく喊声が最終便で浜に帰りついた兵たちを迎えた。浜に降り立つ兵たち、彼らに抱きつき歓びを交わす風景がそこにあった。
 パリヌルスがオキテスを出迎えて二人連れ立って、アエネアスに近づき、今日の作業の完了を報告した。三人の表情は、安堵に満ちたものになっていた。
 アエネアスの残る心配は、ポリメストルの砦に赴いたイリオネス、アレテス、そして、この二人に率いられている部隊のことに及んでいた。
 アレテスが出発させる手筈になっている伝令の兵が、まだ、到着していない。アエネアスの心は兵が持ち来る第一報に対する懸念でゆれていた。彼は、『まあ~、この時間だ、少々の遅れはあるだろう。』 と思っていた。
 アエネアスの心配が図に当たった。
 伝令の兵が到着した。その兵の息遣いの荒さが尋常なものではなかった。彼は、ポリメストルの砦から、このエノスの浜までの13キロ余りを駆け通して来たのである。