『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  116

2009-12-28 09:07:27 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネス、アレテス、二人は、砦へ向かう道中、遺体の引渡し、砦の押収について、話し合いながら来た。二人の結論は出ていた。計り知れない敵の抵抗を予想しての結論であった。
 一行は、ポリメストルの砦に着いた。自然石を積み上げた石垣をめぐらせた砦である。二人の長老が20人余りの守備兵を従えて、一行を待っていた。彼らは、歩み始めた、こちらに向かってくる。互いの声が届く間隔までに来た。
 イリオネスは、大声で話しかけた。
 『領主ポリメストルの遺体を引き渡す。』
 イリオネスとアレテスは、道をあけて、生存していた兵5人に遺体を持たせ、前方に送り出すと同時に、アレテスは、率いてきた部隊を前後五列の横隊に隊列を整えてイリオネスの背後に構えた。両者の間には、一触即発の不穏の気がみなぎっている。アレテスは、兵たちに如何なる局面の変化にも対応できるように油断のない戦闘の構えをとらせた。
 長老の二人は、遺体を確認して、引き取り砦内に引き入れた。長老の一人は、無言のままで目礼を送ってきた。
 その長老も砦内に身を入れた、そのときである。異変は起きた。