『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  157

2011-09-02 06:53:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『お前、なかなかうまく言うな。お前の言うとおりだな』
 パリヌルスの艇には、アエネアスもトリタスも乗っていた。二人は舟艇の航走の具合について語り合っている、アエネアスはパリヌルスに話しかけてきた。
 『パリヌルス、なかなか、いい走りではないか。適当な喫水、波割り、これだけの者たちが乗っているのに艇速が速い。とてもいい気分だ。艇体とメインの帆の大きさのバランスのよさだと思われる。後続している2艇をも含めての俺の感想だ』
 『そうですね、全く、統領の言われるとおりです。機能がいいということは、全体を構成している艇の各部のバランスのよさであると私は考えています。バランスが悪いと、それによる結果も思わしくありません。そのことについて充分、気を使って、この舟艇を設計しました』
 『そうか。まさに人智を超えた、パリヌルスの知恵と技術というところか。お前は、いい船を造った。ありがとう、礼を言うぞ』
 パリヌルスは、アエネアスと久しぶりに語り合った。二人の深度の深い語り合いであった。
 海上は、風の緩慢な凪ぎの状態を脱して、風は陸に向かってそよぎ始めていた。進路を変えた舟艇3艇は、陸へと向かい始めた。
 風力に比して、いい艇速で海上を走った。パリヌルスは、舟艇の出来上がりに満足した。