テカリオンは、パリヌルスに話かけた。
『なあ~、パリヌルスどうだ。あれから、もう半年が過ぎた。ここでの生活はどうだ。俺と一緒にレスボスの海に帰る気はないか。南の多島の海では、海賊サワギもあるが、ミレトスを母港にして、交易が盛んになってきている。何となく、この世界もザワザワと忙しい。俺も海に出て静かな日には、物事を考える時間がある。そんな時、つらつらと思うことは、心の許せる奴、手を組むことのできる奴がそばにいないことだ。ときどき寂しさがふ~っとよぎっていく。お前も考えてみてくれ。もし、その気があるようなら、どうだ、俺と一緒に帰らないか』
『なんだ、テカリオン。お前そんなことを考えるときもあるのか。それは、波の揺さぶりのいたずらかも知れんぞ。今の俺には、ちよっと、うかびもしない思いだ。過ぎたことに思いを馳せる者もいる。俺はそのタイプではない。俺はやらなきゃいけない大事があるように思っている。俺は見果てぬ夢に、この身を賭けてみようと思っている。お前の気持ちはありがたい。俺は、俺自身の向かう方向に身体を向けている』
『そうか、俺の心はお前に残っている。まあ~、しかたがないか。気が変わったら、俺のほうに向いてくれ』
彼は、話にピリオドを打った。
舟艇は、快走を終えた。交易の場は、商いの最終場面であった。
『なあ~、パリヌルスどうだ。あれから、もう半年が過ぎた。ここでの生活はどうだ。俺と一緒にレスボスの海に帰る気はないか。南の多島の海では、海賊サワギもあるが、ミレトスを母港にして、交易が盛んになってきている。何となく、この世界もザワザワと忙しい。俺も海に出て静かな日には、物事を考える時間がある。そんな時、つらつらと思うことは、心の許せる奴、手を組むことのできる奴がそばにいないことだ。ときどき寂しさがふ~っとよぎっていく。お前も考えてみてくれ。もし、その気があるようなら、どうだ、俺と一緒に帰らないか』
『なんだ、テカリオン。お前そんなことを考えるときもあるのか。それは、波の揺さぶりのいたずらかも知れんぞ。今の俺には、ちよっと、うかびもしない思いだ。過ぎたことに思いを馳せる者もいる。俺はそのタイプではない。俺はやらなきゃいけない大事があるように思っている。俺は見果てぬ夢に、この身を賭けてみようと思っている。お前の気持ちはありがたい。俺は、俺自身の向かう方向に身体を向けている』
『そうか、俺の心はお前に残っている。まあ~、しかたがないか。気が変わったら、俺のほうに向いてくれ』
彼は、話にピリオドを打った。
舟艇は、快走を終えた。交易の場は、商いの最終場面であった。