アエネアスは、うつうつと悩んでいた。
父アンキセスは今日も朝からうるさかった。一週間も続いているのだ、こんな状態が。『うるさい』では、片づけられない理由があるということが判るだけに、アエネアスは頭を抱えていた。
『おいっ!アエネアス。お前は何を考えているのだ、俺の言っていることが判らんのか。馬鹿っ!』
アエネアスに馬鹿と言えるのは、砦にはこの父だけである。その言葉に続けてわめいた。
『トロイが焼けた。あれから半年だぞ。あのときを思い出すと、腹が煮えくり返る。俺は居ても起っても居られんっ!おいっ、判るか。俺は、あ奴らが憎くて憎くてかなわんっ!くそっ、アガメムノンを頭にギリシアの奴らが軍団を整えて、欲に膨らんだ理不尽な戦さを仕掛けおってっ!俺は、奴らが憎いっ。そして、最後は、火を放って、俺らのトロイ、あのトロイを焼け野原にしよった。それが許せん!アエネアス、お前、何を考えているのだ。何故、軍を起こして、奴らを攻めないのだ。奴らを叩き潰さんのだ。ただちに軍を起こしてギリシアに攻め込め!アエネアス、軍を整えろ!俺が指揮して、あ奴らの国を灰にしてやるっ!アエネアス、聞いておるのか、軍団を整えろっ!』
アンキセスは半狂乱の体でわめき散らした。彼は、トロイが誇る歴戦の軍団長であり、軍団を率いていた昔を思い出してのわめきであった。
父アンキセスは今日も朝からうるさかった。一週間も続いているのだ、こんな状態が。『うるさい』では、片づけられない理由があるということが判るだけに、アエネアスは頭を抱えていた。
『おいっ!アエネアス。お前は何を考えているのだ、俺の言っていることが判らんのか。馬鹿っ!』
アエネアスに馬鹿と言えるのは、砦にはこの父だけである。その言葉に続けてわめいた。
『トロイが焼けた。あれから半年だぞ。あのときを思い出すと、腹が煮えくり返る。俺は居ても起っても居られんっ!おいっ、判るか。俺は、あ奴らが憎くて憎くてかなわんっ!くそっ、アガメムノンを頭にギリシアの奴らが軍団を整えて、欲に膨らんだ理不尽な戦さを仕掛けおってっ!俺は、奴らが憎いっ。そして、最後は、火を放って、俺らのトロイ、あのトロイを焼け野原にしよった。それが許せん!アエネアス、お前、何を考えているのだ。何故、軍を起こして、奴らを攻めないのだ。奴らを叩き潰さんのだ。ただちに軍を起こしてギリシアに攻め込め!アエネアス、軍を整えろ!俺が指揮して、あ奴らの国を灰にしてやるっ!アエネアス、聞いておるのか、軍団を整えろっ!』
アンキセスは半狂乱の体でわめき散らした。彼は、トロイが誇る歴戦の軍団長であり、軍団を率いていた昔を思い出してのわめきであった。