『この舟艇に乗った者たちは、舟艇の走りをどのように感じただろうか』
パリヌルスは、彼なりに彼らの試乗感を推し量った。
『まあ~、いいか。統領ほか身近の者たちの意見を艇の上でそれなりに聞いた。チエックの抜け落ちたところはない。この舟艇に関する限り、この俺が全てだ。自信を持とう。舟艇建造の構想を充分に備えている。自賛のところも少々ある。ま~いいか』 としたが、
懸念が一点ある。それは海上を航走する舟艇が大波にもまれたときの状態である。
彼らは、浜に帰ってきた。試乗に費やした時間は3時間に至ろうとしていた。
パリヌルスは、艇から真っ先にとびおりた。彼は艇から降りてくる者たちを迎えた。彼らは新艇を褒め上げた。
『この新艇は、素晴らしい出来だ、パリヌルス』 とイリオネスが言う。
『海上での船速がこんなに速いとは思ってもみていなかった』 カイクスは驚きの目を見張っていた。
『海上を走る姿がこんなに美しいとは。浜で見ていたときには想像もしなかった』 とオロンテスが言った。
浜衆たちは、『こんな、かっこいい船に乗ったのははじめだ』 と感嘆の声でほめた。
オキテスは、とんでもない意見を口にした。
『おいっ!パリヌルス。大変なことだ。お前なんだか分かるか。船尾の三角帆のことだ。舵の取り具合で、これまでより簡単に風上に向かえるかもしれないぞ。そうなると大ごとだぞ』
『いやあ~、パリヌルス様。いい船です。そのひと言です』 トリタスの感極まったひと言であった。
皆は、パリヌルスに賛辞を贈った。
パリヌルスは、彼なりに彼らの試乗感を推し量った。
『まあ~、いいか。統領ほか身近の者たちの意見を艇の上でそれなりに聞いた。チエックの抜け落ちたところはない。この舟艇に関する限り、この俺が全てだ。自信を持とう。舟艇建造の構想を充分に備えている。自賛のところも少々ある。ま~いいか』 としたが、
懸念が一点ある。それは海上を航走する舟艇が大波にもまれたときの状態である。
彼らは、浜に帰ってきた。試乗に費やした時間は3時間に至ろうとしていた。
パリヌルスは、艇から真っ先にとびおりた。彼は艇から降りてくる者たちを迎えた。彼らは新艇を褒め上げた。
『この新艇は、素晴らしい出来だ、パリヌルス』 とイリオネスが言う。
『海上での船速がこんなに速いとは思ってもみていなかった』 カイクスは驚きの目を見張っていた。
『海上を走る姿がこんなに美しいとは。浜で見ていたときには想像もしなかった』 とオロンテスが言った。
浜衆たちは、『こんな、かっこいい船に乗ったのははじめだ』 と感嘆の声でほめた。
オキテスは、とんでもない意見を口にした。
『おいっ!パリヌルス。大変なことだ。お前なんだか分かるか。船尾の三角帆のことだ。舵の取り具合で、これまでより簡単に風上に向かえるかもしれないぞ。そうなると大ごとだぞ』
『いやあ~、パリヌルス様。いい船です。そのひと言です』 トリタスの感極まったひと言であった。
皆は、パリヌルスに賛辞を贈った。