『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  162

2011-09-09 13:58:53 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 トリタスは、食事をしながらテカリオンを観察した。彼はこのような食事の場において、その人物を読み取る才に長けていた。砦の者たちの気心は充分知っている、彼の目で見た感じのテカリオンは、信頼に足りうる人物であると見たが、商いの駆け引きはしたたかであると感じ取った。彼はここで思案した。出した答えは、『事の一切をパリヌルスに任せよう』と心に決めた。その方が一片の不安もなく『この取り引きがうまくいく』と判断した。
 秋の冷気が身を包んでくる。宴が終わり、一同は、明朝の明けを待つ眠りについた。

 夜が明けた。心地いい冷気に包まれ、身を引き締められて、彼らは朝を迎えた。
 全員が顔を揃え、朝食の場を囲んだ。フエィス トウ フエィスの心の通じ合う食事の場であった。彼らは互いの腹の探りあいをうまく顔には出さずしたたかにやっていた。
 朝食の終わった砦の浜は、交易の場に様変わった。
 朝一番は、舟艇の吟味から始まった。パリヌルスは、舟艇の有為な機能の説明からはじめ、その機能を発揮する構造、形態を詳しく説明した。それは、互いに船について知っている者のやり取りであった。テカリオンは充分に満足した。だが、表情は不満足の風情を演出していた。