『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  175

2011-09-28 06:41:52 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 秋の陽は、つるべ落としで海に没していく。
 アエネアスは側近の者たちを従えて、落陽の風景を眺めていた。
 収穫祭は、日暮れの残光の中で終宴のときを迎えていた。アエネアスもイリオネスたちも、よく食べ、よく飲み、よく楽しんだ。砦の者たち、浜衆、村の衆たちは、心底から収穫祭を楽しんだ。
 『統領、収穫祭、充分に楽しまれましたか。皆、腹の底が抜けたようによく飲み、よく食べてましたね。食材を担当した者たちがてんやわんやで食材を配っていました。彼らは、今、焚き火を囲んでくつろいでいます』
 『おっ!そうか。ちょっといって来る。お前らここで待っていてくれ。砦へは、一緒に帰ろう』
 アエネアスは、酒肴の焼けるいい匂いを発している、彼らのくつろぎの場へ歩を運んだ。
 『おっ、皆、今日は大変ご苦労であった。君らが気を配ってくれたおかげで収穫祭が、この上もなく楽しいものであった。有難う、礼を言う』
 アエネアスは、彼らに気軽に声をかけながら、酒を注いでやった。