『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  160

2011-09-07 17:55:12 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 交易人テカリオンは、一隻の交易船、それに軍船とおぼしき2船を従えて浜に到着した。
 パリヌルス、オロンテス、オキテスらが出迎えた。オキテスは、エノスの浜頭トリタスに向けて使いの者を走らせた。知らせを受けたトリタスは雀躍した。浜衆及び村の衆を総動員して、彼らが準備した交易品のアーモンド、麦、魚の干物を便船を仕立てて砦の浜へ運んだ。
 オロンテスも忙しかった。彼は砦の者たちが丹精して作ったアーモンド、麦、魚の干物を西門前の広場に集めた。
 テカリオンは、気を利かせて、イリオネスに土産品をたずさえてきた。
 『イリオネス様。お元気そうで何よりです。これは先日メレトスで手に入れたものです。お納めください』
 『ほっほう、珍しい物ですな。遠慮なくいただく、ありがとう』
 アエネアスは前回と同様に陰の人として、彼らの前に姿を現すことはなかった。
 パリヌルスはテカリオンに浜頭のトリタスを紹介し、イリオネスを座長として砦の者たち、エノスの浜衆、交易船の者たちで浜で焚き火を囲み盛大に食事会を催した。食事会はにぎわった。
 トリタスはパリヌルスに小声で依頼ごとを伝えた。
 『パリヌルス様、お願いがあります。我々が持ち込んだ交易品のことですが、いかがでしょう。一切を貴方様にお任せしよう、そのような腹づもりなんですが、お引き受けくださらないでしょうか。よろしくお願いします』
 『いいだろう。判った。お前、俺のそばについておれ。俺から離れるでないぞ。いずれにしても商いの交渉は明日だ』
 パリヌルスは、快諾した。