メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ベートヴェンのチェロソナタ全5曲

2020-05-22 09:49:40 | 音楽
ベートーヴェン:チェロソナタ 全5曲
チェロ:ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、ピアノ:スヴィアトスラフ・リヒテル
録音:1961~1963 英デッカ フィリップス盤
 
前にアップしたヴァイオリンの次はチェロである。こっちの表記は英・独・仏などで単にチェロソナタのようである。
といっても、必ずしもチェロが完全に主役、ピアノは伴奏という感じでもない。
 
第1番、第2番は作品5の1と2、一番有名な第3番は作品69、第4番、第5番は作品102の1と2、ピアノソナタと比べてみると面白いのだが、このカテゴリを手探りした初期、油が乗り切った中期、自在にどこへ行くのかという晩年、この曲数で一気にいってしまったという感がある。
 
第1番、第2番にしてからがかなり意欲的だし、第3番はやはり迫力、完成度とも素晴らしい。第4番、第5番は小ぶりではあるが、ピアノソナタでいえば、個人的に大傑作と思っている第28番作品101とハンマークラヴィアの間ということがなるほどと納得できる意外性のある展開と不思議な深みがある。
 
演奏は録音当時、この二人以外に誰がという感じだっただろうが、改めて聴いてみると、うまいとか迫力があるとかいうより、もっと違ったことが理解されてくる。
 
すなわち、この曲で作曲家はヴァイオリンとピアノの場合とは異なって、二つの楽器、パートの対置で曲を創っていくというより、この二つ合わせてもっと高度な「楽器」による演奏を目指したのではないかと思える。特に第3番。
 
二人はそれを完璧にやり遂げている。特にリヒテルは、強い相手奏者に対して、強いピアノで対抗することができる人だが、あまりそうすると前に出すぎてしまうことを避け、一音一音が響きすぎないよう、ノンレガート気味に進行させているように思える。

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