神奈川県立近代美術館 鎌倉 2011年10月22日~2012年1月9日
シャルロット・ペリアン(1903-1999)はル・コルビジェのアトリエにいたデザイナーで、ここで板倉準三や柳宗理と一緒だったこともあり、戦前・戦後にわたって日本と深いつながりがある。
戦前のなかなか来にくい時期にも訪日し、戦後は夫がエール・フランス日本支社長になったこともあって、様々なデザイン活動を行い、日本のデザイン界に大きな影響を与えた。
この人のことはこれまで知らなかったが、こうしていくつかの作品、特に椅子や棚をみると、ああここからこういうものは出てきたのか、と納得する。また柳宗悦・宗理の民藝関連・生活用品とのつながりも明確だ。
ル・コルビジェのものも含め、こういうデザインの価値は納得させられるものが多い一方で、これらをそのまま自分の生活に取り入れられるかというと、それはちょっと緊張感が強すぎるかなとも考える。おそらく先端的なデザインというものはそういうものだし、そうやっていろいろなもののデザインは変遷してきたのだろう。
展示を半分くらいみたところで、こういう潮流がファッションの世界に入って出てきたのがピエール・カルダンかなと思ったが、後半で見ると間接的にではあれ、つながりはあったようだ。
もうそろそろ建て直したほうがいい状態になってしまったこの美術館、これを設計したのが上記の板倉準三であってみれば、この展覧会はいいタイミングだった。
展覧会としては地味だけれども、アーカイブという膨大、多様な集合から、例えば地域振興とか何かで効果を図る場合、単純化、抽象化そしてそれを見えるものにするというところでデザインというプロセスは必須となると、私は考えている。
そういう意味で、この展覧会に出会えたことは幸いであった。