「グッドモーニング、ベトナム」(GOOD MORNING, VIETNAM 1987米、120分)
監督:バリー・レヴィンソン、脚本:ミッチ・マーコウィッツ
ロビン・ウィリアムス、フォレスト・ウィテカー
1965年のベトナム駐留アメリカ軍放送局(FENのようなもの?)で、朝一の放送を担当しにクレタから赴任してきたDJ兵(?)クロナウア(ロビン・ウィリアムス)、下品なスラング、ジョーク、情勢の寸評、選曲で一躍前線兵士の人気者になる。それをやっかむ旧態でさえない上司アナウンサーにいろいろ邪魔をされる中で、現地の兄妹、その周辺の庶民と、酒場や米語教室を通じて交流する。クロナウアは実在の人をモデルにしているとか。
ベトナム戦争中の話としては、深刻なところがない中で、進んでいく。コメディ仕立てだから、見る前は「マッシュ」のようなものかと思っていたが、こっちは朝鮮戦争の中という設定ながらベトナム戦争で重苦しい1970年に作られた映画で、ブラックといえばブラックなところもベトナム戦争を想起させる効果をねらっていただろう。
それに比べれば、この映画は兵士も、そして他国の庶民も、こういうくだけた和やかさのなかで、何であれやっていく、ということをベースにおいたものとなっている。だから最後も悲劇になりそうで、それほどでもない。
そしてロビン・ウィリアムスのしゃべりは、これぞスタンダップ・コメディの名人というものだろうか。
戦争を描いてこれでいいのか、という声もあろうが、この世界がないと、これからも異民族間はなかよくやっていけない、という意味では、あと味はいい映画である。
フォレスト・ウィテカーはこのあと随分起用されてオスカーもとったようだが、ここでも大きな体で、頼りになる同僚を演じている。
主人公が放送できなくなって、前線にいく兵士集団にしばし生で一人一人に出身地などききながらしゃべり飛ばしていき、時間が来て彼らが出かけていくのを見送っている顔のアップ、この場面がいい。
公開されてしばらくしたころ、知人から勧められたのだが、なぜかレンタル、放送とも縁がなく、ようやくWOWOWで見た次第。